須木本りく

須木本りく(すぎもとりく)です。 【連作短編|揺られて(前編・後編)】を再投稿し、#創…

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須木本りく(すぎもとりく)です。 【連作短編|揺られて(前編・後編)】を再投稿し、#創作大賞2024 #恋愛小説部門 参加作品とします❣️ https://note.com/riku_sugimoto/m/m1b9c2afad2f2 なかなかフォローができずごめんなさい

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  • 連作短編 | 揺られて

    『連作短編|揺られて』前編7話・後編9話 順次投稿中🍀創作大賞2024 🍀恋愛小説部門 参加作品 各話さくっと読める短さの恋愛小説です。 読んでいただけたら嬉しいです😊

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連作短編|揺られて(前編)①|貴也

「いってらっしゃい」 朝の見送りが習慣になっている妻は、いつもと変わらず美しい。頬がほんのり赤いのは昨夜の余韻か。 妻は朝食の用意をする前には、ブラウスとスカート…

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連作短編|揺られて(後編)❷|アキラ

知られてしまった。 麻里だけには知られずに、いつか必ず就職してプロポーズするつもりだった。取り返しのつかないことをしてしまったと後悔してももう遅い。 もっと麻里…

須木本りく
17時間前
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連作短編|揺られて(後編)❶|麻里

ある日、応接室にくるよう支店長に呼び出された。職場の全員が耳をそばだてている。 何か失敗したかしら… ◈ 「忙しいところ申し訳ない」 支店長がにこにこ笑っているの…

須木本りく
17時間前
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連作短編|揺られて(前編)⑦|吾輩はみた(特別編1)

この家にきて三年になるボクは、外の世界のことはあまり覚えてない。 たまにカーテンに潜り込み、人間や紐に繋がれた犬や自由な野良猫たちを窓越しに観察している。 ボク…

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連作短編|揺られて(前編)⑥|明日へ

月の半ばは融資の取り引きも比較的落ち着いている。ここ数日は外出予定もほとんどない。自席でコーヒーを飲みながら今期収支を確認していると、固定電話の液晶がぱっと明る…

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連作短編|揺られて(前編)⑤|桜子

急に強く腕を掴まれ一緒に死のうと言われた時は、あまりの驚きと腕を振りほどく勢いでベッドから転げ落ちてしまった。 慌てて洋服を着てバッグを掴み取り、そのホテルの部…

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連作短編|揺られて(前編)④|アキラ

「逢いたいわ」 カナコさんからのLINE電話を切ると、慌てて身支度をし家をでた。少し早歩きで駅まで向かい電車に乗り込んだ。 今日は火曜日だから、旦那にはバレずらいのだ…

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連作短編|揺られて(前編)③|可奈子

朝食はトーストとハムエッグにした。 体を重ねた翌朝は、味噌汁や焼き魚は相応しくないように思う。なぜだか分からないけれど… 半熟の目玉焼きが好きな夫の為に、焼き過…

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連作短編|揺られて(前編)②|彩乃

スマートフォンの画面を見て今夜の収入を思うと自然に顔が緩んでしまう。 アルバイト先の高級クラブに客として貴也がやってきた時は、エリートでそこそこ格好いい鴨がやっ…

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『連作短編|揺られて』を創作大賞2024 応募作品とします。加筆修正し、再投稿します。マガジン登録してくださっているnoterさんに又通知が、フォロワーさんのタイムラインにも流れていくので、心苦しいのですがお許しください。又お付き合いいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

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エッセイ | 素敵なお色のエリザベス二世 | #色のある風景

70歳前後と思われる女性が、ひまわりのように鮮やかな黄色いワンピースにハイヒールを履いて街を歩いていたという…三羽烏さんの記事を拝読しました。 そういえば、私の服…

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永久欠番のあなたへ | #青ブラ文学部

我が家では、家族で同じ日用品を使用する時に番号を書いて区別している。 1.お父さん 2.お母さん 3.わたし 歯ブラシや歯磨き用コップは色分けしているけれど、なぜか番号…

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エッセイ | #00ac9a | #色のある風景

色、色、色…と考えれば考えるほど、頭の中  はペパーミントグリーンで埋め尽くされた。 これまでの人生で、こんなにひとつの色にハマったことはなかった。それがペパーミ…

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エッセイ | 自分のことをどこまで書くのが正解か、いつも悩んでいます。

noteで書き始めて7ヶ月が過ぎましたが、自分はこれを書くんだ!という強い目的がない現在は、noterさん達の企画に参加して微かに存在を維持しているような状況です。 たま…

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嫁ぐ日 | #新生活20字小説

4/29花嫁姿の従姉は美しく眩しかった。 小牧幸助さん いつもありがとうございます😊 #シロクマ文芸部 #小牧幸助さん #新生活20字小説 #結婚式 #結婚 #花嫁 #画像生成A

須木本りく
10日前
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BGM | #青ブラ文学部

窓口にやってくるお客様はご年配の方が多い。 クレジットカードも持たないし、ましてやスマホもパソコンも持たないのでインターネットバンキングもできるはずもない。 ATM…

須木本りく
12日前
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連作短編|揺られて(前編)①|貴也

連作短編|揺られて(前編)①|貴也

「いってらっしゃい」

朝の見送りが習慣になっている妻は、いつもと変わらず美しい。頬がほんのり赤いのは昨夜の余韻か。

妻は朝食の用意をする前には、ブラウスとスカートに着替え髪を整え薄化粧をする。当たり前だと思っていたそれは、他所の家では違うようだ。

白くきめの細かい肌、ほっそりした腰つき、艶やかな黒髪は、とても二十歳の子がいるようには見えない。

銀行頭取のひとり娘である妻は働いたことがない。

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連作短編|揺られて(後編)❷|アキラ

連作短編|揺られて(後編)❷|アキラ

知られてしまった。

麻里だけには知られずに、いつか必ず就職してプロポーズするつもりだった。取り返しのつかないことをしてしまったと後悔してももう遅い。

もっと麻里に伝えることはあったはずなのに、言い訳になってしまうと思うと言葉がでなくなってしまった。

あの時、なぜ正直に認めてしまったのか、しらを切ればそれで済んだかもしれないのに。



配送のアルバイトを辞めて何年になるか…

「アキラはか

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連作短編|揺られて(後編)❶|麻里

連作短編|揺られて(後編)❶|麻里

ある日、応接室にくるよう支店長に呼び出された。職場の全員が耳をそばだてている。

何か失敗したかしら…



「忙しいところ申し訳ない」

支店長がにこにこ笑っているので少し安心したが、わざわざ応接室に呼び出すなんて、何か無理なことを頼まれそうな予感がして構えていると、予想もしていなかったことを言われ驚いてしまった。

この行員たちの中でも優秀で将来の支店長と噂されている矢田さんとお付き合いをし

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連作短編|揺られて(前編)⑦|吾輩はみた(特別編1)

連作短編|揺られて(前編)⑦|吾輩はみた(特別編1)

この家にきて三年になるボクは、外の世界のことはあまり覚えてない。
たまにカーテンに潜り込み、人間や紐に繋がれた犬や自由な野良猫たちを窓越しに観察している。

ボクのお世話はママさんがしてくれる。
毎日のごはん、お水やトイレの石の取り換えは本当にありがたい。
ブラッシングはママさんの力の入れ具合が優しくて好き。パパさんのやり方はちょっと痛くて苦手。



朝、いつものように出かけたはずのパパさんが

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連作短編|揺られて(前編)⑥|明日へ

連作短編|揺られて(前編)⑥|明日へ

月の半ばは融資の取り引きも比較的落ち着いている。ここ数日は外出予定もほとんどない。自席でコーヒーを飲みながら今期収支を確認していると、固定電話の液晶がぱっと明るくなり相手が表示された。

『 頭取 』

義父からの電話でよい知らせは滅多にない。重い気持ちで受話器をとると、何やら電話向こうで怒っているのだが、何を言っているのかさっぱりわからない。

「とにかく!今すぐ来なさい!」

この支店から本店

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連作短編|揺られて(前編)⑤|桜子

連作短編|揺られて(前編)⑤|桜子

急に強く腕を掴まれ一緒に死のうと言われた時は、あまりの驚きと腕を振りほどく勢いでベッドから転げ落ちてしまった。

慌てて洋服を着てバッグを掴み取り、そのホテルの部屋を飛び出した。息が切れてぜぃぜぃ言いながらも走った。

駅まで走ってなんとか人混みに辿り着き立ち止まると、道行く人たちにジロジロ見られていることに気がついた。

セーターの肩はずり落ちているし、コートは片腕だけ通して、なんとか体に残って

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連作短編|揺られて(前編)④|アキラ

連作短編|揺られて(前編)④|アキラ

「逢いたいわ」

カナコさんからのLINE電話を切ると、慌てて身支度をし家をでた。少し早歩きで駅まで向かい電車に乗り込んだ。
今日は火曜日だから、旦那にはバレずらいのだろう。人妻の秘め事は平日の昼間に限る。

平日の下り電車の乗客は少なく、窓ガラスからは暖かな陽が差し込んでいる。眩しくてスマートフォンの画面が見えずらいので角度を変えた。

─ 803号室にいます



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連作短編|揺られて(前編)③|可奈子

連作短編|揺られて(前編)③|可奈子

朝食はトーストとハムエッグにした。
体を重ねた翌朝は、味噌汁や焼き魚は相応しくないように思う。なぜだか分からないけれど…

半熟の目玉焼きが好きな夫の為に、焼き過ぎないようにフライパンの前に立ち、ハムの焼ける香ばしい匂いが漂う中、夕べの夫婦の交わりを思い出し、何かかわったことはなかったか、頭の中でその行為を繰り返してみる。

夫はいつもより激しかった。何かを打ち消すかのようにぶつかってきたといって

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連作短編|揺られて(前編)②|彩乃

連作短編|揺られて(前編)②|彩乃

スマートフォンの画面を見て今夜の収入を思うと自然に顔が緩んでしまう。

アルバイト先の高級クラブに客として貴也がやってきた時は、エリートでそこそこ格好いい鴨がやってきたと、いつもの軽い気持ちで言い寄ることは即決だった。

しかしそう決めたところで、なかなか思うようにはいかないところにスリルを感じる。これは恋愛ゲームだ。

銀行の副支店長が金を持っていないわけがない。体を擦り寄せ太腿に手を乗せる。自

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『連作短編|揺られて』を創作大賞2024 応募作品とします。加筆修正し、再投稿します。マガジン登録してくださっているnoterさんに又通知が、フォロワーさんのタイムラインにも流れていくので、心苦しいのですがお許しください。又お付き合いいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

エッセイ | 素敵なお色のエリザベス二世 | #色のある風景

エッセイ | 素敵なお色のエリザベス二世 | #色のある風景

70歳前後と思われる女性が、ひまわりのように鮮やかな黄色いワンピースにハイヒールを履いて街を歩いていたという…三羽烏さんの記事を拝読しました。

そういえば、私の服装は真っ黒だった時期があります。上から下まで真っ黒です。

黒装束だったその頃、とてもおしゃれな友人のお母様に言われました。

「カラスみたいね!」

「でも若いから黒を着れるのね」

「私の歳で真っ黒じゃお葬式になっちゃうわ」

そう

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永久欠番のあなたへ | #青ブラ文学部

永久欠番のあなたへ | #青ブラ文学部

我が家では、家族で同じ日用品を使用する時に番号を書いて区別している。

1.お父さん
2.お母さん
3.わたし

歯ブラシや歯磨き用コップは色分けしているけれど、なぜか番号も書いておく。

1.青
2.白
3.ピンク

ある日、お父さんが脳梗塞で倒れてあっという間に天国へと旅立ってしまった。

日用品は3つから2つになり、1番が書かれることはなくなった。
歯ブラシも2の白と3のピンクだけが洗面台に

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エッセイ | #00ac9a | #色のある風景

エッセイ | #00ac9a | #色のある風景

色、色、色…と考えれば考えるほど、頭の中 
はペパーミントグリーンで埋め尽くされた。
これまでの人生で、こんなにひとつの色にハマったことはなかった。それがペパーミントグリーンだ。

幼少期にはこんな洒落た色は存在していなかったと思う。おもちゃや小物も、もっと単純な色ではなかったか… 遠い記憶は曖昧だ。

クリームソーダのメロンソーダとアイスクリームがちょっと混ざっちゃった色、ペパーミントグリーン。

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エッセイ | 自分のことをどこまで書くのが正解か、いつも悩んでいます。

エッセイ | 自分のことをどこまで書くのが正解か、いつも悩んでいます。

noteで書き始めて7ヶ月が過ぎましたが、自分はこれを書くんだ!という強い目的がない現在は、noterさん達の企画に参加して微かに存在を維持しているような状況です。

たまにエッセイを書いていますが、だいぶ色々と抑えています。何を抑えているかというと、本音、感情、事実、そして私生活の全てです。

もっと自分のことを書いてnoterさんたちに知ってもらいたいと思う反面、書き過ぎてドン引きされるのでは

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BGM | #青ブラ文学部

BGM | #青ブラ文学部

窓口にやってくるお客様はご年配の方が多い。
クレジットカードも持たないし、ましてやスマホもパソコンも持たないのでインターネットバンキングもできるはずもない。

ATM操作を教えてあげても、なかなか覚えてもらえない方もいて、銀行員の悩みのひとつだ。

ヤガワさんは腰も少し曲がっていて目が悪く白杖で生活している。必ず窓口で現金払い出し、振り込みを行う。ご家族にはできるだけ迷惑かけないように、自分でなん

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