りおねーじゅ

京都市内で接骨院を営む柔道整復師。身体のこと、食のこと、スポーツ(テニスやスキーがメイ…

りおねーじゅ

京都市内で接骨院を営む柔道整復師。身体のこと、食のこと、スポーツ(テニスやスキーがメイン)、読んだ本のこと、言葉について、世相や時事問題…等々書いています。 https://nakayama-sekkotsuin.com/

マガジン

  • 読んだ本のこと

    子供の頃苦手だった「読書感想文」のリヴェンジです。

  • テニス観戦記

    テニスの4大大会で、気になった選手のあんな事こんな事、好きなように書いています。つまり年に4回更新ですね。テニスあまり知らない人も楽しめるように書いているつもりです。

  • スキーのこと

    本当はテニスよりもスキーの方が好きなのです。でもなかなか行かれません…

  • 自己紹介

    大学卒業から現在にいたるまでの紆余曲折をザッと紹介。。。

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楽園から地獄へ

「楽園のカンヴァス」に続いて「暗幕のゲルニカ」を読みました。美術の素人が原田マハにハマっています。 章の日付はちゃんと頭に入れて 「楽園のカンヴァス」と同様、過去と現在が交互に登場しながら物語が進行し、最後にはつながっていきます。そして過去と現在、その両方に生きて登場する人物が一人だけいるのも「楽園…」と同じです。(正確には「楽園…」の方は三つの時代で構成されています)  主人公は今回も日本人女性で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレター八神瑤子です。そのボスであ

    • 飢えと純真

       これまで一作も読んだことがない沢木耕太郎を読みたくなったのは、新作「天路の旅人」が話題になっていたからだ。しかし図書館では5人待ち。他の作品もほとんどが貸出中であったため、とりあえず借りてみたのが今回の「流星ひとつ」である。  藤圭子という歌手については、宇多田ヒカルのお母さんであるということを除いては、どんなジャンルの歌手かも知らなければ、当然代表曲を口ずさんでみることもできないし、顔すら思い浮かばない、本当に何も知らなかった。しかし3ページ目に出てくるこの一節で、私は

      • ほとばしるアート

         先月(8月)のことですが、塔本シスコ展『シスコ・パラダイス』を観に、滋賀県立美術館へ行ってきました。正直、少しビビり気味だったのは、”シスコ作品を約230点紹介する過去最大規模の回顧展” と謳われていたからです。あの強烈なシスコさんの作品ばかりを200点以上も観て大丈夫だろうか?という心配があったのです。 シスコは ”アール・ブリュット” ?  私が別段芸術に造詣が深いわけでもなんでもないことは以前にも書きました。ただ原田マハさんの小説をいくつか読んだことで、いっちょ前

        • 世界で一番不思議な人、そして会いたい人

           森達也著「千代田区1番1号のラビリンス」を読みました。「戦後日本の表現における臨界に挑む問題小説が…」などと帯に書かれていたのでドキドキしながらページを開きました。ところが全部読み終わってみると、特に「問題」はなかったように思いました。もしかすると私があまりに無知なので問題を問題と認識できなかったのかも知れません。それでもとにかく歴史あり、社会問題あり、恋愛あり、そして冒険ありで楽しく読める一冊でした。  私はこの本を手に取るまで知らなかったのですが、題名の「千代田区1番

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        楽園から地獄へ

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          究極のへき地医療

          劇場版『荒野に希望の灯をともす』。昨日観た映画の感想文です。  中村哲さんの色々について語ろうとすると、必然的に様々な切り口があることに気づきます。と言っても私は講演録を一冊、そして今回の映画、それだけの情報です。  一応、医療分野の隅っこで働いている私はまず「へき地医療」というものの現実に精神を揺さぶられました。そこには当然「異文化の理解」が必須です。そしてそれは「国際貢献のあり方」にもつながりますし、その先には「国際平和とは」というとてつもなく大きなテーマが横たわって

          究極のへき地医療

          風景で描かれる音楽

           恩田陸著「蜜蜂と遠雷」の読書感想です。  とある国際的なピアノコンクール。出場者は約100名。その中の4人にスポットライトをあて、彼らのそれまでの人生やコンクールでの演奏、そして音楽を通した出会いと成長が描かれる、と書いてしまうとどこかありがちなストーリーに見えてしまいます。ちなみにコンクールでは1~3次までの予選があり、それらを勝ち残った6人による本選で戦いは終了します。  この作品に特徴的なのは、誰が優勝するのか?といった期待感を餌に読ませるものではないということで

          風景で描かれる音楽

          やっぱり草食べた人 ウィンブルドン2022#2

          今年の四大大会のうち、これで三つが終わりました。結果的にその全てで”ビッグ3”と言われる選手が優勝しベテランも若手もその壁を破れませんでした。しかしその結果に至るまでには様々なドラマがありました。 優勝候補は?  今年の男子で優勝候補は誰だったかと言えば、もちろん昨年優勝のノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア)です。そしてもう一人、満身創痍で全仏優勝後、回復が不安視されていたラファイエル・ナダル(スペイン)の出場が決まった途端、ラファは出る以上誰よりもモチベーション高くファ

          やっぱり草食べた人 ウィンブルドン2022#2

          予想外の「推し」の優勝 ウィンブルドン2022 #1

          ほとんど誰も予想しなかった選手が優勝した今年のウィンブルドン女子シングルス。でも彼女は私のイチオシだったのです。(今年4月の記事で控えめに紹介しています) 長身のショットメイカー  冒頭の写真で、ヴィーナス・ローズウォーター・ディッシュという名の優勝皿を低めに掲げているのが「テニス界のオードリー(ヘップバーン)」と呼ばれている(呼んでいるのは多分私だけ)カザフスタンのイレナ・リバキナ、23歳。やや背中を丸め、長い手足を折りたたんだ低い姿勢から伸びやかに打ち抜くストローク

          予想外の「推し」の優勝 ウィンブルドン2022 #1

          全てはこの人のために? 全仏オープン2022

          テニス界は芝のシーズンに入り、つまりウィンブルドンの足音が聞こえてくる時期なので今更ですが、全仏オープンを振り返っておきます。 納得いかない男子シングルス 昨年は「テニス界のエヴェレスト」と評される仕事を成し遂げたノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア)が優勝しジョコファンの私は大満足でした。その仕事とは、「ロラン・ギャロス(全仏)でナダルに勝つこと」です。そして続くウィンブルドンでもジョコは優勝しGS(4大大会)タイトルも20とし、フェデラーとナダルに並びました。なのにその後

          全てはこの人のために? 全仏オープン2022

          心の中を、全て言葉にしてあいまいさを許さない厳しさ

           辻村深月著「朝が来る」をたった今読み終わり書き始めています。この作家に関しては見たことも聞いたこともなかったのですが、ひとことで言うとまっこと素晴らしい作品で、2015年に発行されておそらくたくさんの人が読んでいるに違いありません。十中八九書店で自分からは手に取らない類の本著を「おすすめ」として貸し出してくれる”本読み”の友人は貴重です。  養子縁組で子供をもらい受けた40代の夫婦が登場します。ですから「家族とは何か?」を問うような話かと思いきやちょっと違います。中学生で

          心の中を、全て言葉にしてあいまいさを許さない厳しさ

          全仏前の3大会。バルセロナ、ベオグラード、シュトゥットガルト

           テニスの世界は今、クレイコート(赤土)のシーズンに入っています。そこで最近気になること、気になる選手のことなど書いてみます。 テニスならではの「表面」への適応  以前書きましたが、テニスというスポーツの珍しい特徴は、異なる三つのコートサーフェス(コートの表面)に対応しなければいけないということです。そして現在はヨーロッパを中心に「クレイコート」で試合が行われています。「クレイ clay」とは、粘土、土、泥といった意味で、ほら時々顔に塗ったりするでしょう?そう、クレイパッ

          全仏前の3大会。バルセロナ、ベオグラード、シュトゥットガルト

          昭和生まれが気持ち良く読める原田マハ

           久しぶりにマハさんに戻ってきました。今回は「たゆたえども沈まず」と「美しき愚かものたちのタブロー」の二作まとめて感じたことを書いてみます。 なぜ気持ちいいのか? この二作を読んでいる時、共通するある心地良さがあることに気付きました。それは、どちらも日本人がパリで、現地の人々と肩を並べて、時には尊敬を得ながら活躍するということがもたらす心地良さでした。なぜそれが心地いいのでしょう。 西欧への憧れ  私は、これまで書いてきた内容からもバレていると思いますが、西欧かぶれです

          昭和生まれが気持ち良く読める原田マハ

          地味の極み。バウティスタ・アグートという選手

          ウクライナ情勢など心配なニュースはありますが、テニスツアーは動いています。ここでロシアのテニス選手が何か発信しないものかと気になり4人のロシア人男子選手のTwitterをフォローしてみました。今のところ何も発信はありません(2月27日時点)。と、思ったらデュバイで優勝したアンドレイ・ルブレフがつい先ほどツイートしました。「今はテニスじゃない、スポーツでもない。世界中で平和を考えよう。互いに支え合おう。」と。非常に慎重なツイートですね。    さて2月の3週目は、南米ブラジ

          地味の極み。バウティスタ・アグートという選手

          ミステリー初心者をスッキリさせてくれない、湊かなえ

           湊かなえを読んでみようと思ったのは、NHKの「あさイチ」という番組に出演されているのを観たからです。売れっ子なんだそうです。知りませんでした。しかもこれから一年間の休筆を宣言されたばかりでした。「私もう空っぽなんです」と。そんなに書きまくってたんですね。知りませんでした。  いつも図書館代わりに利用している母(80歳)の書棚には湊かなえはありませんでした。しかし本好きの友人はいるもので、「湊かなえ貸して」とお願いしたらやってきたのがこの二冊でした(買えよ)。 『豆の上で

          ミステリー初心者をスッキリさせてくれない、湊かなえ

          30年ぶりに読んだナウシカに見た、支配、利他、リーダー

           図書館に通って、漫画版「風の谷のナウシカ」を全巻読み直しました。先日読んだ「ポストコロナの生命哲学」という本にナウシカが非常に大きく取り扱われていて、久しぶりにまた読んでみたくなったからです。 ナウシカを知らない人へ  宮崎駿作『風の谷のナウシカ』は劇場版と原作である漫画版では結末がまるで異なることは以前触れました。(その時の記事はこちら⬇️)  ナウシカで描かれる時代は遠い未来です。簡単に言うと、人類が地球を徹底的に汚染し、自らの文明をも破壊し尽くして後、千年の時が

          30年ぶりに読んだナウシカに見た、支配、利他、リーダー

          ジョコ不人気の理由を尋ねていたら歴史の勉強になった話(全豪オープン2022 #0)

           テニスの全豪オープン(AO)が始まっています。前回の覇者で、第1シードであるはずのジョコヴィッチが、オーストラリアへの入国を認められず帰国させられたことは、ジョコファンの私にとって大変残念でした。しかし今回そのことには触れません。ジョコのビザ不発の経過を知ったところで別段面白くもないからです。 ジョコはなぜ人気が低いのか? 私は、ジョコヴィッチのファンだからといって、ロジャー・フェデラー(スイス)やラファエル・ナダル(スペイン)が嫌いなわけではありません。彼らのプレイを観

          ジョコ不人気の理由を尋ねていたら歴史の勉強になった話(全豪オープン2022 #0)