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とある。 episode 8 そうやってまた、
そうやって僕はまた、
ひとりを選んでしまうんだ
自分を知っていくほど
自分が孤独を選んでいることに気づいて
ひとりを選ぶ、その理由に気づいていく
君をわかっていくほど
わかってあげられないんだと気づいて
君が欲しいことばは
君を救うことにはならないと気づいて
君が欲しいことばも言えなくて
それが君を傷つけてしまうから
だから僕はまた、
ひとりを選んでしまうんだと思う
君を知りたかったは
とある。 episode 7 コンビニ傘みたいだ
慌てて掴んだどこにでもあるその傘は
忘れられたらもうそのまんまなんだ
たった一瞬の雨をしのぐための僕だった
壊れたら簡単に手放されて
いらなくなっちゃうのなら
いつだって予備でしかないのなら
僕はもう誰かのために開くのをやめるんだ
雨でも晴れでも構わないから
自分のために開いてみる
くるくる回るその傘が
はじめて楽しそうに見えた
傘を開く日が
虹がかかる日になると思った
とある
とある。 episode 6 自分を見つけた日
やぶれていたと思って
ずっと埋めようとしてきたけれど
どんな道具を使っても埋めることはできなかった
不完全だと決めたのは自分で
それが完全だと知った
やぶれたところを繕おうとして
隠すように覆いをして
足りないと言わんばかりに鎧をつけて
やればやるほど
針を通すほどにちくりと痛かったのも
覆いに重たさを感じたのも
鎧がいくつあっても不安に感じたのも
それがなくても完全だと知るた
とある。episode 5 共通点だった
車窓から見える景色は
横へ横へと流れていって
後ろを覗き込むと見える景色は
ただ遠くへ流れていって
小さく小さく 見えなくなっていく
追いかけることが出来ないから
追いかけなくていいから 気持ちが楽だった
車窓の外に
あのときの想い出を流すような気持ちで
列車の揺れに身を委ねて目を閉じた
忘れられない人がいる。
君が振り絞るようにしてようやく伝えてくれた
その言葉
はじめから知ってい
とある。 episode 4 矛盾
あの日、
飛行機雲は下から上へと真っ直ぐに伸びて
空をふたつに分けていった
イエスかノーか
AかBか
選択を迫られているようで
答えが分からなくて
ただ上へと伸びていく飛行機雲を
目で追うことしか出来なかった
あなたとの幸せを諦めたくなくて、
あなたを許すことができなかった。
そんな自分も許すことが出来なくて。
そう言って、
涙を隠すようにして背中を向けて出ていく君を
君との幸せを
諦
とある。 episode 3 てがみ
君が教えてくれた
あのお店のお気に入りのクロワッサンとか
朝に聴く音楽とか
好きな花の香りも
全部集めてもあのときの君はここにいなくて
大好きなはずの春の陽だまりが
温度差を感じさせるから
来年は春を好きだと言えるだろうかなんて
余計な心配をしたんだ。
君の目線から見える日々を過ごしてきたから
パン屋さんで一緒に悩む時間も
君と口ずさんだあの曲も
君がさりげなく飾る花も
僕のお気に入
とある。 episode 2 蔑ろにした日々も
いつもそうだった
友達がこの子が好きだと言えば
実は私もなの、とは言えなかった。
友達の応援に回って
自分の好きはなかったことにした。
本やアーティストや
友達の好みと大きく違えば
いろんな好きまでも隠してしまった。
スポーツでも勉強でも
成績が少し上になれば
何か言われそうだなと察すれば
わざと手を抜いて
出来なかったということにした。
自分のことを後回しにして
友達のことを優先した。
とある。episode 1 膝を抱える今日に
とある誰かのストーリーを切り取って
誰かだったり自分だったり
それとも誰でもないのかもしれない
フィクションだったり
ノンフィクションだったり
どちらかだったり両方なこともある
episode 1
これをリラックスというのだろうか
湯船で膝を抱えて
顔も半分湯船に埋めて
今日一日が終わったことに安堵している。
今日も一日なんとかやり過ごした。
けれどどこかで
この日々の過ごし方