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サイゴノデート×ト×ジサツ
傾く太陽から注ぐ西陽が、生まれたてのこまい木枯らしを照らしていた。台東区立浅草小学校と書かれたキーホルダーをランドセルにぶら下げた裸足の少年と彼の手を力強く握る少女が目の前を横切った。
「信じらんない!」
少女は怒っているようにみえたが、きつく結んだ小さな手から「絶対離さないからね」という柔らかな意志を感じた。僕は彼女の丸っこい手に不恰好な愛情を感じた。
ただ、少年は彼女へ返す表情やら言葉を持
オレンジブラウンリップ⑤
外は賑やかだった。
「アゲハチョウのやつだよ!」
「セフレ!」
「やけつく!」
夜は深まり、会話の断片と大きな笑い声が飛び交っていた。無遠慮な雑音、眩いだけで品のないライトと冷たい夜風は、先ほどから二人の間を漂う甘美なそれを剥ぎ取るには充分だった。
「もう少し飲もうよ。」
沙梨の口から淡と語られたその言葉は、それ以外の選択は許さないという重みを孕んでおり、従わなければ、一緒にいることは
甘ったるいだけで甘いもんじゃない
趣味で殴っても痛がらない人
趣味で殴られても痛くない人