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書籍・資料・文献

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原稿を書くにあたり参考にした書籍・資料・文献などを紹介。書評・レビューではありません
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2019年2月の記事一覧

【書籍・資料・文献】『日本の税金』(岩波新書)三木義一

迫る消費増税 2019年10月の消費税率10パーセントへの引き上げを目前にして、いろいろとざわつき始めた。これまで安倍晋三内閣総理大臣は2度にわたる消費税の増税時期を延期してきた。消費税が8パーセントから10パーセントに引き上げられれば、その分の消費が冷え込み、税率を上げても税収は減少するといった懸念もある。それだけに、景気が上昇基調でないタイミングで消費税率を上げれば、景気はますます減速する。だ

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【書籍・資料・文献】『ニッポンの海外旅行』(ちくま新書)山口誠

カルチャーショックこそが、海外旅行の醍醐味 エクアドルのガラパゴス諸島に行ったのは、2014年のことだった。首都のキトの2泊、ガラパゴスで5泊、さらに往復の飛行機の移動時間や乗り継ぎの待ち合わせなどを含めると、おおよそ2週間の長旅だった。

 長旅と書いたが、ガラパゴス諸島で出会った旅行者たちは私よりも長い旅程を組んでいた。ガラパゴス諸島は島域の97パーセントが自然保護区に指定されており、そこには

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【書籍・資料・文献】『ラブホテル進化論』(文春新書)金益見

福島復興とラブホテル 3.11の東日本大震災は、いまだ多くの爪痕を残している。なによりも翌日に起きた福島第一原発事故は、福島県中通りを一変させた。中通りの大半の土地は避難区域に指定。住民たちの多くは家を追われることになる。中通りの沿岸には集落がいくつも存在し、それらの家々は津波によって破壊された。原発事故がなくても、それまでのような生活は送ることは難しかった。原発事故は立ち入り禁止という事態を引き

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【書籍・資料・文献】『2階で子どもを走らせるなっ!』(光文社新書)橋本典久

騒音なんて当たり前 消えた町屋のガード下住宅と商店 京成電鉄の町屋駅は、早い段階から高架駅になっていた。そして、高架下にはたくさんの住宅や商店が軒を連ねていた。もう、その光景を見ることはできない。ほぼ撤去が完了している。

 約15年前まで、いわゆるガード下と呼ばれる商店や住宅は、さも当たり前のように生活空間に溶け込んでいた。商店ならさほど影響はないかもしれないが、住宅は違う。電車が通るたびにガー

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【書籍・資料・文献】『コンビニだけが、なぜ強い?』(朝日新書)吉岡秀子

生活の中に溶け込んだコンビニ いまや国内だけで、6万店にもおよぶ店舗網を構築しているコンビニエンスストア。略して、コンビニ。暮らしのありとあらゆるものが揃い、もはやコンンビニなしで生活は成り立たない。

 一昔前までは、コンビニ業界は百花繚乱。セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの3強にくわえ、ミニストップ、スリーエフ、ホットスパー、ポプラ、サークルK、サンクス、ampmといったコンビニが

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【書籍・資料・文献】『地方の王国』(講談社学術文庫)高畠通敏

侮れない統一地方選  4年に一度の統一地方選が迫っている。現職知事・市長が在任期間中に死去したり辞任したり、議会の解散といった理由で統一率は低下しているが、それでも全国の地方自治体が一斉に選挙を実施するのは、ある意味で大きな出来事だろう。

 統一率が低下すると、世間の関心は薄くなりがちだ。だから投票率も低くなる。ただでさえ地方選の関心は低く、低投票率の傾向があるのに、それに拍車がかかれば、もはや

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【書籍・資料・文献】『群青にサイレン』(マーガレットコミックス)桃栗みかん

野球はマンガの素材になりやすい国民的スポーツ 国民的スポーツの代名詞ともいえる野球。その花形は、なんと言ってもピッチャーだろう。夏の甲子園でも、マスコミが注目するのは投手であり、2018年の夏の甲子園大会で金足農業の投手が注目されたことは記憶に新しい。

 野球の花形は、投手。それを否定するつもりはないし、ピッチャー次第で試合の行方は大きく変わる。

キャッチャーの視点から描かれる貴重な野球マンガ

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【書籍・資料・文献】『贋札の世界史』(NS新書)植村峻

暮らしに欠かせない「金」 生活に欠かせないモノは多々あるが、現代社会において「お金」は決して無視できる存在ではない。

 資本主義が当たり前の概念になる中、金を持つ人間が強く、力を持つ。いくら、金がすべてではないと口では言っても、人々は金に魅了され、それについてくる。金を、経済を全否定することなど不可能だ。

 現在、政府はキャッシュレス決済の普及を急ぐ。キャッシュレス化と一口に言っても、電子マネ

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