マガジンのカバー画像

書籍・資料・文献

31
原稿を書くにあたり参考にした書籍・資料・文献などを紹介。書評・レビューではありません
運営しているクリエイター

2019年4月の記事一覧

【書籍・資料・文献】『茶の世界史』(中公新書)角山栄

給食のお供に 学校給食に、必ずと言っていいほど添えられるドリンクがある。誰もが、子供の頃にたくさん飲んだ牛乳である。日本人と牛乳の関係は、明治以降から始まる。学校給食が始まるのは、戦後からだ。それだけに、日本人と学校給食との歴史は短く、牛乳が日常的に飲まれるようになった歴史はさらに短い。

 学校で飲まれていた牛乳は、どんなモノだっただろうか?年代差や地域差があるので一概には言えないが、地元の牛乳

もっとみる

【書籍・資料・文献】『カレーライスの誕生』(講談社学術文庫)小菅桂子

情報誌の取材で寄り道を繰り返す まだ、駆け出しのライターだった頃、情報誌の取材であちこちに行かされた。行かされたと表現すると、気が進まないところを強制的にという意味合いを含んでしまうが、決してそんなことはない。むしろ、喜んで行っていたように思う。

 今、出版業界では経費を出せるほどの雑誌は数少なく、地方都市までの交通費、現地での交通費、宿泊費などを負担してくれる媒体は皆無だろう。私が駆け出しだっ

もっとみる

【書籍・資料・文献】『「ふるさと」の発想』(岩波新書)西川一誠

ふるさと納税が地方にもたらしたモノとは? ふるさと納税は、2008年度に創設された。制度開始から10年。もはや定着した制度と言えるだろう。制度が導入された背景には、地方から都市への人口流出が止まらない事情があった。人口流出は過疎化を招き、地方の疲弊感を強めた。人口減少が都市を疲弊させることは言うまでもないが、なによりも若者の流出が大きい。

 18歳を機に、進学・就職で若者は地方から出ていく。就職

もっとみる

【書籍・資料・文献】『渋沢栄一』(岩波新書)島田昌和

偽造防止技術の向上が紙幣界の女性進出を促進させた? 長らく福澤諭吉が顔を務めてきた一万円札の改刷が発表された。新札の顔は、1万円札が渋沢栄一、5000円札が津田梅子、1000円札が北里柴三郎だから、次のF券は民間人から起用が占めたということになる。

 紙幣の顔になる人物は、昭和まで政治家が多くを占め、平成に入ってようやく女性が登場する。女性の登場は社会的な流れではあるが、偽札防止という観点からす

もっとみる

【書籍・資料・文献】『美しい都市・醜い都市』(中公新書ラクレ)五十嵐太郎

不況が生んだ錬金術 バブル崩壊から20年以上が経過。30年にも片足を突っ込んでいる。い政府は景気回復に手を尽くしているが、残念ながら景況感を実感している庶民は少ないだろう。

 雇用は非正規化して収入は不安定。一方で、税金や健康保険・年金といった社会保障費は増大。社会保障費を多く払ったからと言って、老後が安心というわけでもない。金利はゼロに等しく、貯金の利子も心許ない。個人で資産を防衛する手立ては

もっとみる