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おりんの読書感想文

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小学生の頃は夏休みの読書感想文が苦痛だった。こんなふうに書けたらもっと楽しかっただろうなという気持ちも込めて、大人の私が自由に書く読書感想文。
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「蟹工船」を読んだ

「蟹工船」を読んだ

蟹工船を読んだ。よしもとばななや現代人のエッセイを好んで読む人間にとっては、普段全く読むことのないジャンルで、非常に扱いにくい小説だった。それでも読み進めることができたのは、「蟹工船を読了した自分」を会得したかったからという不純な動機だ。

「おい、地獄さ行ぐんだで!」
という書き出しで始まるこの話は、読み手をこの一言で文字通り地獄に連れて行く。

船の上という閉鎖的環境、オホーツク海という極寒で

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「大家さんと僕」を読んで〜自分と相手との中に共通項を見つけること。

「大家さんと僕」を読んで〜自分と相手との中に共通項を見つけること。

矢部太郎さんの「大家さんと僕」を読んだ。心がぬくいので感想を書きたい。

39歳の「僕」と87歳の大家さんとの出会いと暮らしが描かれている。自分が帰ると大家さんからのおかえりコールが入ったり、雨が降ると洗濯物が勝手に取り込まれたりと、はじめは大家さんの距離感に戸惑う「僕」だったが誘われるがままお茶していくうちに大家さんのチャーミングでユーモラスな人柄に引かれて仲良くなっていく実話が描かれている

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増田セバスチャン「世界にひとつだけの「カワイイ」の見つけ方」を読んで

増田セバスチャン「世界にひとつだけの「カワイイ」の見つけ方」を読んで

「HUGっと!プリキュア」に心癒されている。
女の子だってヒーローになれる!なんでもなれる!なんでもできる!
プリキュア達はそれぞれ胸に抱えたコンプレックスを友情と愛でもって力に変えて戦っている。
何より毎回食い入るように見つめてしまうのはプリキュアの変身の様子と色づかい。
普段はプリキュアの衣装のような格好をすることは全くないけれど、胸に刻んでおきたくてハグプリのスイングをリュックにつけてお守り

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どんな楽しいこともやり逃さないって約束して〜「ピンヒールははかない」を読んで〜

どんな楽しいこともやり逃さないって約束して〜「ピンヒールははかない」を読んで〜

佐久間裕美子の「ピンヒールははかない」を読んだ。著者がニューヨークでの生活の中で出会った人たちとの交流が描かれたエッセイで、本の中には実に波瀾万丈な人生をタフに生き抜いている女性たちが登場する。文章なのに女性たちがセリフを言うときの表情がカラーではっきりと浮かび上がってきた。ドラマみたいなセリフを堂々と言ってのけるから凄い。
NYって本当に憧れの場所だ。NYの女性ってだけでなんかもう凄そうだし、あ

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あ、そっか。愛はどこにでも宿るんだな〜この世界の片隅に〜

あ、そっか。愛はどこにでも宿るんだな〜この世界の片隅に〜

3月の終わり頃、「この世界の片隅に」の漫画を読んだ。

メディアに取り上げられていた話題のカケラを集めると「戦時中に懸命に生きた女性」「広島が舞台」「感動作」という感じで、ぶっちゃけエネルギーを消耗しそう、重そうだなという印象が先行した。

でも全然違った。予想とは。

驚くほど淡々と物語は進んでいった。漫画はタイトルが「18年 5月」「19年 11月」 「20年 4月」というように日記の

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マツコの「続 あまから人生相談」を読んで。

マツコの「続 あまから人生相談」を読んで。

マツコが好きだ。
一時期はマツコの出演しているテレビをほとんど録画して毎朝毎晩観ていた。

テレビの印象が強いがコラムニストとしても活動しているので本も出している。本もまたテレビとは違っていつもよりマツコの言葉がたくさん溢れているので面白さが濃縮還元されて、読んでいると「本が好きダァアァアア〜マツコが好きだァァァアアア〜」という読書好きなら分かるであろうドーパミンみたいなものが脳内に充満する。

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