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さかなを食べよう

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刺身を食べるボクを見る君

刺身を食べるボクを見る君

鳴かなけりゃ
猫と間違えそうなくらい
我が家の犬は
お刺身が好き

見上げる目
甘えるようなその瞳
そのお刺身を
一口ください

晩酌のツマミに
刺身を食べていると
足元にすり寄ってくる
我が家の飼い犬

見上げる瞳と
見下ろす目が
ガッツリとぶつかる

「私、そのお刺身が欲しいんですけど?」
その瞳は明らかにそう言っている
尻尾をブンブン横に振って
『お刺身欲しいんです!』アピール

「生の魚は

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キスとホウボウ

デパ地下で2匹のキスを買う

348円

100gあたり324円だったので
1匹50gぐらいだろうか

魚屋で2匹のホウボウを買う

98円

100gあたり36円だったので
1匹150gぐらいだろうか

魚種と
売っている場所が
違うだけで
この格差

キスは三重県産
たぶん釣物だろう

ホウボウは千葉県産
こちらは底曳網で獲った物だろう

ホウボウは歩留りが悪いし
こんな小さな魚体だと
食べる

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コハダ

コハダ

食べてみたかった魚

酢漬けは食べたことはある
江戸前寿司の定番
でも
刺身で食べたことはなかった

臭みがある
小骨が多い

ネットで調べると
そういう評価

近所の魚屋で
コハダを見つけた
1パック100円

目が赤くて
鮮度はあまり良くないが
練習台には充分

頭と内蔵と尻尾を取り除き
腹をきれいに洗ったら
手開きにしてゆく

尻鰭の付け根辺りから
ゆっくりじわじわと
骨を剥がしてゆく感じ

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魚のカルパッチョと五月の風と

イワシ?

と思わず聞いてしまった

ううん

と彼女は首を振って

ニシンよ

と言った

お皿の上には
きれいな菊花造りにされた
魚の刺身

刻んだ玉ねぎと
オリーブオイルが振ってある

食べるのがもったいない

ってつぶやいたら

せっかく作ったんだから食べてよ

って
ちょっと怒った感じにたしなまれる

今日ね
鮮度のいいニシンがあったから
買ってみたんだけど
脂ののり具合がイマイチだから

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海の春に笑う

漁協の売店に
新物のワカメが並んだ

ワカメ漁が始まれば
海は春

早速買って帰る

春のワカメは
歯で噛み切れるほど
柔らかい

あまり細かくせず
大きいままで
食卓に出す

茎ワカメは細く刻んで
別のお皿に乗せて

各々
大皿からワカメをとって
好きな味付けで食べるのが
我が家のスタイル

わさび醤油
ポン酢
辛子酢味噌
マヨネーズ醤油
味噌汁に入れてもいい

茎ワカメを
柚子胡椒と
醤油で食

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初鰹

初鰹入ったよ

と市場から連絡がくる

懇意にしていただいている魚屋からだ

目には青葉 山ほととぎす 初鰹なんて詠まれたのは
江戸時代の話

物流の発達した現代では
九州の初鰹が
二月には
市場にやってくる

梅薫る頃に市場の初鰹現代はこんな感じだろうか

脂ののった
戻り鰹も好きだ

しかしながら
初鰹には初鰹の
美味しさがある

まだ小ぶりの
鰹を購入して
家に帰る

寄生虫対策の一環で

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市場の『烏賊屋』でイカを買う〜危うくダイオウイカを買わされるトコだった話

スルメ
スミイカ
アオリイカ

ヒイカ
ヤリイカ
ホタルイカ

マイカ
ソデイカ
ダルマイカ

市場に来ている

市場にある
イカ専門店
その名も

『烏賊屋』全国各地の
漁港から
新鮮なイカを
集めて
売っている

全国じゃないよ
全世界だよ

とは
『烏賊屋』の
オヤジさんの弁

イカが食べたくなると
この店に来てしまう

今日は
いいミミイカが
あるよ

早速
オヤジさんの
イカセールス

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エンピツの干物

サヨリください

母が頼んだ

私もください

釣られて頼む

久しぶりの帰省

母と二人で実家の近所の
『笹寿し』に来ている

父は

二人で行ってこい


ぶっきらぼうに言って
一人晩酌を始めたので
家に置いてきた

『笹寿し』は
我が家の行きつけのお店で
顔馴染みの大将は
私を子供のころから知っている

先付けを出しながら

娘さん
学生時代より
大人っぽくなりましたね

と母に話している

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マトウダイ

魚屋で
マトウダイを
買い求める

あまり馴染みの
無い魚ではあるが
そこそこ美味しい

頭と
内蔵を取り
三枚におろす

体の大きさの割に
食べられる部分は少ない

身が柔らかいので
厚めの刺し身にする

血合いがないので
皿に盛っても
面白味が無い

肝を叩いて
添えてみる

ちょっとだけ良くなる

味は
個性がなく
タンパクだが
奥にある甘みが
特徴といえば特徴

主役には
なれないが
脇役

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ボラ子

ボラ子が安い

飲食店の景気落ち込みに伴って
高級食材の売れ行きが不調のため

ボラ子
言わずと知れた
カラスミの原料だ

カラスミ(唐墨)日本の三大珍味(正確には違うけど)のひとつ

ボラ子を
塩して
塩抜きして
干して
と手間がかかるけど
非常に美味しい

どれくらい安いか?
近所の魚屋に並ぶくらい

近所の魚屋に並んでいた時は
ビックリした
しかも手頃な値段で
二度ビックリ

今回は買わなか

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ワタナベ

ワタナベという魚をご存知だろうか?
カツオに似た魚だが
胸ビレ付近に
黒い点がある

その黒い点を
お灸の跡に見立て
『ヤイト(灸)』
『ヤイトガツオ』
と呼んだりもする

ヤイトハラ(灸腹)が訛って
『ヤイッパラ』
『アイッパラ』
と呼ぶ地域もある

黒い点を
星に見立て
『ホシガツオ』
と呼んだりもする

この黒い点が
家紋の渡辺星に
見えることから
『ワタナベ』
と呼ぶ地方もある

ワタナベ

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キツネとタヌキの化かしあい

キツネという名の魚がいて
タヌキという名の魚もいるどちらも
「化かされたぐらい美味い」
という理由で
名前がついた
もちろん正式名称ではない

キツネとはハガツオのことカツオに似た魚だが
鋭い歯があって
顔つきもどことなく
キツネに見えなくもない

キツネに化かされたぐらいに美味い
という人もいる
何度か食べたことがあるが
『美味しかった』
という印象はない
脂の乗り具合にもよるんだろうが
普通の

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アイヌハモ

北海道から豊洲市場に
『アイヌハモ』
が送られてきた

『アイヌハモ』?
聞いたことない名前だ

発泡スチロールの箱の蓋を開ける

ウツボのような体型で
大きめの鱗
黒い体色
見るからに深海魚

見たことのない魚だ

スマホでググっても
何もHitしない

北海道で獲れたハモのような魚

ということで
『アイヌハモ』
と名付けて
送って来たのだろう
流石に
『名無しの権兵衛』
では送れない
と思っ

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真夜中のつげ義春

真夜中のつげ義春

ボクは魚が大好きで
彼女は魚が大嫌い
二人は結婚したけれど
彼女の魚嫌いは治らない休日
妻が寝たあと
真夜中に起き出す

真夜中の台所
昼間のうちに買っておいた
シロイカ(ケンサキイカ)を
冷蔵庫から取り出す

魚嫌いの妻は
ボクが台所で
魚料理をすることを
嫌がる

だから
家で魚を料理したり
食べたりすることは
妻が寝静まった
深夜に行う

イカにだって夢はあったはず
でもある日
人間に捕まっ

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