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16歳でLed Zeppelinに衝撃を受けてロック名盤を聴くようになり、大学ではジャ…

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16歳でLed Zeppelinに衝撃を受けてロック名盤を聴くようになり、大学ではジャズサークルでピアノを弾きジャズに傾倒。社会人になってからはリスナー一筋。ジャズ〜ブラジル音楽〜ブレイクビーツ・ハウス〜R&B〜ヒップホップ〜アンビエントと幅を広げて今に至る。

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  • 日本のオルタナティブな音楽

    国内外の多くの人にもっと知ってもらいたい日本のオルタナティブな音楽について紹介していきます。

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21世紀のジャズ入門

「ジャズを聴いてみたいから、お勧めを教えて?」 こう聴かれたら、ジャズリスナーの皆さんはどの作品を選びますか? つい最近まで私は、ビル・エヴァンス「Portrait In Jazz」とジョン・コルトレーン「Ballads」、そしてインコグニート「100°and Rising」を選んでいました。 前2者については誰もが認める名盤で且つ万人受けしそうな作品からピアノトリオ作品とホーン作品を1枚ずつ、そしてインコグニートは“ジャズのテイストを取り入れた最近の音楽”というのが選出

    • 日本のオルタナティブな名盤 (2) WONK「Sphere」2016年

      2012年にロバート・グラスパー「Black Radio」がリリースされ、ジャズと呼ばれるジャンルで表現される音楽が劇的に拡大し、その境界線も曖昧となった。 ジャズがR&Bやヒップホップと融合することは異端ではなくなり、ありとあらゆるジャンルをジャズと融合させる音楽実験も世界各地で盛んに繰り広げられるようになった。 それまで停滞していたかに見えていたジャズの世界が目に見えて動き出した瞬間である。 日本でジャズに取り組んでいた10代〜20代の若者達がこのムーブに刺激を受けたこ

      • 日本のオルタナティブな名盤 (1) 青葉市子「アダンの風」2020年

        …架空の島に生まれ育った予知力を持つ娘が言葉のない島『アダンの島』へ送られ、そこで『クリーチャー』という謎めいた存在に出会う… 謎めいたプロットを元に「架空の映画のためのサウンドトラック」というコンセプトで創作された2020年リリースの作品。 青葉市子自身が沖縄や奄美の島を訪れた体験が作品の源になっているが、沖縄の音楽をモチーフにした作品ということではなく(琉球音階を取り入れた曲はあるが)、音楽の本体はノスタルジックなトラディショナルフォーク、そこに民族的な、あるいはトラ

        • もっと知ってもらいたい日本のオルタナティブな音楽 〜序文〜

          私は日頃から世界各国の音楽をあれこれ聴いていますが、海外の音楽を聴くときには自然とその国の独自性を音楽の中に探しているような気がします。ブラジルの音楽にはブラジル音楽らしさを、アルゼンチンの音楽にはアルゼンチン音楽らしさを、キューバの音楽にはキューバ音楽らしさを、といった具合に。 そのような土着の要素が様々なジャンルの要素と絶妙にミックスし熟成されることで、他には無い風味が醸し出され独自性の高い斬新な音楽となるように感じています。 一方で日本の音楽について、海外の人々が日

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        • 日本のオルタナティブな名盤 (1) 青葉市子「アダンの風」2020年

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          2023年第74回NHK紅白歌合戦雑感

          80年代に小中高校生だった、いわゆる『団塊ジュニア』世代の私にとって、子供の頃の『紅白』は観るのが当たり前の番組でした。大学生になって親元を離れてからも、年末に帰省すれば大晦日は『紅白』を家族で観ていました。 それが家庭を持ち子供が生まれ、成長と共に子供達が裏番組を観たがるようになり、いつしか『紅白』は興味のあるミュージシャンを中心に断片的に観る程度になっていました。 私はいわゆる音楽オタクの部類に入ると思うのですが、好んで聴く音楽は偏っていて、最近はテレビをほとんど観ない

          2023年第74回NHK紅白歌合戦雑感

          個人的2023年アルバムベストランキング

          2023年、皆さんにとってどんな1年でしたか? 新型コロナウイルス感染症が5類に移行となって大勢の海外ミュージシャンが来日し、フェスも参加しやすくなって、久しぶりにライブ参戦しされた方も多かったことでしょう。 私もライブに行きたいと思いつつも結局叶わず、専らSpotify頼りのインドア音楽ライフを過ごしておりました。 今年も気の向くままに新譜を聴いていましたが、その中から個人的に印象に残ったアルバムベスト20枚を選んでみました。どうしても順位をつけられなかった2作品以外

          個人的2023年アルバムベストランキング

          ジャズ入門プレイリストを作りました

          「21世紀のジャズ入門」という記事を書いてから、21世紀のジャズをまとめたプレイリストを作る作業に取り掛かっていましたが、思った以上に時間が掛かってしまい、その間に20世紀のジャズ入門プレイリストが先に仕上がってしまいました。 ようやくプレイリストが揃いつつあるので、ここでご紹介するとともに、どういう視点でまとめたかというのを補足しておきたいと思います。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 まず、今回のジャズ入門プレイリストは1941年録音の

          ジャズ入門プレイリストを作りました

          cero「e o」〜ポストパンデミックの都市音楽〜

          ceroの新譜「e o」は不思議な音楽だ。 2023年5月に配信開始となって以降、気づけば延々と聴き続けている。 朝も、夜も、家でも、外出先でも、どんな場面でも、飽きることなく。 まるで清涼飲料水のように身体に染み渡っていくこの感覚は一体何なのだろう。 元々ceroは特定のジャンルに依存しない独自性の高い音楽を作り続けているが、本作は正にノンジャンル、説明の難しい音楽だ。電子音楽の範疇ではあるが、国内外のチャートを賑わすポップミュージックとは明らかに異質であり、かとい

          cero「e o」〜ポストパンデミックの都市音楽〜

          これからも聴かれてほしい企画系カバーアルバム

          インターネットやサブスクリプションの進化で過去の音源に容易にアクセスできるようになった現在、名盤と認定されたアルバムについてはリリースから数十年が経過していても世界中の多くの方に聴かれ続けています。 一方で名盤リストから漏れた音源に辿り着くのは容易ではなく、廃盤かつサブスクリプションに無いとなれば尚更です。そうやって徐々に聴かれなくなり忘れられていく音楽がどれだけあるかと思うと、実に勿体無いように思う今日この頃です。 さて、ここで取り上げるのはカバー曲を中心とした所謂「企

          これからも聴かれてほしい企画系カバーアルバム

          個人的2022年アルバムベストランキング

          2022年、皆さんはどんな音楽を聴いて過ごしましたか? 私はジャズの記事を書いたりしていたことから、ジャズ関連の旧譜を結構聴いていました。そのため新譜については今年の音楽界全体を俯瞰できるほど聴いたとはとても言い難いのですが、名盤揃いの2022年リリース作品から私が特に印象に残った個人的ベスト30を僭越ながら選ばせていただきました。 国内外、ジャンル問わず相変わらずごちゃごちゃしたランキングです。 30. Cisco Swank & Luke Titus「Some Thi

          個人的2022年アルバムベストランキング

          2020年代に聴く「On The Corner」

          私はマイルス・デイヴィス「On The Corner」のCDを2枚所有している。 1枚は1996年に発売された紙ジャケ日本盤。2枚目は2000年に発売された輸入盤。何故2枚あるかというと、所有していることを忘れていたから。 2枚目を購入して、聴いてみて気付いた。そんなことは後にも先にもこの作品だけだ。 恐らく最初に購入して聴いた時には途中で聴くのを止めて、そのままCD棚の目立たぬ場所へ置いたのだろう。そして2枚目もやはり同じような運命を辿った。 しかしながら、それから2

          2020年代に聴く「On The Corner」

          2022年上半期の新譜10選

          6月に梅雨明け→酷暑という強烈なフィナーレを迎えた2022年上半期。 様々な出来事が起こったこの半年によく聴いた新譜10枚を紹介します(リリース順)。 ・Manuel Linhares「Suspenso」ポルトガルのSSW、Manuel Linharesの音楽に出逢えたのは上半期の音楽関連で自分としては最大のトピックスかもしれません。 最初ミナスの音楽かと思ってしまいましたが、それもそのはずプロデューサーはAntonio Loureiro。ポルトガルのラージアンサンブル

          2022年上半期の新譜10選

          21世紀のジャズ50枚

          「21世紀のジャズ入門」という記事に想像以上の反響をいただき、驚くとともに音楽好きな方における最近のジャズへの関心の高さを改めて実感しました。 「21世紀のジャズ入門」ではこれからジャズを聴いてみたいと思っている方にお勧めする作品というコンセプトの元に、現代ジャズらしくしかも聴きやすい作品を最小限の枚数でということで絞りに絞って10作品に厳選したのですが、正直これだけでは21世紀のジャズを網羅しているとはとても言い難いのが実情です。 そこで今回は前回選んだ10作品も含めて

          21世紀のジャズ50枚

          21世紀、ジャズは一周回って自由を手に入れた

          最近、ジャズが面白い。 思えば私のジャズ遍歴は90年代末で止まっていた。 社会人になって自由な時間が限られたという事情もあるが、身も蓋も無い言い方をすれば“飽きた”というのが最大の理由だったと思う。 1940年代ビバップ以後、ジャズは時代と共に変化を遂げ、80年代に全盛期を迎えたクロスオーバー・フュージョンは90年代に円熟期を迎えてかつての勢いを失いつつあり、M-BASEなどの新しいジャズを模索する試みも市民権を得るに至らず、UKで流行したアシッド・ジャズも王道ジャズファ

          21世紀、ジャズは一周回って自由を手に入れた

          MONDO GROSSO「BIG WORLD」が凄すぎた

          “変わってしまった世界、さらに変わっていく世界の中で、心の在処を探し続ける音楽の旅“ というコンセプトで2022年2月8日リリースされた、MONDO GROSSO『BIG WORLD』。 この2年間、世界中の人々が思いもよらない脅威に少なからず巻き込まれました。当たり前が当たり前でなくなり、様々な喪失を目の当たりにし、感情の荒波に飲まれたり、悩み考えるうちに人生観が覆ってみたり。 この未曾有の事態を経て、感性の豊かな世界中のミュージシャン達が様々な素晴らしい作品を生み出し

          MONDO GROSSO「BIG WORLD」が凄すぎた

          個人的2021年アルバムベストランキング 番外編

          個人的2021年アルバムベストランキングとして30曲選んだのが12月上旬でした。 その後12月中にリリースされたり、皆さんのアルバムベストから発掘させていただいたりなど、ランキング選出以降に出会った2021年の作品を備忘録的にまとめてみました。順不同です。 Rosie Lowe, Duval Tymothy「Don」 UK/シエラレオネのマルチアーティストDuval Tymothyと女性SSWのRosie Loweとのコラボ。インパクトのあるジャケが気になって聴いてみた

          個人的2021年アルバムベストランキング 番外編