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アートに関係する私的体験、感想、思うことなど。
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数、スケール、質、ほとばしるエナジーに圧倒された〜棟方志功展「メイキング・オブ・ムナカタ」

数、スケール、質、ほとばしるエナジーに圧倒された〜棟方志功展「メイキング・オブ・ムナカタ」

生誕120年、棟方志功展「メイキング・オブ・ムナカタ」がすばらしかった!(東京国立近代美術館)

作品数、サイズも含めた圧倒的なスケール感に、これまた圧倒され、驚愕した。

最近、作品を入れ替えた常設展も同チケットで鑑賞できるし、時間さえゆるせば、かなり濃く豊かな美術鑑賞の時間を堪能できてありがたい。

棟方志功というと、あの風貌(丸メガネ、満面の笑顔、炸裂する蓬髪)や極度の近眼ゆえの、極端に作品

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連作にフォーカスしたわりには〜モネ 連作の情景

連作にフォーカスしたわりには〜モネ 連作の情景

ひさしぶりの上野の森美術館。

つい最近まで美術館、博物館とかの名称ってまったくといっていいほど意識してなかったし、おぼえなかったし、おぼえようともしてなかったなぁ。

ちょっと前までは、印象派等、こうしたビッグネームの西洋絵画にはそれほど興味はなかったんだけれども、あらためて美術史とか、いろいろなことを知ることで、視点や解像度がまったく変わってくることに気づく。

モネはかなりの浪費家とか、パト

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静物画を「ゴッホ」という串で串刺しに〜ゴッホと静物画 展@SOMPO美術館

静物画を「ゴッホ」という串で串刺しに〜ゴッホと静物画 展@SOMPO美術館

「ゴッホもの」の企画展としてはユニーク、新鮮味があって堪能できた。

いちおう、というか、ゴッホの名前を冠しているけれど、主テーマは「静物」。

ただ「静物(画)」としてしまうと収拾がつかなくなるので、そこにゴッホという「串」をもちいて、グサッと突き通した諸々を、という感じで、それが功を奏していた。

そもそも、ゴッホは静物画については鍛錬としていたようで、実験的なことも数多くしていて、そういう意

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好きなひとにはもちろん、わからないひとにも〜すぐわかる抽象絵画の見かた

好きなひとにはもちろん、わからないひとにも〜すぐわかる抽象絵画の見かた

よくいえばシンプル、朴訥、謹厳実直。

わるくいえば、ぱっとしない。

そんな装丁、デザインとはうらはらに、期待をうわまる内容だった本書。

現在は絶版なのか、Amazonでしらべたら実売価格の倍以上で売られていた。

そんなわけで、やはりありがたい図書館。

とはいえ、本書については自分の手許にもおいておきたいと思ったので、ちと残念。古本屋で出会えることを期待しよう。

内容についてはタイトルが

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西洋美術史のゲシュタルトはこれでつかむ〜木村泰司の西洋美術史

西洋美術史のゲシュタルトはこれでつかむ〜木村泰司の西洋美術史

ちょっと前までは美術史なんて、それほど興味もなく、それでも相応に楽しんでいたのだけれど、ふと「勉強したらもっと楽しいかも」と。

木村泰司氏(西洋美術史家)はこれまでも新書くらいでは数冊読んでいて、その経験と博識に尊敬の念をいだきつつ、楽しませてもらってきた。

どれもテーマ、切り口がユニークで、氏の座右の銘「絵はみるものではなく読むもの」にとても役に立つし、なによりおもしろい。

そんなこんなで

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夭折の天才画家〜「穏やかなゴースト」中園孔二

夭折の天才画家〜「穏やかなゴースト」中園孔二

本作も今年のベスト5には余裕で入るであろう力作。

25歳という若さで夭折した、大学(東京藝術大学油画科)在学中から「天才」と評され、ギャラリスト(小山登美夫氏)や美術館館長(金沢21世紀美術館館長 長谷川祐子氏)らに作品を購入され、これからを嘱望されていた画家 中園孔二(なかぞのこうじ)の伝記。

伝記や自伝にはすぐれて魅力的なものが多いけれど(もちろん、著者のセンス次第ではある)その魅力はやは

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世界をゆるがしたアート〜クールベからバンクシーまで

世界をゆるがしたアート〜クールベからバンクシーまで

古典文学同様に最近マイブームなのが、美術史と古典絵画。

そして、それらをマイブームにできるのは、図書館とKindle Unlimitedの存在があるから。

そして、それを可能にしているのは、どちらも蔵書(しかも読み放題)の数が膨大(一生かかっても読み切れないほどに)だからこそ。

なんていう当たり前なことをいまさらながらも実感し、感謝する今日この頃。お金をつかわなくても日々、人生を楽しく豊かに

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該博な知識と著者特有のヒューモア、ウィットとともに紹介する〜名画の中で働く人々

該博な知識と著者特有のヒューモア、ウィットとともに紹介する〜名画の中で働く人々

『怖い絵』シリーズに代表されるような、テーマごとに西洋絵画をその該博な知識と著者特有のヒューモア、ウィットとともに紹介する中野京子(敬称略)の最新刊(たぶん現時点では)。

今作のテーマはタイトルそのままに『名画の中で働く人々』。

本書を知ったのは、数ヶ月ほど前からかなり愛聴している(2008年の開始時にさかのぼってまで)Podcast番組(ピーター・バラカンの「The Lifestyle MU

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今日のKindle読み放題〜まんがで読破シリーズ

今日のKindle読み放題〜まんがで読破シリーズ

昔(って、これまたふわっとしてるけど)は、まんがというとけっこう下にみられてたところがあって(娯楽としてはもちろん評価されつつも)

ちゃんとした食事にたいして「駄菓子」みたいな。

でも、もうそんな評価はされない時代になっている。

当然のことながら。

ということで、気になるけど、読みたいけど、ちょっとハードル高いなぁ、買うまでではない(出費が惜しまれる)なぁと思われがちな「古典」にこのまんが

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27年ぶり、デイヴィッド・ホックニー展 at 東京都現代美術館

27年ぶり、デイヴィッド・ホックニー展 at 東京都現代美術館

日本では27年ぶりという、デイヴィッド・ホックニー展へ、ひさしぶりに東京都現代美術館へ足をはこんだ。

ここ数年でファンになった「にわか」なこともあって、このタイミングでこれだけの規模のものが観られるとは、なんとラッキーな。

意外だったのは、けっこうな数(そしてよく知られた)の作品が、日本国内所蔵(現代美術館も含まれる)だったこと。

あのスプリンクラー(芝生)やプール、ビーチパラソルなんかもグ

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セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ〜抽象絵画の覚醒と展開 at アーティゾン美術館

セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ〜抽象絵画の覚醒と展開 at アーティゾン美術館

はじめてのアーティゾン美術館で、大規模な抽象絵画たちをグイグイと鑑賞、堪能してきた。

当館の前身はブリジストン美術館。

これだけの作品を収蔵しているって、すばらしい。

ABSTRACTION
抽象絵画の覚醒と展開
セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ
(公式サイト)

一番最初にお出迎えしてくれるのは、なんとセザンヌ。

この時点でここから先、なにが待ち構えているのか、否が応でも期

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百年目の大回想〜山下清展 at SOMPO美術館

百年目の大回想〜山下清展 at SOMPO美術館

生誕100年を記念して、今夏、新宿のSOMPO美術館で大規模な山下清の回顧展が開催されている。

生誕100年 山下清展ー百年目の大回想(公式サイト)

山下清というと、けっこうな昔、テレビドラマや映画なんかで誇張、歪曲された「素朴、清廉、牧歌的」なイメージがいまだに根強いが、けっしてそんなことはない(好きでよく見てたけど、あれはあれで別物ということで)。

施設でいじめにあっていたときも、やられ

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植物と歩く展〜練馬区立美術館

植物と歩く展〜練馬区立美術館

地方自治体の美術館や博物館に行ったことは、これまでほとんどなかったんだけど、最近とあるきっかけがあって練馬区立美術館デビューをした。

そのきっかけというのは、もとは吉本の芸人だった「アートテラー・とに~」さんが配信しているポッドキャスト番組『アートテラー・とに~のそろそろ美術の話を...』。

美術、アートが好きだったり興味のあるひとはかなり楽しめる、いろんな意味で濃くユニークで、かつためになる

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