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ショートショート ー短編小説ー

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とても短い短編小説を書いてみました。 物語をよむのが好きな方に、 気軽に読んでいってもらえたら 嬉しいです:) あなたの心の片隅に、 この物語の居場所があるとうれしいです。
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記事一覧

【掌編 読みもの】水槽にすむ小魚のあたまのなか #1

【掌編 読みもの】水槽にすむ小魚のあたまのなか #1

あっ、お母さん
エプロン
今日は裏返しに着てる・・・

ねえねえ、ぼくにエプロン着せてよ。

そしたらさ、お母さんがいつも
作ってる
ごはん作ってあげるからさ。

ね、エプロンをさ
この肩にかけてよ、
さぁ、
エプロン
かけてよ、ぼくに

【短編小説】
大掃除の迷う重力と、空の澄んだ青

【短編小説】 大掃除の迷う重力と、空の澄んだ青

会社も年末休暇に入ったので、
星凛果は大掃除をしていた。

星凛果は、とくに欲しいものも
日頃からある方ではなく、
持ち物も少なかった。

しかし、片づけを始めてみると
あれやこれや捨てるものが
意外にあった。

日頃から捨てようか迷っていたものを
ここにきて捨てるかどうか
決断を迫られている感じがした。

捨てるのも、
残すのもなんだか納得がいかず
どうすべきか悩んだ。

きっとこのチャンスを逃

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【ショートショート】
年の瀬に、行き先をもたないボクと
コーヒーショップ

【ショートショート】 年の瀬に、行き先をもたないボクと コーヒーショップ

コウジは、仕事帰りにコーヒーを飲んでいこうと
電車を降りてすぐの、
コーヒーショップに立ち寄った。

電車がついて間もない店内には、
たくさんの利用客がいた。

いつものようにカウンターで
ブレンドコーヒーを頼むと、
店員が
「こちらをどうぞ」
と、”年末クーポン”と印刷された
ショップカードサイズの
割引くじを渡した。

―ああ、もうこんな時期なのか……

飛ぶように過ぎ去っていく日々に、

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ショートショート
遅い紅葉と、じぶんの未来―

ショートショート 遅い紅葉と、じぶんの未来―

”ボク”は、久しぶりに近くの公園に
行ってみた。
するとそこには、遅い紅葉がまだあった。

今年はすることが多くて、
なかなか紅葉を見に行けなかったので
嬉しい。

ほとんど終わっているとはいえ、
ところどころ赤や黄土に燃える、紅葉を
みつけられた。

そうそう、このカサカサという落ち葉を踏む音
枯れた落ち葉の匂い
これはずっと変わらない。
そして、紅葉のすきなところだった。

川のなかを泳ぐ水鳥

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