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男はつらいよ〜西洋編〜

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歴史に残る男性を話題にした記事を集めました。一部トランスジェンダーの方もいますが、「身体の性は男性だった」という事で加えています。
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記事一覧

頼まれて外国で即位した国王2選

頼まれて外国で即位した国王2選

新年度になりました。
このタイミングで、PTAや自治会の役員を引き受けたなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか。
中には、「どうしてもと頼まれて…」なんて場合もあるかもしれませんね。

今回は、19〜20世紀のヨーロッパで 頼まれて仕方なく(?)王様になった人達のお話です。

①ゲオルギオス1世(ギリシャ国王)1863年3月末のデンマーク。
当時海軍士官学校に通っていたヴィルヘルムは、お弁当の

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ノルウェー映画『ヒトラーに屈しなかった国王』のセリフから、祖国の意味を考える

ノルウェー映画『ヒトラーに屈しなかった国王』のセリフから、祖国の意味を考える

//おおむね史実に基づいた映画ではありますが、
結末まで#ネタバレ しています//

Alt for Norgeとは、ノルウェー王が代々使用するモットー(スローガンのようなもの)である。
Google翻訳先生によると
「全てはノルウェーのために」
という意味になるそうだ。

ノルウェー映画『ヒトラーに屈しなかった国王』にも、このセリフが登場する。

史実に基づいた本作品の舞台は、第二次世界大

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#創作大賞感想『カール大公の恋』

#創作大賞感想『カール大公の恋』

私は西洋史が好きで、その分野の小説を読むことがあります。

ただ日本語で読める作品はどうしても限られており、これまで手に取った作品はマリー・アントワネットやナポレオンなど華やかな有名人を扱ったものが殆どでした。

しかしこの度 創作大賞応募作品の中から、渋めの主人公ながら非常に心に残った歴史小説を見つけたので 熱くご紹介したいと思います!

✤作品概要タイトル

『カール大公の恋』

登場人物(一

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ハプスブルク家の晩餐会メニューから見る、華麗なる歴史

ハプスブルク家の晩餐会メニューから見る、華麗なる歴史


はじめに今回の主役は、フランツ・ヨーゼフ1世─シシィこと皇后エリザベートの夫にあたる人物です。

68年の長きに渡ってオーストリア皇帝を務め、ハプスブルク王朝が終わる2年前に亡くなりました。
いわばハプスブルク王朝の黄昏を生きた人物ですが、その食卓をのぞいてみると、かの王朝の華麗なる歴史が見えてきます。



本記事では、Royal Menusの情報を元に 1869年3月11日 ホーフブルク宮

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以前noteでご紹介した、巨大なルビーティアラを作らせたバイエルン国王ルートヴィヒ1世。

彼が山田五郎さんのYouTubeで"沢山の美人画を描かせた【エ○エ○大王】"として紹介されていました!
(画像: パブリックドメイン)

▶️https://youtu.be/msEo6M8PwEQ

プリンス・ジョン 〜障害を持って生まれたイギリス王子〜

プリンス・ジョン 〜障害を持って生まれたイギリス王子〜

/// 3,000字以上ある長い記事です ///

毎年4月2日は、国連が定めた自閉症啓発デー。
さらに2〜8日までは発達障害啓発週間です。

これに先立ち、かつての英国王の末っ子で てんかん及び自閉症の症状があったとされるジョン王子をご紹介します。

誕生〜4歳ごろまで
1905年7月12日生まれ。
父は次期イギリス国王で、6人きょうだいの末っ子。
家族からは「ジョニー」と呼ばれていました。

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《4/4》チャールズ3世は300年前に存在していた⁉︎

《4/4》チャールズ3世は300年前に存在していた⁉︎

全4話中の第4話です。
↓それ以外の話はこちら↓
[1][2][3]

前回までのあらすじ名誉革命で国を追われた元英国王の孫として、ローマで誕生したチャールズ。
24歳のとき王位奪還を目指してイギリスで蜂起しますが、あと1歩の所で失敗。
イギリスに上陸して1年足らずで 政府軍に叩きのめされてしまいます。

結局「英国王チャールズ3世」になる事は叶わぬまま、ローマでその生涯を閉じました。

今回は、

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《3/4》チャールズ3世は300年前に存在していた⁉︎

《3/4》チャールズ3世は300年前に存在していた⁉︎

全4話中の第3話です。
↓それ以外の話はこちら↓
[1][2][4]

前回までのあらすじ名誉革命によって国を追われた元イギリス国王のチャールズ祖父。
チャールズは王位奪還を誓い、亡命先のヨーロッパ大陸からイギリスに上陸します。

航海途中イギリスからの攻撃に遭い、イギリス上陸時はほぼ裸一貫でした。
誰もが「この蜂起は上手くいくまい」と思っていましたが、周りの予想を裏切って戦績は絶好調。

ロンド

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《2/4》チャールズ3世は300年前に存在していた⁉︎

《2/4》チャールズ3世は300年前に存在していた⁉︎

全4話中の第2話です。
↓それ以外の話はこちら↓
[1][3][4]

前回までのあらすじかつて「英国王チャールズ3世」を目指して立ち上がった英国王の孫、チャールズ・エドワード・ステュアート(トップ画像)のお話です。

第1話はこちら

チャールズの上陸
革命でイギリスを追われた祖父、
王位奪還を目指すも叶わなかった父、
そして彼らの支持者ジャコバイトの思いを双肩にかけ、24歳のチャールズはスコッ

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《1/4》チャールズ3世は300年前に存在していた⁉︎

《1/4》チャールズ3世は300年前に存在していた⁉︎

全4話中の第1話です。
↓それ以外の話はこちら↓
[2][3][4]

去る2022年9月8日、ウィンザー朝第4代女王であるエリザベス2世が崩御。
長男がチャールズ3世として新しく国王に即位した訳なのですが…

実はWikipediaにこんな人がいるんです。↓

一体ぜんたい、彼は何者なのでしょうか?
2000字程度の記事×4回に分けて、この謎に迫ります。

基本情報名前はイギリスっぽいのに ロー

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【ショート】私はオランダのうさぎです

【ショート】私はオランダのうさぎです

明けましておめでとうございます。

今週は記事の投稿を休む予定でしたが、12年に一度しか書けない話題を思い出したので突貫工事で記事を書きました。

駅伝見ない派の方、お笑いも飽きたなあという方、お正月のご予定がひと段落した方、お付き合い頂ければ嬉しいです。

◇◇◇

1806年、オランダ。
10年以上国王不在だったこの国で、新しい王様の即位式が執り行われていました。

新国王の名はルイ・ボナパル

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テストに出ない世界史 | ロシア皇帝、退位後の愛読書

テストに出ない世界史 | ロシア皇帝、退位後の愛読書

読書の秋到来!という事で、今回はロマノフ朝最後の皇帝・ニコライ2世(トップ画像)の日記を元に、彼が廃位、抑留されていた時代に読んでいた本をご紹介します。

長い記事ですが、元皇帝が読んでいた本のタイトルだけサクッと知りたい方は、目次に目を通して頂ければ十分です。

本の大まかな内容や、その本を読んでいた背景も知りたいという方は、目次以降もご覧になってみて下さい。

はじめに - 廃位、抑留までの経

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テストに出ない世界史 | ロシア皇帝の夏休み

テストに出ない世界史 | ロシア皇帝の夏休み

今回は、およそ150年前にロシア帝国の皇帝だった人物の夏休みの姿をご紹介します。

主人公はこの方、ロシア皇帝アレクサンドル3世。
まずはプロフィールを簡単にご紹介します。

巨体に立派なヒゲで、怖そうな人ですよね…



そんな彼は、夏になると妻マリヤの出身国であるデンマークに行くのが恒例でした。
(マリヤはデンマーク国王の娘)

実は19世紀末、デンマークでは国王夫妻が毎年夏に親戚一同の集ま

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300年前のトランスジェンダー政治家から見る、英米LGBTの歴史

300年前のトランスジェンダー政治家から見る、英米LGBTの歴史

1701年から1708年までの間、当時イギリスの植民地だったニューヨークとニュージャージー州で総督を務めた エドワード・ハイドという人がいました。

この名前は、清教徒革命において活躍した彼の祖父と同じ名前。

その為、当記事では彼の称号であるコーンベリー卿(Lord Cornbury)の方を用いて話を進めます。

スキャンダラスな総督このコーンベリー卿、現役時代に酩酊やら横領やら様々なスキャンダ

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