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薬の匂いの手芸店(インタビュー+エッセイシリーズ「フライング・ディスク🥏」Vol.1 石原朋香〈エッセイ〉)
K野さん、と呼んでいる店があった。駅から東西方向に伸びている本町通りの、真ん中あたり。ローソンの隣。いつも「水曜どうでしょう」のステッカーが貼ってある車が、店舗の右側に停まっていた。店に入ると、ふんわりと薬の匂いがして、オルゴールの音色でJ-POPを演奏する有線が流れている。正面にレジと処方箋のカウンターがあって、「動悸、してませんか?」「お腹の調子を整える」などと、大きくコピーが記された健康食
もっとみるパーソナルな身体を舞台上に存在させたい——「作品を作る俳優」としてのあり方(インタビュー+エッセイシリーズ「フライング・ディスク🥏」Vol.1 石原朋香〈インタビュー〉)
—— 今日はよろしくお願いします。
石原 よろしくお願いします。
—— 最初に石原さんの肩書きを教えてもらってもいいですか?
石原 最近は少し変わった言い方ですが「作品をつくる俳優」と言っています。自分の活動を一般的な言葉で説明・分類すると、俳優、デザイナー、それから演出・振付・構成といったパフォーマンスを組み立てる活動をやっています。くわえて、日々のかなり大きな割合を占めている趣味として手
分からないままで生きる/見る(『きみの鳥はうたえる』を観た)
つい先日のこと。演劇の本番が終わって、なんだか虚脱状態のまま家に帰った。そのままは眠れない気分だったからなにか見ようと思って、リビングにあるプロジェクターの電源をつけ、Amazonプライム・ビデオで目ぼしい映画を探すことにした。上下左右に敷き詰められたサムネイルを行き来していると、無料配信がそろそろ終了する映画のところに『きみの鳥はうたえる』を見つけた。数年前に早稲田松竹で観た。なぜ観たのかはも
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