眠れない夜にも意義はあって
「ほんとは中学の先生になりたかったんだよね。でも受験が間に合わなくて」
31歳の今でも仕事について話すとき、ポツリと口にしてしまう。だから来春から通信制大学に2年間通って、教員免許を取ることを決めた。
10年勤めても不安だった。WEBサイト制作という自分の仕事が。嫌いではない。だけど吹奏楽と軽音楽に夢中だった過去の自分を知ってるからこそ、努力していないし今後も好きになれない自覚があった。
「安定してて良いよね」「結婚してるし別にいいじゃない」と言われるけれど、10代の頃から夢だった仕事に就いたり、やりたいことを重視して励む人たちがキラキラ輝いて見えた。一日の大部分を占める仕事に意義を感じる姿が羨ましかった。
『東京に住むことが夢だった10代。東京生活を満喫することが全てだった20代。じゃあ30代の今は何のために生きているの?まして40代からは?』
いつだって選択肢が失われてから考えが足りなかった自分に気づく。未来に不安を抱く中、渋谷のクアトロでくるりのライブと映画を見た。
中1の時にMステで見たロックンロールから好きになって20年。当時のメンバーは全員20代で、10代だったわたしに夢をくれた。新幹線の中で東京を何度も聴きながら新生活に心ときめかせた。
40代になったくるりのメンバーは昔と変わらずかっこよくて涙があふれた。いいなあ。あんな大人、いいなあ。だめだ。このままじゃだめだ。そう本気で思って、眠ることを忘れて考えた。そして冒頭の自分の言葉を思い出したのだ。
問題は30代からでも教員免許は取れるのか。社会人からの教員に需要はあるのか。PCを開いて検索した。同じような人がたくさん出てきた。びっくりするほどたくさん、だ。
わたしは好きなことしか頑張れない。だけど好きになったら絶対に諦めないし手放さない。『嫌いじゃない』程度じゃだめなのだ。ちゃんと『好き』にならないと。うん。頑張れる。真っ暗だったトンネルに、ポッと明かりが灯ったような気分になった。久しぶりにぐっすり眠れた。
「来春から通信制大学に通って、教員免許を取ろうと思うの」
両親。夫。上司。友人。伝えるとみんな驚いた。でも肯定してくれた。応援もしてくれた。わたしの周りはあたたかい人で溢れてる。みんなのようにあたたかい先生になりたいな。わたしのように将来を考えず大人になると大変だよとも伝えたい。どうしよう。なりたい自分がたくさんだ。
いくつになっても意義のある日々を送りたい。
…これで大学に落ちたら笑ってください。
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