記事一覧
こんなにハート汚れてますが
【詩】
いつか描いた未来に立って
自分を認めることができるのでしょうか
ぼくはいつかのきみなのです
白茶けた顔してますが
よく見てもらえばわかります
いつか描いた未来に立って
自分を許すことができるのでしょうか
ぼくはあの日のきみなのです
無罪のふりをしてますが
よく見てもらえば有罪です
いつか描いた未来に立って
自分を愛することができるのでしょうか
ぼくは寂しいきみなのです
傍若無人に見
鼓動 -repost-
【詩】
くるくると回りながらきみ
薺を一輪手折って笑う
その花の痛みを知らずに笑う
るらるらと歌いながらきみ
ふと声を詰まらせて泣く
悲しみなんて知らないと泣く
異なる時間を異なるきみが生きて
泣いたり笑ったり過ごす
きみの鼓動にぼくの心臓が同期して
「ああ、生きている」と気づく
「赤い花」ときみが言うと
「赤い花」とぼくは気づく
「青い空」ときみが言うと
「青い空」とぼくは気づく
壊れ
きみの脱け殻が床に転がっていて、それを踏まないように気をつけながら、ぼくは日々を過ごしている。
彼女の悲しみ -repost-
【詩】
彼女はいつも自分を完璧にコントロールして
間違った判断をしないよう細心の注意をはらった
そしてこの世界をうまく渡り歩いて
いつのまにか半生と言える年齢を過ぎた
彼女のまわりには彼女を愛する人たちがたくさんいて
自分は幸せだと思うことに疑問を挟む余地はなかった
彼女は思うきっとこのまま残りの半生も
これまでのように過ごしてゆけると
知人の葬儀からの帰りに線路沿いの道で
ふたり -repost-
【詩】
ある日、不確かな僕と確かな僕が
ふたりに分かれて別々の道を歩き出した
それまでの人生を比較的
確かな僕がリードしてきただけに
不確かな僕は道標を失い
思いのままに道を進み
雨が降れば何日でも足をとめた
確かな僕は不確かな僕を遠目に見ながら
それでもその日その日の糧を得るべく行動した
ある日、不確かな僕が海辺を歩いていると
釣りをしている少年に出会った
少年は不
茶色い瞳 -repost-
【詩】
今日が消えてゆくのです、次から次へと。
その男はイスに座るなり、唐突にそう言った。
見た目にはこざっぱりとした今どきの会社員風で、26~27歳くらいだろうか。
今日が消えてゆくのです、目の前から遠ざかって。掴もうとして手を伸ばしても届かない。追いかけても追いかけても逃げてゆくのです。
僕は促すように二度頷いた。
朝、目覚めると確かに今日はそこにあって、太陽は東の空を昇って
ひとりぼっちのONE
【詩】
ひとりぼっちのONEはくるくる回っている
ひとりぼっちだと気づかずにくるくる回っている
ときおりの遠方からの旅人は彼女を遠巻きに眺め
或いは彼女の心を不躾に傷つける
ひとりぼっちのONEはくるくる回っている
重い荷物を背負いくるくる回っている
親兄妹ともソーシャルディスタンスを保ち
不可思議なワームの片隅で踊り続けている
ひとりぼっちのONEはくるくる回っている
此の岸に立って -repost-
【詩】
彼の岸へとわたる人たちを
此の岸に立ち見送っている
霧が流れきてかすむ後ろ姿
渡りきるさま見届けられず
別れはぼんやりと不明瞭に
送る者のうちに降り積もる
沈殿したやるせなさのうえ
何気ない毎日が通りすぎて
ちいさな痛みがまたひとつ
無意識の空に浮かんでいる
生きるほどに喜びと悲しみ
彼の岸からかえり見るのか
此の岸に立ち手を振るまた
tamito
#詩
少年の1peace 【repost】
【シークエンス】
少年は海を見ている。
海岸沿いの低い堤防のうえに座り、もう半時ほど海を見ている。
空は晴れてはいるが雲がまばらにあり、日が差したり翳ったりしている。
鳶が風に乗り羽ばたきもせずに中空を漂っている。一羽、二羽、と少年は数える。見える範囲で五羽まで捉える。
少年は十三歳で、この春中学二年生になった。
昨年の夏まで、少年はこんな風に海を見ることはなかった。
海は生まれたときから
彼女の1peace 【repost】
【シークエンス】
不満があるわけじゃない日常。不安があるわけじゃない生活。語りかけてくるタイムライン。先々まで埋まる週末の予定。だけど、彼女の心は満たされない。
何故なのかと心に問う。多少やっかいな同僚はいるけど仕事は充実している。互いに100%ではなくても彼との関係は安定している。親の心配もいまのところはない。では、何故なのか。どうしても何かが欠けている気がしてならない。ジグソーパ
この空の在り様 -repost-
【詩】
この空の在り様が少なからず
人の心の在り様に映えるならば
彼らは毎夜てるてる坊主を軒下に吊るし
田畑の作物のことなど気にもせず
怪しげな祈祷師さえ恃み祈り続けることでしょう
けれども僕は夏の篠突く雨も秋の霖雨も
刺すように冷たい冬の凍雨さえも愛おしく
この青い空にひと粒の水滴を求めてしまいます
いつか 晴れた日にいつか
公園の芝に寝ころがり青い空を見あげ
一滴の雨粒も
二等辺三角形のようなきみの公平
【詩】
二等辺三角形のようなきみの公平に
憧れを抱いていた窓際の席
片足重心のようにバランスを欠いた
ぼくの右側がいつまでも痛い
胸の底の底では理解し合いながら
はぐらかしては笑いに変えた
回収せずにこぼれた懐かしさに
戻れずに時の狭間で立ち尽くしている
ユースティティアのようなきみの平等に
うちひしがれていた理科棟の踊り場
シンメトリーには程遠く非対称にゆがむ
不恰好な片頬が鏡
ひとつ残らずあなたのことを
【詩】
昨夜はひとり止まり木で
あなたの孤独に会いました
思いの外に冷たくて
わたしの右手は役立たず
ごめんなさいと繰り返し
どうしてそんなに苛むの
正解なんて時のなか
うつろい揺らぎ消えるもの
叶わなかった夢のこと
縛られていた胸のうち
幼い〈わたし〉を閉じ込めて
壊れたオモチャ握りしめ
あなたの〈ホント〉に会いたくて
扉をひとつ開けました
届かないまでも手を伸ばし
扉をひとつ開け