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「私の嫉妬」シリーズ

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私のちょっとした嫉妬をエッセイにしました。
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記事一覧

私の嫉妬その10:人気者

私の嫉妬その10:人気者

学校でも、会社でも、SNSでも人気者はいるものだ。人が集まれば、どこでも人気者は生まれる。同時に不人気な人も(少なくとも相対的には)出てくるのは必然だろう。

これまで私は人気のない人生を歩んできた。クラスメイトの輪の中心になるどころか、輪の中にすら入れなかったり、私だけ遊びに誘われなかったり、話題にあがる機会も少なかった。とはいえ、嫌われ者でもなく、大きないじめにあわなかったのは幸いだ。良くも悪

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私の嫉妬その9:字が大人

私の嫉妬その9:字が大人

「字書くの、下手くそだよね」

字の下手さを散々指摘されてきた人生だった。いわゆるミミズの這った字というよりも、子どもっぽい字とでもいえばいいだろうか。昔から汚いといわれてきたので、小1くらいから字の成長はしていないのかもしれない。

子どものころからコンプレックスではあった。しかし、学校というのは不思議な空間で、字が汚いことはひとつの個性あるいはキャラ付けともなり、小中高の間は字が汚いキャラとし

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私の嫉妬その8:人の顔と名前を覚えるのが得意

私の嫉妬その8:人の顔と名前を覚えるのが得意

個人的な意見だが、地味ながら案外高度で役に立つスキルのひとつに「人の顔と名前を覚えるのが得意」というのがある。「英語ができる」とか「聞き上手である」とか、コミュニケーション系のスキルには様々なものがあるけれど、「人の顔と名前を覚えるのが得意」は割と上位にランクインすると思う。

私は昔から顔と名前を覚えるのが苦手だ。そのため不便を強いられることもしばしば。例えば、○○さん呼んできてといわれたときに

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私の嫉妬その7:カラオケが上手い

私の嫉妬その7:カラオケが上手い

日本のカラオケ文化が苦手な私はそもそも他人とカラオケに行くことがほとんどないのだが、たまに行ったときにいつも感じることがある。

みんなカラオケ上手すぎでしょ……。

私も決して下手というわけではない。むしろ子供の頃から歌を習っていたし、大学では合唱サークルに入っていたのでそれなりに歌える部類に入っているはずだ。それでも、気持ちよさそうに高らかに大声で歌う他人の姿はうらやましいを通り越して嫉妬して

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私の嫉妬その6:運動神経が良い

私の嫉妬その6:運動神経が良い

かけっこはビリ、最後になって逆上がりができるようになる、一輪車で一切進めずにこける、ドッヂボールでボールが取れない、バスケやサッカーで足を引っ張る、ダンスのリズムが取れない。

とにかく子供の頃は運動ができなくて苦労をした。中学生ではバレーボール部で、バレーボールはそれなりにできるようになったが、他の球技はからっきし。高校生では弓道部だったがまったく上達しなかった。

周囲の運動神経の良いやつは私

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私の嫉妬その5:英語ができる

私の嫉妬その5:英語ができる

これは間違いなく私の努力不足なのだが、英語が得意な人を見るとカッコいいと感じると同時に、自分のポンコツさを見せつけられてつらくなり、嫉妬をする。何故なら英語が苦手だからだ。

読みはまだいける(といっても辞書は欠かせないが)。拙いながらも簡単な英文なら書ける。問題なのがスピーキングとリスニングだ。

以前ハワイに行ったことがあるのだが、支払いのときに「Credit」ということぐらいしかできなかった

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私の嫉妬その4:研究者

多くの人がこれまで夢を持ったり、なりたい自分像があったりしただろう。私も例外ではなく、夢というか野望というか、まあそんな野心を抱いていた。その一つが研究者になることだった。

しかし、それは叶わなかった。

皆さんの想像通り、研究者になるのは大変である。多くの場合、大学院の博士課程で博士号を取らなければならない。最低でも大学を4年間通い、2年間修士課程で研究をして修士号を取り、更に博士課程でみっち

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私の嫉妬その3:身長が高い男性

昔から私は身長が低かった。小学生の頃は背の順でいつも一番前。中学生になってもせいぜい三番目。高校生になり、背の順に並ぶ機会が減ったが身長は低いままで高身長の友人の中に埋もれる。母に20歳まで男の人は伸びるよと言われたものの、大学生になっても、20歳を過ぎても、大学院生になっても身長は伸びず。私の身長は163cmのままだ。

そんなわけなので高身長の男性に嫉妬するのは必然なのかもしれない。ああ、少し

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私の嫉妬その2:友達が多い

私は友達が少ない。いないわけではない。少ないのだ。距離的・時間的障壁を除けば、会ってくれるであろう友達はいる。しかし、それは片手で数えるほど。

いるだけ恵まれている方だろ、と思われるかもしれないが、それは客観的、あるいは読者の主観的な問題。私の主観では友達が少ない現状は、冷たくて悲しい現実だ。不人気な私は矮小な存在でしかない。

そんなわけで、友達が多い人に嫉妬してしまう。

私の主観では少ない

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私の嫉妬その1:例え話が上手い

私の嫉妬その1:例え話が上手い

どんな文章にも共通していえるのが例え話は強力な武器であるということだ。例え話を入れれば説得力も増すし、理解の手助けになるし、なにより文章が華やかになる。

そして例え話は私の苦手分野であり、私の文章の欠点の一つである。

どうしても観念的・抽象的な話になりがちな私の文章は中身が伴わず、見返したときにスカスカな印象を受け、落胆へと私を導く。文章を書く機会が増えてきたので多少は技巧的に文を運べるように

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