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【読書ノート】58「天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊」山崎良兵 (著)

世界を代表する大富豪で読書家でもあるテスラのイーロン・マスク、アマゾンのジェフ・ベゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツの読んだ本を100冊選んで紹介するという内容。紹介された本をどれも有名かつ優れた内容のものばかりで、今まで自分が読んだことがある本も何冊か含まれていた。

著者はジャーナリストでこの本を書くために多くの本に目を通さなくてはならなかったため、完成まで3年ほどかかったと言う。この本を読めば、紹介されたいくつもの本のあらすじが理解出来るようになっており、非常にすぐれたブックレビューになっている。分野はリーダー論、経営論、行動経済から AI、データ解析、遺伝学、宇宙、人類史、SFなど多岐に渡っており、彼らの博識が裏付けられる。

この本を読むとやはり紹介された本を読みたくなり、実際私は「あなたの人生の意味」や「ダイヤモンド・エイジ」など読み始めた。読書が好きな方や飛びぬけた業績を挙げた人たちの教養の中身を理解したい人にお勧め。

古来より、人間は読書を通じて多くの知識を得てきました。 「本のない部屋は魂のない体のようなものだ」と古代ローマの政治家、キケロが語っています。膨大な情報を文字として書物に記録できるようになったことは、文明の発展を貢献しました。 ローマ帝国が滅んで 文明が衰退した中世でも古代から受け継がれた人類の叡智はキリスト教の修道院などで守られてきました。 ウンベルト・エーコの小説「薔薇の名前」には、中世の修道士たちが写本を制作するクリプトリウム(写字室)の様子が描かれており、「 知の宝庫」として書物が大事にされていたことがうかがえます。

12~13世紀になるとヨーロッパ各地に大学ができて、教授や学生たちの間に読書が広がります。 ギリシャ、ローマ時代の文化を再発見することにより、ルネッサンスが起き、 芸術や科学が発展しました。 さらに15世紀になると、ヨハネス・クーテンベルクがもたらした活版印刷の技術により、 大量の本が出回るようになります。

本の数が爆発的に増えたことは、ヨーロッパにおける化学技術の発展を後押ししました。 インターネットの時代 の「情報爆発」にも匹敵するような現象が起きたと言えるでしょう。 学者が最新の研究内容をまとめて本として出版すると、それを多くの人がすぐに入手できるようになりました。 大量印刷で安価になった本が簡単に手に入るようになり、「知の共有」が加速度的に進みます。古典から最新が研究成果まで多数の本が読めるようになって、「ひらめいた」と叫ぶ人が続出するような時代が到来しました。

この結果、16~19世紀にかけて科学技術の発展が加速したヨーロッパは、中東やアジア、アフリカなど他の地域は圧倒する力を持つようになります。その原動力の1つが、 知識が蓄積された大量の本の普及でした。

20世紀まで人間が知識を得る1番の手段は書物を読むことでした。しかし、21世紀になってインターネットが普及すると、膨大な情報を誰もが手軽に得られる時代がやってきます。

スマートフォンやパソコンで検索すれば簡単に情報が得られる時代に、本を読む意味なんてあるの? 若い世代を中心にそんな声も多くなっています。ネットを検索して見つかる情報だけで何でも理解できると考える人も少なくありません。
それでも物事の本質に迫る深い情報を得るのは、やはり本が一番だと私は思います。 断片的だったり、根拠が曖昧だったりするネット情報と比べると、専門的な研究を踏まえた本には裏付けがあり、多くの気づきを得られます。不確かな情報が反乱している時代だからこそ、良い本の価値は高まっていると私は思います。

441-442

(2024年2月25日)



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