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雑文

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ヘルシーなサラダ味

ヘルシーなサラダ味

言語はその言語の話者の思考に影響を与える、とする説がある。
いわゆる「サピア=ウォーフの仮説」だ。
提唱した言語学者のエドワード・サピアとベンジャミン・ウォーフにちなんで名づけられた仮説だが、そのウォーフが火災保険会社で働いていた時のエピソードが興味深い。

彼がガソリンの貯蔵施設での火災を調査していると、ガソリンが入っていない「空の(empty)」ドラム缶が置かれた部屋が火元になっている場合が多

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ことばのインフレ

ことばのインフレ

モノの価値は供給量で決まる。
ことばも例外ではない。

「はいはい」と返事をする女は相手の話を真剣に聞いていないし、不特定多数の女に「愛してる」とささやく男に愛はない。
他のすべてのモノと同様に、ことばも過剰になれば価値が下がるのだ。

「大絶賛」ということばがある。
「絶賛」自体が「この上なく褒めること」であり、それをさらに強調するため「大」が付されたものだが、過剰な修飾のせいでそれほどの効果は

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スイミーの教訓

スイミーの教訓

小学校の国語の教科書に載っている物語の中で、いちばん多くの人の記憶に残っているのはどの作品か。
年代によって違うとは思うが、おそらく『スイミー』がトップクラスの人気を有するのではないだろうか。

実際、「ねとらぼ」が2021年に行ったアンケートでは『スイミー』が首位だった。

なぜ『スイミー』は多くの人の心に残るのか。
理由はいろいろと考えられるけれど、わかりやすいストーリーと、読んだ後に得られる

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もしも徹子の部屋に◯◯が来たら

もしも徹子の部屋に◯◯が来たら

「徹子の部屋」は面白い。
リアルタイムではもう何年も観ていないが、たまに観るとやはり非常に興味深い。

観るのはもちろんだが、「もしも徹子の部屋に◯◯が来たら」と妄想するのも楽しい。
黒柳徹子は現在89歳なので、今のうちに、と言っては失礼だが、重要人物との対談を記録し、歴史的資料として残してほしいところだ。

たとえば、「宮崎駿 in 徹子の部屋」なんて、想像しただけで興奮してしまう。
リアル湯婆

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略そうぜドラゴンボール

略そうぜドラゴンボール

子どもの頃から「ドラゴンボール」が好きだった。
原作漫画はもちろん、歴代のアニメ「ドラゴンボール」「ドラゴンボールZ」「ドラゴンボールGT」は、俺にとってかけがえのない作品だった。

けれども、近年新たに制作された続編アニメ「ドラゴンボール超」やその劇場版には、さすがに食指が動かなくなっている。
俺がおっさんになったせいだろう。
子どものころあれだけ夢中になった、俺たちの「ドラゴンボール」の世界を

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あまりにも完璧すぎる浜辺美波ちゃんと横浜流星くんは

あまりにも完璧すぎる浜辺美波ちゃんと横浜流星くんは

最近気になっている人がいる。
浜辺美波ちゃんと横浜流星くんだ。
といっても、別にファンを名乗れるほど出演作を観ているわけではない。
美波ちゃんの作品は映画「シン・仮面ライダー」、流星くんはドラマ「初めて恋をした日に読む話」、それぞれ一作しか観ていないのだが、なんというかもう、このふたりは、すごい。

まず名前がすごい。
ふたりとも本名である。
次にルックスがすごい。
整っているにもほどがある。

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ぶつかりおじさん被害者の会

ぶつかりおじさん被害者の会

「ぶつかりおじさん」をご存じだろうか。
主に電車や駅などで不注意に、あるいは故意にぶつかってくるおっさんのことである。
この種の迷惑な輩は昔からいたが、そのポップなワードの出現によって、今まで意識的でなかった層にも認知されつつあるようだ。

もちろん、人混みでぶつかってくるのはおっさんだけでなく、おばさんや若い女もいるだろう。
けれども、一般に女性の場合、人混みで誰かにぶつかった際のリスクが男性よ

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短歌で獲った初めての賞

短歌で獲った初めての賞

noteを始めて3年あまり。
初めは小説やら雑文やらを書いて載せていたが、去年から短歌を載せるようになった。
それまでも歌集を読むことはあったが、自分で短歌を詠むことはほとんどなく、SNSに載せたのもほぼ初めてだった。

短歌との出会いはたしか大学生の頃で、ご多分にもれず俵万智の『サラダ記念日』にハマった。
俵さんは早大卒で、彼女の師である佐佐木幸綱は、俺が早大政経学部に在籍した当時、政経学部教授

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女嫌い VS 男嫌い

 モテない男は過度に失恋を怖れるあまり、女に対する好意を悟られまいとしがちである。非モテ男にとっての理想は、ライトノベルの主人公のように、あらゆる事象に対し「やれやれ」と冷笑するだけで何も行動を起こさずともなぜか周囲の美少女からモテモテになる、という状況だろう。

  しかし、もちろん現実にそんなことは起こりえない。意中の女を手に入れたければ最低限の身だしなみを整え、さまざまな配慮をしつつデートに

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バえる言葉

バえる言葉

 Yahoo!ニュースのコメント欄が好きだ。誰かに対する罵詈雑言やうさんくさい政治思想に溢れ、もう日本はおしまいだなどと自虐を装いつつ実は他責的で独善的な言説が幅をきかせる、あのしょうもないコメント欄を読むのが好きなのだ。

 ヤフコメ欄で嬉々としてご高説を垂れ流しているのは、主に中高年のネット民である。彼らにとってあそこは手軽に書き込め、運が良ければバズることのできる自己表現の場なのだ。多くの若

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子供の頃やったSFCソフトを今さらレビュー

子供の頃やったSFCソフトを今さらレビュー

【1】スーパーマリオカート(任天堂、1992年)
☆☆☆☆
言わずと知れた初代マリカー。SFCソフトとして発売されたため、後のシリーズのものとは違い地味でシンプル。たとえるなら、中学のとき好きだったあの子のようなゲーム。隠しコースを出現させる際のコマンド「LRLRLLRRA」は、今もこの胸に刻まれている。

【2】ミッキーのマジカルアドベンチャー(カプコン、1992年)
☆☆☆☆
ストーリー、キャ

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為す偽善より為さぬ善

「為さぬ善より為す偽善」という常套句がある。この、うんざりするほどネットで目にするフレーズは、災害に見舞われた地域に有名人が義援金を寄付し、ネット上でその人の寄付が「売名行為だ」と批判を受けている状況で、その批判に対する反論として使われることが多い。

 正直に言って、俺はこのフレーズが大嫌いだ。というのも、こういう文脈で「為す偽善」と呼ばれているのは、実際には善だからである。ある人の意図的な行

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もしも『ドラゴンボール』の孫悟空がナイツの漫才にインスパイアされたら

悟空「なあベジータ、オラこないだテレビですっげえおもしれえ漫才師見たんだ。ナイツっていってさ」

ベジータ「ふん」

悟「それ見てたらオラも漫才やってみたくなっちまったぞ。どうだ、一緒にいっちょやってみっか?」

ベ「ふざけるなカカロット! なぜオレが貴様なんかと」

悟「まあそう言うなよ」

ベ「しかたあるまい。喜ぶがいい、貴様のような下級戦士が超エリートに遊んでもらえるんだからな」

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日本語の変化・誤用例集 (暫定版)

グループ1:異なる意味を表すようになったもの

・募金……「寄付金を募ること」から「金を寄付すること」へ

・課金……「利用料を課すこと」から「利用料を払うこと」へ

・憮然……「失望し、ぼんやりとすること」から「腹を立て、むっとすること」へ

・号泣……「泣き叫ぶこと」から「さめざめと泣くこと」へ

・爆笑……「大勢の人がどっと笑うこと」から「(人数に関係なく)大笑いすること」

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