小林和孝

92年メキシコに渡り、デビューした元ルチャドール。99年に引退後、メキシコ、アメリカで…

小林和孝

92年メキシコに渡り、デビューした元ルチャドール。99年に引退後、メキシコ、アメリカでのプロレス取材と、ルチャリブレに関する記事を執筆。

記事一覧

アメリカってTV放送にも国内時差があるの⁉

アメリカ国内には4つの時間帯(ハワイを除く)がある。 東海岸時間 (ET)ニューヨーク、ボストンなど セントラル時間(CT)シカゴ、テキサス州、ルイジアナ州など 山岳部…

小林和孝
2日前
5

メキシコの郵便屋さん

ぼくがメキシコにいたのは今から17年も前のことだから、現在はだいぶ事情も変わっているとは思うけど、当時の現地郵便事情についてのお話しを紹介します。 「メキシコでは…

小林和孝
13日前
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メキシコの警察官って...

当然だが、日本とはまったく違う生活環境であるメキシコにいると、非日常的な現実に直面することがある。 その中でも代表的なケースは、犯罪に巻き込まれるパターンだろう…

小林和孝
2週間前
21

理解不能な「ウルトラマンエース」のゴルゴダ星爆破命令

昭和ウルトラマンシリーズ第2期(帰ってきたウルトラマン~ウルトラマンレオ)は、初代ウルトラマン、ウルトラセブンや、その後の平成シリーズに比べると、だいぶ雑に作ら…

小林和孝
2週間前
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ウルトラマンエースのデタラメすぎる世界

近年ウルトラマンシリーズのブルーレイ、DVDを見続けていると、懐かしさに浸ると同時に、記憶から抜け落ちていたものや、見たはずなのにまったく記憶になかったものなど、…

小林和孝
3週間前
11

昭和に比べてこんなに進化⁉ウルトラマン・ガイアのプロレステクニックと受け身

平成ウルトラマンシリーズ第三作目となるウルトラマン・ガイア。第一作目のウルトラマン・ティガに関しては以前少しだけ触れたが、二作目ウルトラマン・ダイナの視聴はスル…

小林和孝
1か月前
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ウルトラマンエースにみられる、プロレス的技の組み立てかた

以前「ルチャの受け身とウルトラマンの受け身は同じ?」で、前まわり受け身を中心に、歴代ウルトラ兄弟のプロレス技を使った戦い方を書いたが、今回はウルトラマンエースを…

小林和孝
1か月前
20

メキシコでドラゴンボールが成功した理由

メキシコで「ドラゴンボール」の人気が最も爆発したのは、97年から98年にかけてのことだ。露店ではキャラクターのイラストを加工したパネルや、フィギュア、Tシャツなど数…

小林和孝
2か月前
20

ルチャの受け身とウルトラマンの受け身は同じ?

コロナが広がりをみせた頃、アメリカではウルトラマンシリーズのブルーレイ(レオ以降はDVD)BOXが続々とリリースされていた。 一作あたり10ドル~15ドルと手ごろな値段だ…

小林和孝
2か月前
86

なんでルチャって右で組むの?

90年代、日本のマット界はインディー団体の登場で、多団体時代へと突入。 そのおかげといってはなんだが、それまで見ることのできなかった、メキシコ直輸入のルチャ・リブ…

小林和孝
7か月前
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あの頃おこった、新日本プロレス3大暴動事件②(終)

最初にちょっとお知らせです。 8月29日に扶桑社から「俺のプロレス Vol.5」が発売されます。 「検証 初代タイガーマスクの1983年」 「検証 クーデター後、新日本はどう…

小林和孝
9か月前
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あの頃おこった、新日本プロレス3大暴動事件①

これまでプロレス会場にはファンとして、選手として、そして取材のために幾度も訪れてきた。それぞれの立場で記憶に残る大会というのはあるが、ファンとして観戦していた時…

小林和孝
9か月前
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あの頃、助けてくれたレスラーたちのお話し

第一話 大学生のころ、ボクは学生プロレスをしながら、プロレス会場設営のバイトをしていた。4年生の終盤は全日本女子プロレスの会場で、リング作りとイス並べをする機会が…

小林和孝
1年前
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あの頃のアントニオ・ペーニャ’97⑤(終)

その後ボクたちは、ロス・カデテス・デル・エスパシオというチームとの連戦に入った。 前回多少なりとも評価され、今回はどの会場に行ってもカデテスとの対戦ということは…

小林和孝
1年前
11

あの頃のアントニオ・ペーニャ’97④

デビュー戦にむけてのコメント撮りのためにテレビ局に行くと、ボクの名前を聞いたテレビスタッフが声をかけてきた。 「ゴクウって、ドラゴンボールのゴクウだよね?」 メ…

小林和孝
1年前
10

あの頃のアントニオ・ペーニャ'97③

数日後、ヘススに言われた時間に事務所にやってきたが、朝早いためか、扉はまだ閉ざされていて、中には人の気配がない。 「待ったか?今開けるからな。」 数分後、ちょっ…

小林和孝
1年前
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アメリカってTV放送にも国内時差があるの⁉

アメリカってTV放送にも国内時差があるの⁉

アメリカ国内には4つの時間帯(ハワイを除く)がある。

東海岸時間 (ET)ニューヨーク、ボストンなど
セントラル時間(CT)シカゴ、テキサス州、ルイジアナ州など
山岳部時間(MT) デンバー、ソルトレイクシティー、フェニックス
西海岸時間 (PT) シアトル、ロサンゼルス、ラスベガス

東海岸のニューヨークと西海岸のロサンゼルスでは、3時間の時差がある。
ニューヨークが12時の時、ロサンゼルスは

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メキシコの郵便屋さん

メキシコの郵便屋さん

ぼくがメキシコにいたのは今から17年も前のことだから、現在はだいぶ事情も変わっているとは思うけど、当時の現地郵便事情についてのお話しを紹介します。

「メキシコでは郵便が届かないのは当たり前、ポストにいれても絶対届かないぞ。」

というのが、92年にぼくがメキシコに渡った当時の現地の人の言葉。
実際そのころ街角にあるポストはズタボロで、言われなくてもハガキを入れようとは思えないシロモノだった。

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メキシコの警察官って...

メキシコの警察官って...

当然だが、日本とはまったく違う生活環境であるメキシコにいると、非日常的な現実に直面することがある。

その中でも代表的なケースは、犯罪に巻き込まれるパターンだろう。

現地で生活する日本人の大半が、大なり小なり犯罪にあっているのに比較すると、1992年から2007年まで15年間メキシコで生活していたわりに、ぼくは危険な目にあったことは少ない。
そんな少ない経験の中から、警察官にまつわるお話しを紹介

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理解不能な「ウルトラマンエース」のゴルゴダ星爆破命令

理解不能な「ウルトラマンエース」のゴルゴダ星爆破命令

昭和ウルトラマンシリーズ第2期(帰ってきたウルトラマン~ウルトラマンレオ)は、初代ウルトラマン、ウルトラセブンや、その後の平成シリーズに比べると、だいぶ雑に作られた作品が多いように感じられるが、その中でも特出?しているのが「ウルトラマンエース」である。

今回はエースを見た人なら誰もが覚えているであろう、ウルトラ兄弟が十字架にはりつけになった、13話「死刑!ウルトラ5兄弟」14話「銀河に散った5つ

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ウルトラマンエースのデタラメすぎる世界

ウルトラマンエースのデタラメすぎる世界

近年ウルトラマンシリーズのブルーレイ、DVDを見続けていると、懐かしさに浸ると同時に、記憶から抜け落ちていたものや、見たはずなのにまったく記憶になかったものなど、小学生時、自分は怪獣博士だと思っていたのに、それほどではなかったことを思い知ることになった。

初代「ウルトラマン」の王道的なストーリー作りや、「ウルトラセブン」の敵の宇宙人は決して誰もが強いわけではないリアリティのある戦いなど、おじさん

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昭和に比べてこんなに進化⁉ウルトラマン・ガイアのプロレステクニックと受け身

昭和に比べてこんなに進化⁉ウルトラマン・ガイアのプロレステクニックと受け身

平成ウルトラマンシリーズ第三作目となるウルトラマン・ガイア。第一作目のウルトラマン・ティガに関しては以前少しだけ触れたが、二作目ウルトラマン・ダイナの視聴はスルーしたので、今回のプロレス技検証に一作分の空白が生じてしまうが、ご了承のほど。

ティガは時代背景としてK-1全盛期だったこともあり、キック、パンチ、突きが多くみられたが、これはガイアにも同じことがあてはまる。

基本的な技としては、正拳突

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ウルトラマンエースにみられる、プロレス的技の組み立てかた

ウルトラマンエースにみられる、プロレス的技の組み立てかた

以前「ルチャの受け身とウルトラマンの受け身は同じ?」で、前まわり受け身を中心に、歴代ウルトラ兄弟のプロレス技を使った戦い方を書いたが、今回はウルトラマンエースをフォーカスし、より深堀りしてプロレスラー的に見るとどうなのか?を改めて検証してみたいと思う。

番組開始時のエースは、動きにぎこちなさが見え、超獣と抱き合ってくんずほぐれつの素人のケンカのような戦い方が多い。見た目に何をやっているかわかりず

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 メキシコでドラゴンボールが成功した理由

メキシコでドラゴンボールが成功した理由

メキシコで「ドラゴンボール」の人気が最も爆発したのは、97年から98年にかけてのことだ。露店ではキャラクターのイラストを加工したパネルや、フィギュア、Tシャツなど数多くの海賊版が売られ、町中にあふれかえり(メキシコでは正規品のほうが珍しかった)、劇場での舞台化や、映画も公開されるほどだった。

正確には覚えていないが、メキシコで同作品のテレビ放送が始まったのは、95年の後半で、地上波のテレビサ5チ

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ルチャの受け身とウルトラマンの受け身は同じ?

ルチャの受け身とウルトラマンの受け身は同じ?

コロナが広がりをみせた頃、アメリカではウルトラマンシリーズのブルーレイ(レオ以降はDVD)BOXが続々とリリースされていた。
一作あたり10ドル~15ドルと手ごろな値段だったため、ちょいちょい買っては見てを繰り返し、先日ウルトラマンティガまで見終えることができた。

ここまでシリーズを見ていて気になったのは、ウルトラマンたちが取る受け身。これは昨年Gスピリッツで書かせてもらったが、特撮ヒーローたち

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なんでルチャって右で組むの?

なんでルチャって右で組むの?

90年代、日本のマット界はインディー団体の登場で、多団体時代へと突入。

そのおかげといってはなんだが、それまで見ることのできなかった、メキシコ直輸入のルチャ・リブレを日本にいながらにして堪能できるようになった。

それ以前もメキシコから多くのルチャドールが来日していたが、日本人の対戦相手として呼ばれた彼らのほとんどが、持ち味を発揮できずにいた。
しかし、そんな彼らも十数人まとめて来日するようにな

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あの頃おこった、新日本プロレス3大暴動事件②(終)

あの頃おこった、新日本プロレス3大暴動事件②(終)

最初にちょっとお知らせです。
8月29日に扶桑社から「俺のプロレス Vol.5」が発売されます。

「検証 初代タイガーマスクの1983年」
「検証 クーデター後、新日本はどうなったのか?」

この2本を書かせていただきました。
来週火曜日発売ですので、書店でみかけたらちょっと見ていただければうれしいです。

では本編の続きをお楽しみ下さい。

▼87年12月27日両国国技館 イヤーエンド・イン国

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あの頃おこった、新日本プロレス3大暴動事件①

あの頃おこった、新日本プロレス3大暴動事件①

これまでプロレス会場にはファンとして、選手として、そして取材のために幾度も訪れてきた。それぞれの立場で記憶に残る大会というのはあるが、ファンとして観戦していた時代に遡ると、80年代に新日本プロレスで暴動の起こった3大会は、のちのち語られることも多いことから、印象深い大会となっている。

83.6.14蔵前国技館
87.3.26大阪城ホール
87.12.27両国国技館

たまたまボクはこの3大会を会

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あの頃、助けてくれたレスラーたちのお話し

あの頃、助けてくれたレスラーたちのお話し

第一話
大学生のころ、ボクは学生プロレスをしながら、プロレス会場設営のバイトをしていた。4年生の終盤は全日本女子プロレスの会場で、リング作りとイス並べをする機会が多かった。

全女の会場はイス席の後方に立ち見客が指定席エリアに入れないようにフェンスが設置されており、試合中はそこでチケットを確認する門番役をすることが多かった。
指定席エリアに入れる通路はお客さんだけでなく、リングに向かう選手も通るの

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あの頃のアントニオ・ペーニャ’97⑤(終)

あの頃のアントニオ・ペーニャ’97⑤(終)

その後ボクたちは、ロス・カデテス・デル・エスパシオというチームとの連戦に入った。

前回多少なりとも評価され、今回はどの会場に行ってもカデテスとの対戦ということは、オフィスは「テレビで日本人とカデテスの抗争をやるから」と言ってプロモーターにこのカードを売りこんでいるのだ。しかしなぜかテレビマッチで、この試合が組まれることはなかった。

これはボクたちが年末日本に試合に行くと、オフィスに伝えたことが

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あの頃のアントニオ・ペーニャ’97④

あの頃のアントニオ・ペーニャ’97④

デビュー戦にむけてのコメント撮りのためにテレビ局に行くと、ボクの名前を聞いたテレビスタッフが声をかけてきた。

「ゴクウって、ドラゴンボールのゴクウだよね?」

メキシコでドラゴンボールのアニメは、96年からテレビ放送がスタートし、日本同様大人気を博していた。そのおかげでテレビと同じコスチュームを着てゴクウを名のっているぼくにも、ローカル会場ながら子供たちから徐々に声援が飛ぶようになっていた。

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あの頃のアントニオ・ペーニャ'97③

あの頃のアントニオ・ペーニャ'97③

数日後、ヘススに言われた時間に事務所にやってきたが、朝早いためか、扉はまだ閉ざされていて、中には人の気配がない。

「待ったか?今開けるからな。」

数分後、ちょっとだけあわただしく、ビルのエレベーターから降りてきたヘススはドアの鍵を開け、一緒に中に入ると部屋の電気をつけてまわった。

いつものようにソファーに腰掛け待っていると、現在九州プロレス代表である筑前亮太選手がやってきた。
彼はこの時、メ

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