(読書)なぜ、わたしは人を許せないのか?
おはようございます!
今日は脳科学者である中野信子先生の「人は、なぜ他人を許せないのか?」です。
結論から言いますと、
「人間は不完全なものであり、結局永遠に完成しないという意識が人間を正義中毒から解放する」そうです。
「あいつはバカだ」「あいつはおかしい」と感じる相手にも、
人格や感情、思考が必ず存在し、拒絶ではなく受け入れる。
そこからポジティブな新しい知見が得られないかを考えてみる。
他人にも自分にも一貫性がないことを許容する。
それこそが「知性」であると中野先生は言います。
「完璧だからいい!」ではなく、
「不完全な自分(や相手)がOK!」という感覚ですね。
正直、毎日そんな時間の余裕がないのがワーママというもの。
一刻も早く退社したいのに、部下が仕事ができなかったり、
帰りがけに暇そうな人に捕まってしまったり。
余裕がないと、「あいつはバカか!」という「正義」を振りかざしそうになります。
中野先生に脳科学の観点から、その原因を以下の通り教えていただきました。
この状態になると、自分と異なるものすべて悪と考えてしまう。
私も人の批判をしてしまった場合には「この状態」になることはありますが、一方で相手を罵る自分を許せない、相手を許せない自分を許せない、という自己嫌悪状態にも陥ります。
「人を許せない自分の愚かさを、しょうがないと認める」メタ認知を行うことで、許せない自分の理由を知ることで、穏やかな気分になれるそうです。
最近はS N Sの普及で、有名人の不用意な発言やスキャンダルなどに対して、一般人が言及する環境が整い、正義中毒者(「バカ」を多用する人)を産み出しました。
こちらの記事でも書きましたが、種としての繁栄には、多少コストがあったとしても、ある程度の多様性は必要不可欠。
一方で、人間である以上は食べて寝て繁殖する動物以上のことを考える大脳新皮質が存在し、「人間である」という証拠でもあり、回避できないものでもある。
中野先生は、中でも、日本は「優秀な愚か者」の国であると言います。
摩耗を恐れるあまり自分の主張を控え、集団の輪を乱すことを極力回避する傾向の強い人たちであり、従順さが重視されます。災害の多さによって醸成された性格のようです(心配性気質も同様)。
女性の方がコミュニケーション能力が高いのも乳児からの非言語メッセージを受領するのに必要だったから。
私はママ友同士の「スムーズすぎる」コミュニケーションが、つるっとしていて嫌いなのですが、相手の能力の高さゆえ、と考えると納得行きます。
色々と考えて行動してしまう人は大きな組織では、従順な人の方が経営陣としては使いやすいのは間違いないと思います。
一方で、頭で考える経営者や起業家、アーティストは異質な存在として社会から嫌煙されます。
日本においては、議論をするときも、対立する二つの意見を吟味・検討するのではなく、なぜか人格攻撃とマウンティングになってしまう、というのは私も海外から日本に戻って、仕事で感じていたことです。
中野先生は、人は、本来自分の所属している集団以外を受け入れられず、攻撃するようにできているそうです。
そのためにドーパミンが出され、脳を興奮させます。
自分の属する集団を守るために、他の集団を叩くことは正義となり、自分たちの正義の基準にそぐわない人を悪人として叩くことに快感が伴います。
海外で生活しているときに私も感じていたのは、「自分が見慣れていないグループの人間は、みんな同じに見えてしまうという外集団同質性バイアス」が働き、白人社会の人は日本人や中国人を見分けることができません。
人間同士の共感も生まれづらくなります。
このバイアスは脳がサボっていることが原因。
同様に、本質的な正しさよりも仲間内の正義を優先する人のバイアスも存在します。
高齢化するにつれて、キレやすくなるのは前頭葉の背外側前頭前野が衰えているからだと言います。
・自分が普段考えないような内容の刺激に触れる
・中毒に陥っていることをメタ認知する
・昔は良かったと思い始めたら注意!(前頭葉の退化)
・この世には色々な考え方が存在する、と本などを読んで理解する
・安易なカテゴライズを避けて、余裕を大切にする
人は常に間違うものという前提で、それでもあーでもない、こーでもないと考えている感覚をできるだけ多くの人と共有し、互いを包み込むことを試みる、というのが大事であるようです。
私は、安易に人を「バカ」呼ばわりして、カテゴライズしてしまわないように、いろいろな考え方を理解したくて本を読んでいる気がします。
結論として、
中野信子先生によると、
・もともと、人間の脳には錯誤(バイアス)が走る仕組みがある
・人が対立し、悩む原因の多くは脳の考え方のバイアスによる
・脳の報酬のために、正義を振りかざしたり、人を否定したりする
・正義中毒になり、快感を感じている自分がいたら止まって考える
結局、脳のくせから抜け出せるのも、脳次第なわけですね。
ですので、そうした「脳のくせ」をメタ認知すること、安易な結論に飛びつかない、「ネガティブ・ケイパビリティ」を大切にすること、を心がけたいと思います。
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