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およそ500字日記

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文字数を稼いでなんとか500字以上書けるように頑張っています。
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2023年3月の記事一覧

2023年3月31日の日記

2023年3月31日の日記

 23時をまわると、この狭いワンルームをにわかに焦燥感が襲う。くたびれたベッドの上、ブラウンの毛布が少し甘ったるくも感じるような春の始まり。1日に1篇だけ読み進めている短編集を閉じて机の上に置き、キッチンへ向かう。

 冷凍庫にはパックに半分ほど残されたカチカチの豚肉。このままでは使えないから電子レンジで解凍する。私の家はなぜか、電子レンジがついている間はWi-Fiが機能しない。何やら電波が干渉し

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2023年3月29日の日記

2023年3月29日の日記

「ラジオから春の歌 もうそんな季節ね」
 
今日は上司っちと外回りドライブ。快晴、春の陽気がぽかぽかで、暑がりな上司っちは車内の冷房を20℃に設定してる。ちょっと寒いんスけど…。
 「あっちの道を通れば桜が見えるとこがある」と言うので、少し遠回りになるけど言われた通りにその道を通る。確かに綺麗な桜並木があったが、帰社が遅くなり私の午後の予定はめちゃくちゃに押した。桜花爛漫、桜もスケジュールも狂い咲

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2023年3月27日の日記

2023年3月27日の日記

「発端は愛やで!」とダウンタウンの松ちゃんも言っていた。確かに、50音も「あい」から始まるしね。人間のあらゆる行動原理の発端は愛なのかもしれない。
 ターミナル駅の改札前はおもしろい。しばらく立っていると、小さな人間ドラマがいくつも見られる。金曜の夜、中年のおじさんが「よい休日を!」といって別れていった。オッサンになってもそうやってお互いの楽しい明日を願える人は果たしているだろうか。これも愛なんだ

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2023年3月23日の日記

2023年3月23日の日記

 日本が世界一になったり、桜が咲いたり、仕事でトラブル対応に追われたり、私の春の到来は予想していたよりかなり騒々しい。思ったより気温が高くて、先週買ったばかりのネイビーのニットがいきなりクローゼットウォーマーになっている。ごめんな、春のスタメン選抜にはちと遅すぎたかもしれない。

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 「君に花を咲かせてあげる。愛情、感情、あたしが持ってるもの すべて注ぐから」

 久しぶりに旧友らと顔を合わせ

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2023年3月18日の日記

2023年3月18日の日記

 吟遊詩人になりたい、って常々思ってる。楽しそうだから。勤務時間にも縛られないし、うるさい上司も得意先もいないから。それに、旅しながら詩を書くって、楽しそうだから。どっかに求人在ります?

 「何気なくつけたテレビに映る 愛想笑いしたその小さい子に 僕は実際一切癒されることなく 自分と重ね合わせてみたりなんかしちゃったりして」

 あー、なんかよくわかんないけど、わかるなぁ、睡眠不足だし疲れてんの

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2023年3月12日の日記

2023年3月12日の日記

 この2日ほどの気温からして、もうコートは粗大ゴミに出していい気がしてきた。街ゆく人の袖は、いつの間にか肘より上になっている。
 花粉も勢いを増す。マスクをしてようとなかろうと、人々は大きなくしゃみをして鼻をすすってる。明日からマスクの着用が個人の裁量に委ねられるらしいが、しばらくは色んな意味でマスクが手放せなさそう。

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 そうこうしてる間にも、スクリーンの向こうの大谷翔平はバックスクリーン

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2023年3月6日の日記

2023年3月6日の日記

 すっかり春になった心地よい陽気にあてられて、気持ちが浮ついてしまっている。春先にはよく変なのが出てくる、というがそれはたぶん私のことだ。春は浮かれていていい。
 3月の土日は第1週目しか空いていなかったので、これは好機とばかりに電車で富山県に行ってきた。少し霞んだ空の根元に鎮座する立山連峰はなんとも幻想的な佇まいで、RPGゲームの序盤で見ることはできるが終盤にならないと攻略できない、まさに竜王の

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