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21世紀のジャズ入門
「ジャズを聴いてみたいから、お勧めを教えて?」
こう聴かれたら、ジャズリスナーの皆さんはどの作品を選びますか?
つい最近まで私は、ビル・エヴァンス「Portrait In Jazz」とジョン・コルトレーン「Ballads」、そしてインコグニート「100°and Rising」を選んでいました。
前2者については誰もが認める名盤で且つ万人受けしそうな作品からピアノトリオ作品とホーン作品を1枚ずつ
日本のオルタナティブな名盤 (2) WONK「Sphere」2016年
2012年にロバート・グラスパー「Black Radio」がリリースされ、ジャズと呼ばれるジャンルで表現される音楽が劇的に拡大し、その境界線も曖昧となった。
ジャズがR&Bやヒップホップと融合することは異端ではなくなり、ありとあらゆるジャンルをジャズと融合させる音楽実験も世界各地で盛んに繰り広げられるようになった。
それまで停滞していたかに見えていたジャズの世界が目に見えて動き出した瞬間である。
日本のオルタナティブな名盤 (1) 青葉市子「アダンの風」2020年
…架空の島に生まれ育った予知力を持つ娘が言葉のない島『アダンの島』へ送られ、そこで『クリーチャー』という謎めいた存在に出会う…
謎めいたプロットを元に「架空の映画のためのサウンドトラック」というコンセプトで創作された2020年リリースの作品。
青葉市子自身が沖縄や奄美の島を訪れた体験が作品の源になっているが、沖縄の音楽をモチーフにした作品ということではなく(琉球音階を取り入れた曲はあるが)、音
個人的2023年アルバムベストランキング
2023年、皆さんにとってどんな1年でしたか?
新型コロナウイルス感染症が5類に移行となって大勢の海外ミュージシャンが来日し、フェスも参加しやすくなって、久しぶりにライブ参戦しされた方も多かったことでしょう。
私もライブに行きたいと思いつつも結局叶わず、専らSpotify頼りのインドア音楽ライフを過ごしておりました。
今年も気の向くままに新譜を聴いていましたが、その中から個人的に印象に残った
cero「e o」〜ポストパンデミックの都市音楽〜
ceroの新譜「e o」は不思議な音楽だ。
2023年5月に配信開始となって以降、気づけば延々と聴き続けている。
朝も、夜も、家でも、外出先でも、どんな場面でも、飽きることなく。
まるで清涼飲料水のように身体に染み渡っていくこの感覚は一体何なのだろう。
元々ceroは特定のジャンルに依存しない独自性の高い音楽を作り続けているが、本作は正にノンジャンル、説明の難しい音楽だ。電子音楽の範疇では
個人的2022年アルバムベストランキング
2022年、皆さんはどんな音楽を聴いて過ごしましたか?
私はジャズの記事を書いたりしていたことから、ジャズ関連の旧譜を結構聴いていました。そのため新譜については今年の音楽界全体を俯瞰できるほど聴いたとはとても言い難いのですが、名盤揃いの2022年リリース作品から私が特に印象に残った個人的ベスト30を僭越ながら選ばせていただきました。
国内外、ジャンル問わず相変わらずごちゃごちゃしたランキングです
2020年代に聴く「On The Corner」
私はマイルス・デイヴィス「On The Corner」のCDを2枚所有している。
1枚は1996年に発売された紙ジャケ日本盤。2枚目は2000年に発売された輸入盤。何故2枚あるかというと、所有していることを忘れていたから。
2枚目を購入して、聴いてみて気付いた。そんなことは後にも先にもこの作品だけだ。
恐らく最初に購入して聴いた時には途中で聴くのを止めて、そのままCD棚の目立たぬ場所へ置いたの
2022年上半期の新譜10選
6月に梅雨明け→酷暑という強烈なフィナーレを迎えた2022年上半期。
様々な出来事が起こったこの半年によく聴いた新譜10枚を紹介します(リリース順)。
・Manuel Linhares「Suspenso」ポルトガルのSSW、Manuel Linharesの音楽に出逢えたのは上半期の音楽関連で自分としては最大のトピックスかもしれません。
最初ミナスの音楽かと思ってしまいましたが、それもそのはず
MONDO GROSSO「BIG WORLD」が凄すぎた
“変わってしまった世界、さらに変わっていく世界の中で、心の在処を探し続ける音楽の旅“ というコンセプトで2022年2月8日リリースされた、MONDO GROSSO『BIG WORLD』。
この2年間、世界中の人々が思いもよらない脅威に少なからず巻き込まれました。当たり前が当たり前でなくなり、様々な喪失を目の当たりにし、感情の荒波に飲まれたり、悩み考えるうちに人生観が覆ってみたり。
この未曾有の
個人的2021年アルバムベストランキング 番外編
個人的2021年アルバムベストランキングとして30曲選んだのが12月上旬でした。
その後12月中にリリースされたり、皆さんのアルバムベストから発掘させていただいたりなど、ランキング選出以降に出会った2021年の作品を備忘録的にまとめてみました。順不同です。
Rosie Lowe, Duval Tymothy「Don」
UK/シエラレオネのマルチアーティストDuval Tymothyと女性SS