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エッセイのようなもの

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自転車を買って楽しい。雨の日は?

自転車を買って楽しい。雨の日は?

#新生活をたのしく

大阪に来て二年が経ち、ついに自転車を買った。
自転車に乗ることは好きなのだが、大阪に来てからはあまり気が進まなかった。

大阪で自転車を買わなかった理由

まず一つ目に、なくても特に不便ではなかったからだ。通勤は電車。家から駅まで遠くはないし、食材や生活用品を買うのも徒歩で問題ない。通勤用の定期券でショッピングにも行ける。

二つ目に、街中で自転車に乗るのが怖かったから。

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お菓子屋さんの包装を集めている

お菓子屋さんの包装を集めている

#私のコレクション
2020年からお菓子屋さんのシールやパッケージをスクラップブックに貼り付けている。

当時コロナの流行でそれまでの仕事がなくなり、派遣会社に登録し、なんとか田舎の工場で仕事が見つかった。寮もあって有り難かった。しかしクラスターの発生などで生産が止まることがあっては困るからと外出制限が厳しく、一定のエリアより外に出る場合は許可を貰わなければならなかった。しかもそのエリアが狭い。

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故郷の散歩日記

故郷の散歩日記

淡く青い夕方の空
一面乾いた稲の色
風の音
鳥の鳴き声
長くのびる影
道路のヒビ
たまに通る車
オオイヌノフグリ
ヒメオドリコソウ
町にも匂いがある
地面にもりもり出ている根っこ
謎の実
足元がカサカサと鳴る
いくつもの顔を思い浮かべる

街歩きが好き

街歩きが好き

最近気づいたこと、
「街歩き」をしたいのだ。

もともと街歩きは好きだった。
何かの用事で知らない土地を訪れるときは気分が上がる。
空が広くて建物の少ない田舎を歩くのは気持ちがいいし、少し寂れてしまったような場所で何かを発見するのも楽しい。

ある日、少し遠くで用事があったので地下鉄の一日フリーパスを買った。午前中に用事を済ませたあと、今日はこのフリーパスでどこでも行けるのだ、どこへ行こうかなとわ

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大人になったからこそシール帳が必要だ

大人になったからこそシール帳が必要だ

31歳私、子どもの頃に夢中になったものと言えば「シール帳」。
普通の紙シールからちょっとぷっくりしたもの、タイルシールにおはじきシール、ウォーターインシールなど当時バラエティに富んだ様々なシールがあり、それらを購入してはシール帳に貼り移し、大切に集めていた。みんな自分のシール帳を持っていて、よく見せ合ってシールの交換もした。

私は大人になってからもそういうファンシーグッズが大好きで、ファンシーシ

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「かし原の塩羊かん」

「かし原の塩羊かん」

“あの塩羊羮”と再会した。

出会いは数年前、法事で泊まった旅館でのことだ。部屋に入るとお茶と一緒にスティックタイプの小さな塩羊羮が置かれていた。食いしん坊の私は腰を下ろして早速それを手に取った。正直なところ、羊羮のことは「地味なお菓子」と思っていて特に期待はしていなかった。

袋をあけてひとくち齧った瞬間、衝撃が走った。美味しい。とても美味しい。ほんのり塩加減が絶妙だった。あんこが苦手な家族の分

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いつか見たいもの

いつか見たいもの

「歌詞に衝撃を受ける」という体験を初めてしたのは小学生のときだった。合唱曲の「ビリーブ」である。

いま素直な 気持ちになれるなら
憧れや 愛しさが
大空に はじけて耀るだろう

あこがれやいとしさが、大空に、はじけて、光る……?
それってどういうこと……?
不思議に思ったけれど素敵な表現で、好きな一節だった。いつかその意味がわかるだろうかと、心の中にずっと持っていて、時折ふいに思い出す。

ある

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散歩が楽しくない

散歩が楽しくない

散歩が好きだった。
電車通勤をしていた頃は通勤がてらの散歩のために一時間も早く家を出ることがよくあったし、休日だって早起きをして散歩をした。朝の澄んだ空気が心地よかった。

それが、いつのまにかあまり楽しめなくなっていた。そのことに気がついたときは自分に余裕がないのかなと思ったけれど、少ししてわかった。マスクのせいだ。

なんというか味がしないのだ。空も山も海も、街路樹も歩道の花壇もきれいなんだけ

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ホットサンド記念日

ホットサンド記念日

数日前に食べたホットサンドの音が、まだ耳に残っている。その日はお昼頃に美容院を予約していて、それまでの微妙な空き時間、気になっていた近くの喫茶店に入った。

お家の一部を改装して作ったようなこぢんまりとしたお店。気持ちよく晴れていて、空の広い住宅街でさわやかな佇まいをしていた。入ると近所のおじいちゃんおばあちゃんが集まって談笑しており、「さっぱりとしたおじちゃん」という印象のマスターが厨房から眺め

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「若あゆ」を集めた今年の夏

「若あゆ」を集めた今年の夏

「鮎」というお菓子があることは知っていた。しかし謎の存在だった。菓子なのに「鮎」とはどういうことなのか。鮎の何かが練り込まれているのか。不思議だったけど、見た目も名前もなんだか地味なそのお菓子をあえて手にとってみることはなかった。

今年の初夏のある日、少し離れた医者へ行った帰りに慣れない商店街を歩いた。老舗の店が並んでいる。私はこのような商店街が大好きで、来ると何か買い物をしたくなる。ふと「若あ

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