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映画の感想を書いていく

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運命論者の「別れる決心」感想は

運命論者の「別れる決心」感想は

「別れる決心」は「見る」で決まっていた。2022年10月の渡韓時に見ようとしたくらい。
理由はパク・チャヌクなら見るしかないという選択と、BTSのリーダーRMが心酔していたからだ。

結局、ぜったいにネタバレを受けたくなくて日本公開初日に見に行き、ストーリーが追いきれずに2回目を見た。

この感想をかきながら、なんだか自分のダメなところを抉りとられたようで、反省しきりとなった。

(ネタバレします

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韓国の歴史を知るために見た映画リスト

韓国の歴史を知るために見た映画リスト

韓国の映画は、歴史や政権批判をテーマにしたものも多く、それらについてまとめたいと思います。

2020年1月に生まれて初めて韓国映画を見て、5月に韓国ドラマにハマってから約1年で見てきた映画たちということになります。

まず、朝鮮半島がなぜ分断されているのか、その歴史をフランス人の視点で冷静に見られるのがこちら。

分断の歴史をまず頭に入れるというのはとても意味があることでした。この記事の中でこの

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この文法は、誰まで届くのか「カメラを止めるな!」

この文法は、誰まで届くのか「カメラを止めるな!」

こんなに客席が埋まり、熱狂を呼ぶ理由ですが、昨今の映画館を埋めている応援上映と仕組みは一緒だな、と思いました。応援上映は萌えドリブンで客席の反応箇所を固定することで、一体感を生み出していますが、この映画は映像の作り込みの面白さというもっと一般化されたドライバーで良質なバラエティ映画化しています。文法として、海外で通用するのかどうかに興味があります。日本のテレビバラエティの笑いの文法よりよっぽどワー

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映画感想「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」

キャスト陣の演技はよかった。
特に1930年シーンで現地アシスタント満州人役の兼松若人。
1930年シーンの主役西島秀俊、軍人役の竹野内豊。現代の二宮和也、綾野剛。
二宮和也はジャニーズのアイドルグループ「嵐」の二宮さんです。2016年に吉永さゆりと共演した山田洋次監督「母と暮らせば」で日本アカデミー賞とった。

しかしこれ多分、小説の方が面白いんじゃないかなあ。読んでないからわからないけ

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結婚して子供を産むのが幸せ?できることを発見させてくれた 映画「ソニータ」感想

結婚して子供を産むのが幸せ?できることを発見させてくれた 映画「ソニータ」感想

人の救われるドキュメンタリー映画だった。迷える日本人アラサー男女も救ってくれるかもしれない。
基本的には、ソニータというタリバンの迫害でアフガニスタンからイランへ逃げてきた難民の女の子が主人公だ。彼女の母は9000ドルで売ろうとする。16歳の花嫁として。これは児童婚という習慣で、母自身ももっと幼いころに売られた。16歳、というのも出生証明がないので定かではない。母も映画内で60歳くらい、と言ってい

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地球の中の格差を生きると言うこと 映画「リベリアの白い血」 (ネタバレ)

地球の中の格差を生きると言うこと 映画「リベリアの白い血」 (ネタバレ)

行き場のない、この感情。
先進国の生活は、安価に使われる後進国の労働力で担われている。 知っていることなのに、改めて映像で見せられるとどうしたら良いのかわからない。
リベリアでゴムの樹液の採取を生業にしている男が、NYにタクシードライバーとして出稼ぎにいく話。
リベリア国内でほとんど素人の中から演者を探したというこの映画、映画内でリベリアで話されている言葉が最初英語だってわからなかった。英語だ

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知らないことを、知った 映画「サーミの血」(ネタバレ)

知らないことを、知った 映画「サーミの血」(ネタバレ)

・北欧の先住少数民族の話
・映画から受け取った課題感
・結局アイヌの関連文献を読み始めた

スウェーデンの少数民族をテーマにした映画。
唐突に終わった感じのある映画だったし、あまりに背景を知らなすぎてちょっと理解が追いつかないところもあったが、スウェーデンの自然が広大で綺麗だった。

全く知らなかったのだが、スウェーデンのラップランド地方に住むサーミ族は、迫害を受けていた。基礎教育だけは受

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映画感想「オラファーエリアソン 視覚と知覚」

映画感想「オラファーエリアソン 視覚と知覚」

 平日の真昼間に奥渋谷のミニシアターで見たのは、NYに人工の滝を作る、というプロジェクトのドキュメンタリー映画だった。庭の枯山水などという規模ではない、イースト川に彼が作ったのは最大36メートルにも至る4つの滝だった。

 現代アートは何が美しいのかわからない。と、よく言われる。確かに、歴史や各国のシチュエーションを反映したアートを、その文脈を知らない人が読み解くのは大変だ。

 オラファ

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あれ、恋愛映画じゃなかったの? 映画「ナラタージュ」感想(ネタバレ)

あれ、恋愛映画じゃなかったの? 映画「ナラタージュ」感想(ネタバレ)

原作、発売時に読んでた。
発売時っていうのはつまり2005年の初頭。
自分自身20歳そこそこで、いきってたころで、号泣したことを覚えている。
主人公の女の子「泉」に感情移入していたはず。
それ以来、悲しい気持ちになるのが怖くて本棚に差したままだった。
もう12年も前。

そして今回、ストーリーは原作にほぼ忠実なはずなのに、高校教師「葉山」に感情移入して人間の複雑さと弱さにばかり目がいってしまった。

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