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三浦雅士――人間の遠い彼方へ その1、その2

三浦雅士――人間の遠い彼方へ その1、その2

三浦雅士――人間の遠い彼方へ その1



鳥の事務所



三浦雅士――人間の遠い彼方へ

鳥の事務所









第Ⅰ部 批評家としての三浦雅士







α篇

三浦雅士

――批評的散文詩の発明













そもそものはじめに



本稿は以前、突発的に、前の会社を辞めて、次の仕事が全く見つからなかったときに、半年ほどかけて書いた、一

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「死の家の記録」――『ダブリナーズ』「エヴリン」を読む

「死の家の記録」――『ダブリナーズ』「エヴリン」を読む

Jジェイムズ・ジョイスを読むJ



Eveline

謎々『ダブリナーズ』その4「死の家の記録」――『ダブリナーズ』「エヴリン」を読む

【凡例】

・『ダブリナーズ』からの引用は原則として新潮文庫版を使用し、適宜他の訳書も参考にした。また、英語原文はwebサイト『Project Gutenberg(プロジェクト・グーテンベルク)』(Dubliners by James Joyce - Fr

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現代の「白痴」――献身と姥捨て――カズオ・イシグロ『クララとお日さま』

現代の「白痴」――献身と姥捨て――カズオ・イシグロ『クララとお日さま』



~~過渡期の人間――カズオ・イシグロを読む そのⅨ~~

現代の「白痴」――献身と姥捨て――カズオ・イシグロ『クララとお日さま』

■Kazuo Ishiguro, Klara And The Sun,2021, Faber & Faber, Knopf, Hayakawa Publishing/カズオ・イシグロ『クララとお日さま』2021年3月15日・英Faber & Faber社、米K

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天才小説家の裏と表を広汎なる取材と卓抜なる筆致で活写――ジェラルド・クラーク『カポーティ』

天才小説家の裏と表を広汎なる取材と卓抜なる筆致で活写――ジェラルド・クラーク『カポーティ』





叶えられなかった祈りより、叶えられた祈りのうえにより多くの涙が流される――聖テレサ*[1]









トルーマン・カポーティ――叶えられなかった祈り



附章 主要参考文献・解題

第Ⅱ節 天才小説家の裏と表を広汎なる取材と卓抜なる筆致で活写――ジェラルド・クラーク『カポーティ』



■Gerald Clarke, Capote: A Biography,

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トルーマン・カポーティ――叶えられなかった祈り  第2章 その作品第Ⅳ節 不気味なものへの誘い、あるいは恐怖の根源へ――『夜の樹』

トルーマン・カポーティ――叶えられなかった祈り 第2章 その作品第Ⅳ節 不気味なものへの誘い、あるいは恐怖の根源へ――『夜の樹』





トルーマン・カポーティ――叶えられなかった祈り



第2章 その作品

第Ⅳ節 不気味なものへの誘い、あるいは恐怖の根源へ――『夜の樹』



【目次】

第Ⅳ節 不気味なものへの誘い、あるいは恐怖の根源へ――『夜の樹』... 1

1 長篇小説作家になり切れなかった、天才短篇小説作家... 3

2 「北部もの」「南部もの」... 6

3 「ミリアム」... 9

4 

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神の不在の重石として――『冷血』

神の不在の重石として――『冷血』





トルーマン・カポーティ――叶えられなかった祈り



第2章 その作品

第Ⅹ節 

神の不在の重石として――『冷血』

【未定稿】



🖊ここがPOINTS!

① トルーマン・カポーティ『冷血』は、事実には基いてはいるが、架空のジャーナリストの視線で書かれたことを装った、あくまでも「ノヴェル」である。

② 被害者、加害者を問わず、この事件で亡くなった人々の様々な苦し

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観察者、あるいは批評家としてのカポーティ                                                    トルーマン・カポーティ『犬は吠えるⅠ――ローカル・カラー/観察日記』

観察者、あるいは批評家としてのカポーティ トルーマン・カポーティ『犬は吠えるⅠ――ローカル・カラー/観察日記』

◎総特集=トルーマン・カポーティ×村上春樹――カポーティ『遠い声、遠い部屋』新訳刊行に寄せて🐈トルーマン・カポーティ―を読む🐈



観察者、あるいは批評家としてのカポーティ



トルーマン・カポーティ『犬は吠えるⅠ――ローカル・カラー/観察日記』





■Truman Capote, The Dogs Bark,1951-1973/トルーマン・カポーティ『犬は吠えるⅠ―

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心なしか、心躍る愉しい悪夢の形         フジモトマサル『〈新版〉夢みごこち』

心なしか、心躍る愉しい悪夢の形 フジモトマサル『〈新版〉夢みごこち』

🐏Keep Calm and Read Murakami~村上春樹を読む🐏

🐭フジモトマサルを読む🐭



心なしか、心躍る愉しい悪夢の形

フジモトマサル『〈新版〉夢みごこち』





■フジモトマサル『〈新版〉夢みごこち』旧版2011年1月・平凡社/新版・解説、村上春樹・2022年3月24日・平凡社。

■短篇連作漫画。

■目次 

l 全18話

l 村上

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豊饒なる「南部」の喪失                      トルーマン・カポーティ『真夏の航海』

豊饒なる「南部」の喪失 トルーマン・カポーティ『真夏の航海』

◎総特集=トルーマン・カポーティ×村上春樹――カポーティ『遠い声、遠い部屋』新訳刊行に寄せて🐈トルーマン・カポーティ―を読む🐈



豊饒なる「南部」の喪失



トルーマン・カポーティ『真夏の航海』





■Truman Capote, Summer Crossing,2005/トルーマン・カポーティ『真夏の航海』安西水丸訳・2006年9月13日・ランダムハウス講談社。

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樹の上に座礁した方舟                          トルーマン・カポーティ『草の竪琴』

樹の上に座礁した方舟 トルーマン・カポーティ『草の竪琴』

🐈トルーマン・カポーティ―を読む🐈



樹の上に座礁した方舟



トルーマン・カポーティ『草の竪琴』





■Truman Capote, The Grass Harp,1951/トルーマン・カポーティ『草の竪琴』小林薫訳・1971年2月10日・新潮社。

■翻訳・中篇小説。

■目次 

・1~7

・あとがき(小林薫)

■196ページ。

■650円。

■202

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新しい葡萄酒に相応しい新しい革袋を探してトルーマン・カポーティ『ここから世界が始まる』

新しい葡萄酒に相応しい新しい革袋を探してトルーマン・カポーティ『ここから世界が始まる』

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🐈トルーマン・カポーティを読む🐈



新しい葡萄酒に相応しい新しい革袋を探して

トルーマン・カポーティ『ここから世界が始まる』





■Truman Capote, The Early Stories of Truman Capote, 2015/トルーマン・カポーティ『ここから世界が始ま

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何もかもが美しくて、たとえば誕生日の子どもたちのようなところ*[1] トルーマン・カポーティ、村上春樹訳『誕生日の子どもたち』

何もかもが美しくて、たとえば誕生日の子どもたちのようなところ*[1] トルーマン・カポーティ、村上春樹訳『誕生日の子どもたち』

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何もかもが美しくて、

たとえば誕生日の子どもたちのようなところ*[1]



トルーマン・カポーティ、村上春樹訳『誕生日の子どもたち』





■Truman Capote, Children on Their Birthdays,1945-1995/トルーマン・カポーティ『誕生日の子どもた

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