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25歳、人生初月見バーガー食後エッセイ

25歳、人生初月見バーガー食後エッセイ

 正しくは「濃厚とろ~り月見」を食べた。なぜだかよくわからないが25年の人生、一度も月見バーガーを食べたことがなかった。と書いてたところで月見バーガーって何年前からあるんだ?と思って検索をかけるとトミーズ雅が61年の人生で初めて月見バーガーを食べた、というヤフーニュースが目に入り、は?この文章これで終わるんか?とキレた、何なのこれが年の功っていうやつですか?(ちがう) あくまで月見バーガーはきっか

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愛憎芸 #45 『人生は演劇かつ群像劇、日記をともに書き、読むこと』【文学フリマ38に出店します】

愛憎芸 #45 『人生は演劇かつ群像劇、日記をともに書き、読むこと』【文学フリマ38に出店します】

マリオカートの世界記録動画に救われた

 世界記録ペースでマリオカートが駆ける動画を見て救われた。わたしはマリオカートに明るくない。何度かプレイ経験もあるけれど、何をどうすればタイムが縮まるのかは知らない。まだ、現実で車を運転することについてのほうがよっぽど詳しい。教習所にも通い、仮免許の試験の際になぜか一時停止を守れなくて一回落ちて、それ以来一時停止については細心の注意を払うようになり、昨年ゴー

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そいつのささやかな不幸を祈って叫ぶ夜がわたしたちには必要

そいつのささやかな不幸を祈って叫ぶ夜がわたしたちには必要

 このクソ世界で、優しさや控えめであることは基本的に仇です。優しさの類を重んじると悪意の矢面にいつも立たされ、基本的に言われっぱなしです。優しさは時々「ガチ」で報われることもあるとて、天秤にかけてみればとてもイコールにはならないと思う。そもそも見返りなど求めていないし。

 また言葉を飲み込んでいる。のに、お前は言いたいことを全部言っている。何か思ったときに、誰に対してもすぐに意見を表明できる人と

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栓抜きをゆずる/返事はいいけど聞いてない

栓抜きをゆずる/返事はいいけど聞いてない

 ずっと大事に思っている人間のこと、いまさらどうして大事なのか問うたところで無粋かもしれんのだが、いざ考えてみればそりゃまあ愛おしいもんで。わたしの好きなところを教えてよ、と問うのはまるで就活における自己分析の一環のようで形式ばるし、とはいえ大事な人間にはさらりと教えてもらいたい。向き合ってなお、好きなところを屈託なく「自分には絶対無理なことを君はできるんだよ!」とキラキラと目を輝かせてくれるタイ

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愛憎芸 #21 『文学的示唆とそれ以外の景色』

愛憎芸 #21 『文学的示唆とそれ以外の景色』

 身の回りの景色に意味を求めることは何かに縋りたいという潜在的な気持ちを顕わにするし、自分の拠り所の少なさをまざまざと見せつけられるようで、こういうときじゃなくてもっとそういう、拠り所を拠り所だと気づかないタイミングでそういう人たちを大切にできていたら、とかいろいろ思うけれどここは新自由主義の国、掴みに行かないと零れてしまう、なんてことだ、選挙に行った。

 そういうタイミングではついついジンクス

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愛憎芸 #20 『友愛の実存を確かめる時に少し拳を握りしめる動作を』

愛憎芸 #20 『友愛の実存を確かめる時に少し拳を握りしめる動作を』

 すっかり忙しない日々になってきた。2023年は4月に突入して、今久々にノートパソコンの姿で私にキーボードを叩かれている画面の右下には「鬼滅の刃刀鍛冶の里編」の予告通知がNetflixから飛んできている。刀鍛冶は結構終盤。もうアニメもそこまで来ているのか、来年まさか柱修行だけで終わらないよな、2024年に一気に無限城までやるんだろうか。鬼滅の刃の推しを聞かれて炭次郎と答えてしまう。そういうことを聞

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愛憎芸 #19 『エミネム、WBC、岡本和真と96年生まれの球児たち』

愛憎芸 #19 『エミネム、WBC、岡本和真と96年生まれの球児たち』

 前置きのない突風のように、人生には突如として猛烈な引力が発生する瞬間があり、それは引力なので、私たちは当然逆らうことができない。ただそこへ向かっていくほかないし、向かう方向が決まってしまっているので、その内実、つまるところ過程を詰めて詰めて詰めて、やっていかなければならない。Eminemの声が微かに聞こえた、"You better lose yourself!" 長らく味わっていなかった思いだ。

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愛憎芸 #16 『磯丸水産の付き出し小魚を生で食べる人たち』

愛憎芸 #16 『磯丸水産の付き出し小魚を生で食べる人たち』

 世界の終末を餃子を焼きながら迎える人もいるかもしれないという話をするカップルの短編小説を書けかけてやめた。その人にとっての終末を、戦争によってほんとうに一瞬で迎える場合があるご時世にそんな平和ボケしたこと書けない。SFのつもりで書いていたが自らの平和ボケを自覚し自己嫌悪に陥った。ラジオやMCバトル、そして今回の草稿のように、頭の中から最初に出てきた言葉というのは今その人がおかれている状況を晒し出

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愛憎芸 #15 『大友康平のRISE』

愛憎芸 #15 『大友康平のRISE』

 もう聞かなくなった音というものがたくさんある。私は2020年の7月から2021年の5月までコインランドリーに通っていた。せっかく洗濯機を買うなら良いものを買いたい、けれど初期費用がなかったためだ。結局旧SANYOの白物家電ブランドを吸収した、AQUAの3万円程度の洗濯機——ごく普通のものを購入したのだが。昨日久しぶりに、たった一度だけ使用したことのあったコインランドリーの前を通って、中を覗くとお

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愛憎芸 #14 『2月のある晴れた夜にブロッコリーのビタミンCはレモンの5倍あると知ることについて』

愛憎芸 #14 『2月のある晴れた夜にブロッコリーのビタミンCはレモンの5倍あると知ることについて』

 1年半ぶりに会った彼女に、ブロッコリーに含まれているビタミンCがレモンの5倍であることを説かれていた。かつて猛烈に片思いした相手と栄養素について語っている。相変わらず私は恋愛が苦手だけれど、もうそれでもいいやと思えているのがあの時との大きな違いなのだろう。

 1年半前に猛烈な振られ方をして以来。2日前に決まった成り行きでの再会。相変わらず、ペースは常に彼女にあって、緊張で細くなった私の声は学芸

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愛憎芸 #13 『転じて言葉にすること、終わることのないおしゃべり、異性として友人を紹介する行為』

愛憎芸 #13 『転じて言葉にすること、終わることのないおしゃべり、異性として友人を紹介する行為』

 間が空いてしまった。それでもなんとか続けよう。前回とうって変わって、言外の感覚も大切だけれど言葉にすることの尊さはやはりあるという気持ちになっている。その絶妙なバランス感覚は確かに大切で、結婚式の入場時に花嫁の母親がかける「幸せになってね」という言葉だったりは確かに存在してほしい、幹事を上手くできたかなとこぼす友人には良かったことをきちんと言葉にしてそこそこの文字数を割いて伝えたい(口頭で)。

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愛憎芸 #8 『モテキの長澤まさみ、他人の婚姻、他人だけの不思議』

愛憎芸 #8 『モテキの長澤まさみ、他人の婚姻、他人だけの不思議』

 東京に出てきてから最初に好きになった女の人が映画版『モテキ』の長澤まさみにそっくりなので、私は「なんもやる気が起きない日曜の昼下がりに映画版『モテキ』を観て長澤まさみに悩殺される」というイベントを定期的に開催している。ほんとうにあんなイメージの女性だった。自分がそれまでにかすかにも抱いていた価値観めいたものを一瞬で無為にしてしまう、そういう人間。それほどの(モテキの長澤まさみに現実で出くわすほど

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愛憎芸 #7 『LUUPでツーリング・土曜の体感時間を延ばす最善の方法』

愛憎芸 #7 『LUUPでツーリング・土曜の体感時間を延ばす最善の方法』

 完全週休2日制のもとで働いていると、とにかく土曜日を充実させることに力を注ぐようになる。充実させるということはつまり、後から思い出したくなるような日にすること、そして仮に一人で過ごすとするならば、何より体感時間を延ばすことが寛容である。「え?!まだ〇〇時?!」という感覚は多大なる救いである。「楽しい時間はあっという間」というのは誰かといるときの話で、一人で過ごす時間は長いからこそいい。それは迫り

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愛憎芸 #5 『ホムカミと街』

愛憎芸 #5 『ホムカミと街』

 昨日の仕事中から体調に異変を感じ、「とにかくレバニラ定食を食べるように」と上司に言われたのでそれを帰り道に食してから家で体温を測ると38度を超えていた。改めて、街中に設置されているサーモグラフィーの精度の悪さよ。コロナ禍が始まったころ、ユニクロのサーモグラフィーで私の体温は32度を記録した。多分誰だって経験したことだろう。未知数の体温を記録するためにいくらお金が使われているのか。そんなことを思い

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