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【読書ノート】39 「ボーダー 移民と難民」佐々涼子

日本の入管、難民制度、技能実習制度などの酷い現状が良く理解できるルポタージュ。入管における人権を無視した非人道的な行いは報道されているので知っている人も多いが、その具体的な例が聞き取り調査で詳細に記されており、そのあまりの酷さに辟易する。国連からも指摘されているようにこれらは日本の低い難民認定率が問題の根源であり、改善が必至である。また、技能実習制度のおかしさとその現状も複数の外国人への聞き取りで浮き彫りにされている。多くの日本人が読むべき一冊。

「技能実習制度のたてつけには最初から無理があった。労働力は欲しいが、外国人に日本に住みついてもらっては困る。そんな本音が透けて見える。」

p137

「外国人技能実習制度は企業にとって麻薬だ。最初は躊躇していた経営者も、一度その味を知ると、あと一本、あと一本と打つのをやめられなくなる。・・・日本では第一次産業、小さな工場など深刻な人手不足に陥っている。特に地方不足に陥っている。特に地方は顕著で、今や外国人労働者なくして地域経済は回っていかない。」

p139

(2023年4月26日)


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