spangle 「ぼくの世界 お母さんの世界」ほし の しほ

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絵描きのほしのしほ。お絵描き寺子屋もやってます。https://www.facebook.com/TerakoyaEnten https://www.Instagram.com/ hoshi_no_shiho_enten

記事一覧

20 母になる

✴︎お母さんの世界 「あら〜このタイミングで、逆子になっちゃってるね。」 臨月まで残すところあと数日で、私のおなか中の赤ちゃんは 逆子になっていた。 月一回の検…

19 色とりどりのミッション

✴︎ぼくの世界 星の欠片が使う言葉は難しい。 しっかり聞いていても意味がわかんなかった。 僕はまだ聞きたいことがあったので 星の欠片の話はさておき、聞きたいこと…

18 薔薇色の雲

✴︎お母さんの世界 「うん、大丈夫。ちゃんと結ちゃんと連結したみたい。 これから、新しい流れが来るよ。 結ちゃんに伝えることができたから、私もそろそろ 旅立つタ…

17 ナビゲーター

✴︎ぼくの世界 ドコン、ドコン、と太鼓みたいな音がずっと鳴っていて、 今いるここは、その音に合わせてゆらゆらと揺れている。 ぼくは一粒の光となって、 体が溶けて…

16 温かい涙

✴︎お母さんの世界 「月子ちゃん、今、ここでなんか視えてる?」 さっきまで私を捉えていた月子ちゃんの美しい不思議な色の瞳が、 宙の一点を見据えてる。 私が話しか…

15 遭遇

✴︎ぼく 地上に近づいていくと、ぼくを囲んでいる水のベールは 急にスピードが落ちた。 水のベールを通して見る地球はピントが合わないカメラのようで 何も見えていな…

14 よばれた理由

✴︎お母さん 確かに、月子ちゃんは昔から大人びていて 本当は私より一歳年下なのにお姉さんみたいだった。 大人に叱られている姿など見たことがなく、 逆にうちの母な…

13 地球

✴︎ぼく 「特別なタマシイってのはさ、  まあ、生まれ落ちてからおいおいわかるってもんさ。  そんなになんでも簡単にわかっちゃったら、  お前さんも面白くないだ…

12 秘密

✴︎お母さん 月子ちゃんが突然現れてから一週間がたった。 同じ部屋でこんなに長く過ごしたのははじめてだったが、 幸い、うちのだんなさんは出張中で 気を使う相手も…

11 その先

✴︎ぼく そうこうしているうちに、ぼくが流されている 大群の行き先が見えてきた。 それは真っ暗闇の中で青い炎を灯した電球のようにも、 ぐるぐると渦巻く水の球のよ…

10 べっぴんさん

✴︎お母さん 月子ちゃんはうちの母の親友の娘さんだ。 母親同士が仲が良いので、何回か一緒に遊んだり、お泊りした記憶はある。 私が高校へ上がる頃、彼女は東京へ引っ…

9 特別なタマシイ

✴︎ぼく 「ほな、飛び込んでみよか」星の欠片がそう言ったけど、 ぼくの目の前は真っ暗すぎて、  箱の中に閉じこめられているのか、 宙に浮いているのかさえわからな…

8  月子ちゃんの登場

✴︎お母さん 禊プログラムは難航した。 まず、自分に嘘をつかないというのがなかなか難しい。 意識してみると、私は毎日、何の気なしに嘘をついていた。 バイト先のパ…

7 ひかりの道

✴︎ ぼく おじいさんはそう言いながら水瓶をゆさぶって 中に入っている星の欠片が まんべんなく見えるようにしてくれた。 ぼくはその中から、真ん中が薄いグリーンで…

6 禊人生のはじまり

✴︎おかあさん 神頼みするには、禊が必要だと思った。 今までの自分を省みて 清廉潔白な自分にならなければ、神頼みが通用するはずはない。 そもそもこの状況はきっと…

5 旅立ちの時

✴︎ ぼく 「はい、君、こっちへどうぞ」 真っ白で長いヒゲを生やしたおじいさんが手招きしている。 ぼくは走って近寄った。 おじいさんは大きな水瓶を抱えていて 中…

20 母になる

20 母になる

✴︎お母さんの世界

「あら〜このタイミングで、逆子になっちゃってるね。」

臨月まで残すところあと数日で、私のおなか中の赤ちゃんは

逆子になっていた。

月一回の検診日、私は毎回この子にハラハラさせられる。

前回の検診日は、赤ちゃんの元気度をチェックするタイミングで、

一番赤ちゃんが活発に動いているであろう昼の11時に予約をしたのに

超音波検査で爆睡しているのがわかり、すぐにはチェックで

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19 色とりどりのミッション

19 色とりどりのミッション

✴︎ぼくの世界

星の欠片が使う言葉は難しい。

しっかり聞いていても意味がわかんなかった。

僕はまだ聞きたいことがあったので

星の欠片の話はさておき、聞きたいことを質問した。

「話しかけてきた女の人と一緒にいたのがね、

青い部屋で見た女の人だった。

で、その人の首の後ろからすーって吸い込まれたから…

今ぼくはあの人のお腹の中にいるってこと?」

「そう。今キミはあの人のお腹の中ですく

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18 薔薇色の雲

18 薔薇色の雲

✴︎お母さんの世界

「うん、大丈夫。ちゃんと結ちゃんと連結したみたい。

これから、新しい流れが来るよ。

結ちゃんに伝えることができたから、私もそろそろ

旅立つタイミングかな。」

「え、月子ちゃん どこかへ行っちゃうの?

しばらくうちで暮らしてほしいぐらいなのに。」

「何言ってんの、結ちゃんの旦那さんのお邪魔じゃん。」

そう言われて、今度は私の頬を伝う涙が冷たく感じた。

「あのね、

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17 ナビゲーター

17 ナビゲーター

✴︎ぼくの世界

ドコン、ドコン、と太鼓みたいな音がずっと鳴っていて、

今いるここは、その音に合わせてゆらゆらと揺れている。

ぼくは一粒の光となって、

体が溶けてなくなっていくのかと思ったら

そういうわけではなさそうだ。

「よ、久しぶり。元気か?」

「うわ!星の欠片!ぼく、ものすごく聞きたいことだらけ!

 ここは一体どこなの?ぼくは今どうなってるの?」

「キミは今お母さんの腹の中で

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16 温かい涙

16 温かい涙

✴︎お母さんの世界

「月子ちゃん、今、ここでなんか視えてる?」

さっきまで私を捉えていた月子ちゃんの美しい不思議な色の瞳が、

宙の一点を見据えてる。

私が話しかけても、しばらく月子ちゃんの意識は

こことは別のところに集中しているみたいに見えた。

「あ、うん、ごめんごめん。

今さ、結ちゃんのところにやってくる魂と会話してた。」

「はぁ?ちょっとちょっと、待って。想像の域を超えてるんで

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15 遭遇

15 遭遇

✴︎ぼく

地上に近づいていくと、ぼくを囲んでいる水のベールは

急にスピードが落ちた。

水のベールを通して見る地球はピントが合わないカメラのようで

何も見えていないのと変わらなかった。

光のトンネルが行き着く先へ、ぼくを包んだまま運んでくれていた。

「今の結ちゃんにこれを伝えるために、私、ここに呼ばれたんだなって。」

いきなり女の人の大きなしゃべり声が、ぼくの耳に飛び込んできた。

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14 よばれた理由

14 よばれた理由

✴︎お母さん

確かに、月子ちゃんは昔から大人びていて

本当は私より一歳年下なのにお姉さんみたいだった。

大人に叱られている姿など見たことがなく、

逆にうちの母なんかはよく注意を受けていた。

だからうちの母と私の間で、

月子ちゃんをこっそりロッテンマイヤーと呼んでいたぐらいだ。

でも、その理由が…

「月子ちゃんって、スピリチュアルな人だったのか。」

「あ、私そのスピリチュアルって言

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13 地球

13 地球

✴︎ぼく

「特別なタマシイってのはさ、

 まあ、生まれ落ちてからおいおいわかるってもんさ。

 そんなになんでも簡単にわかっちゃったら、

 お前さんも面白くないだろう?」

変にもったいつけてないで、教えてくれたっていいのに

と思ったけど、ぼくは口に出さなかった。

それよりも、地球に近づくにつれて

おしくらまんじゅうみたいにぎゅうぎゅうと

引っ張られるもんだから、だんだん苦しくなって

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12 秘密

12 秘密

✴︎お母さん

月子ちゃんが突然現れてから一週間がたった。

同じ部屋でこんなに長く過ごしたのははじめてだったが、

幸い、うちのだんなさんは出張中で

気を使う相手もいなかったし、二人で自由に過ごしていた。

私は本屋さんとパン屋さんで掛け持ちのバイトをしているので、

結構朝から晩まで働いていた。

月子ちゃんは私がうちにいない間に、買い物や掃除、洗濯を

引き受けてくれていて、夜に帰宅したら

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11 その先

11 その先

✴︎ぼく

そうこうしているうちに、ぼくが流されている

大群の行き先が見えてきた。

それは真っ暗闇の中で青い炎を灯した電球のようにも、

ぐるぐると渦巻く水の球のようにも見えた。

「あれが地球だよ。」

「土っていうより、水の球に見えるね」

「そうだな。こうやって何度か眺めているけれど

 外側から見た時の地球は格別に美しい。

 最初の頃に比べたら、幾分鮮明さに欠けるがな。」

「星の欠

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10 べっぴんさん

10 べっぴんさん

✴︎お母さん

月子ちゃんはうちの母の親友の娘さんだ。

母親同士が仲が良いので、何回か一緒に遊んだり、お泊りした記憶はある。

私が高校へ上がる頃、彼女は東京へ引っ越すことになり

それ以来、母から近況を聞いてはいたが

本人とは多分15年以上会っていなかった。

「月子ちゃん?? え〜? どうしたの?」

「結ちゃん、ご無沙汰してます。17年ぶりね。ちょっと泊めてくれない?」

「17年ぶりに

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9 特別なタマシイ

9 特別なタマシイ

✴︎ぼく

「ほな、飛び込んでみよか」星の欠片がそう言ったけど、

ぼくの目の前は真っ暗すぎて、 

箱の中に閉じこめられているのか、

宙に浮いているのかさえわからなかった。

「飛び込むって、どこに?」

「飛び込むって思えば、落ちるか‥‥」

びゅーーーーーーーっっっっん

星の欠片の言葉を聞き終わらないうちに、

ぼくは光の道に向かって、真っ逆さまに落ちていった。

光の道に近づいていくと

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8  月子ちゃんの登場

8  月子ちゃんの登場

✴︎お母さん

禊プログラムは難航した。

まず、自分に嘘をつかないというのがなかなか難しい。

意識してみると、私は毎日、何の気なしに嘘をついていた。

バイト先のパン屋さんから頂いた残り物のパンの感想を聞かれ

本当はパサパサしていてまずい、と思ったのに

焼くとサクサクして美味しかったです。とか、

このミュージシャン、マニアには人気なんだよね〜と話す先輩に

あ〜その人、今来てますよねと、

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7 ひかりの道

7 ひかりの道

✴︎ ぼく

おじいさんはそう言いながら水瓶をゆさぶって

中に入っている星の欠片が

まんべんなく見えるようにしてくれた。

ぼくはその中から、真ん中が薄いグリーンで

外側に向かって黄色く光る星の欠片に手をのばした。

「俺を選ぶとは、キミ、挑戦者だね〜」

星の欠片がしゃべった??

ぼくはびっくりしておじいさんを見上げると、

そこにはもうおじいさんの姿も水瓶もなく

さっきまで賑やかだっ

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6 禊人生のはじまり

6 禊人生のはじまり

✴︎おかあさん

神頼みするには、禊が必要だと思った。

今までの自分を省みて

清廉潔白な自分にならなければ、神頼みが通用するはずはない。

そもそもこの状況はきっと私が何かをやらかしちゃったんだ。

だからバチが当たってるんだろう。

禊をはじめることにしたその日、

私は夜中からだらだらと映画を見続けて

窓の外が白々と明けていくのを見ていた。

またやっちゃった、と体に迷惑をかけた罪悪感。

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5 旅立ちの時

5 旅立ちの時

✴︎ ぼく

「はい、君、こっちへどうぞ」

真っ白で長いヒゲを生やしたおじいさんが手招きしている。

ぼくは走って近寄った。

おじいさんは大きな水瓶を抱えていて

中に光る玉がゴロゴロ入っているのが見えた。

ぼくは覗き込んだ。

「すごく綺麗な玉だね。ぼくにもちょうだい!」

「もちろん!そのために君はここへ来たんだから。」

そう言っておじいさんは水瓶を傾けた。

光の玉は大きさも輝きも色

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