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本や映画や音楽のnote。

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2020年5月の記事一覧

風はいつか雨になるし、親は子どもに傷を託す ー 村上春樹「猫を棄てる」を読んで

風はいつか雨になるし、親は子どもに傷を託す ー 村上春樹「猫を棄てる」を読んで

めずらしく、最初から最後まで大真面目です。

ムラカミハルキとキシダナミ28年の人生で、こんなにもたくさんの作品名を言えるのに、一度も読んだことのない作家は村上春樹さんだけだった。

14年前に突然死んだ父の本棚には「ノルウェイの森」が並んでいた。

ときどき場所が変わっていたから、たぶん、父は何度も読み返したのだと思う。

父の熱量は、すさまじかった。

「春樹、春樹」と、知人でもない名前が、時

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『こんにちは未来』書籍化について

『こんにちは未来』書籍化について

こんにちは、店長の山下です。

佐久間裕美子、若林恵『こんにちは未来』(株式会社黒鳥社)刊行のお知らせと注文のご案内です。

「NY在住のジャーナリスト佐久間裕美子とコンテンツメーカー黒鳥社の若林恵の盟友二人がカテゴリーにとらわれず縦横無尽に語りつくすポッドキャスト番組「こんにちは未来」。エピソード累計130万DL、JAPAN PODCAST AWARDのノミネート20作品に選ばれた人気番組をこの

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『サンクチュアリ』

『サンクチュアリ』

水曜日ですね、今日のマンガは『サンクチュアリ』。定期的に読み返す熱いマンガです。原作者は別の方ですが、もう池上遼一さんの漫画はね、面白いんですよ。

Vol. さんくちゅあり
ストーリーを簡単に説明すると、1巻の表紙に[光と影]と書かれているんですが、主人公は2人います。1人は暴力団、ヤクザですね。もう1人は政治家です。

その2人が「違う道でお互い登り詰めていこうぜ」というマンガです。それから、

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「日々の時間割」というものを、あらためて考えてみた

「日々の時間割」というものを、あらためて考えてみた

※ここには、自分へ向けた「こころの備忘録」を書いておこうと思います。今回のテーマは、「心の状態」と「暇」について。

坂口恭平さんの「cook」という読み物が好きです。

あれはたしか、2018年末の冬のこと。(がーん、もうそんなに前なの!?)

西荻窪だか阿佐ヶ谷あたりに用事があって行った時に、ずっと気になっていた本屋があったので、その日のメインの用事を済ませたあとに、そこに入って手に取ったのが

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権力と検察の関係について関心の高まっている今、見るべき映画『「知事抹殺」の真実』緊急再配信。闘う福島県知事は、なぜ消されなければならなかったのか?

権力と検察の関係について関心の高まっている今、見るべき映画『「知事抹殺」の真実』緊急再配信。闘う福島県知事は、なぜ消されなければならなかったのか?

アップリンクの運営するオンライン映画館「アップリンク・クラウド」にて、『「知事抹殺」の真実』の緊急再配信(700円/72時間)をはじめました。権力と検察の関係について関心の高まっている今、是非ご覧ください。

1988年から5期18年に渡って福島県知事を務めた佐藤栄佐久氏が政治生命を絶たれた不可解な過程を、一次資料にもとづき映像化したドキュメンタリーです。

収賄額0円、不可解な汚職事件を追って見

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何度も見たい映画、 『あん』。徳江の生き様が私に教えてくれたこと。

何度も見たい映画、 『あん』。徳江の生き様が私に教えてくれたこと。

映画『あん』を見た。もう何回目だろうか。この映画に出会ってから、ことあるごとにあんを見ては明日からまた頑張ろうと力をもらっている。

「ことあるごと」とはたいてい落ち込んでいるときだ。自分のやりたいことややるべきことを見失いそうになってむしゃくしゃしているときに、映画でも見よっ!と思う。そういうときに部屋を暗くしてミニシアター仕様であんを見始める。

そうして、毎回同じセリフ、同じ場面で泣いてしま

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カセットテープ2,000円の時代、と5月11日の日記

カセットテープ2,000円の時代、と5月11日の日記

昨日届いて、いろいろ思ったことがあったので、カセットテープについての話をしますね。

ぼくは「レコード」というものに無縁で過ごしてきまして、今復刻してきているレコード音源みたいなものを見ても、実はあまりピンとこなかったりします。

音楽は、「縦長のCD」を購入したのが一番古い記憶でして、その時買ったのはコレでした。

恋しさとせつなさと心強さと(こんなプレミア化はしていないはず…と思ったら、新品未

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いま、もう一度紹介したい本。

いま、もう一度紹介したい本。

瀧本哲史さんと一緒につくった、『ミライの授業』という本を紹介します。

刊行は2016年。オンライン書店では軒並み「在庫なし」になっていますが、いまでも重版はかかり続けているし、kindle 版もあります。巻末に掲載した参考文献だけでも80冊くらい、それ以外の本まで加えると100冊を超える資料にあたりながらつくった労作です。

で、そういう「労作」は往々にして駄作に転ぶことが多いものですが、瀧本さ

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読むのも書くのも好きな、日記というジャンル

読むのも書くのも好きな、日記というジャンル

サブスクのほとんどを、ぼくは「ひと月限り」と決めて、「購読」したらすぐに「解約」するのを繰り返しています。(書き手のみなさま、毎度すみません。)

さすがにアマゾンの年会費だけはそのままにしていますが、noteの月購読もほっておくと結構な数になります。

読んでいないものが溜まってしまうのもあまり精神的によくないとは思いますが、それ以上に「なんで購読しているのか?」がわからなくなること、ありません

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ラジカセ買って、テープも買った

ラジカセ買って、テープも買った

一日中、メルカリを物色した結果、買いました。SONYの「CF-1980」という型のラジカセ。年代だけ見ても、感慨深いものがありますね。1985年生まれなので、わたくし。

ラジカセが届くタイミングに合わせて、テープを買っておこうと思い、例の「のら珈琲」さんから、いくつか購入しました。

ブレンドと、カセットテープのセット。

アーティストとのコラボもあったりして、こういう商いは素敵だなぁと思ってい

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これから「支持される雑誌」に必要なこと

これから「支持される雑誌」に必要なこと

外出自粛によって軒並み店舗が閉まり、出勤する人も大幅に減少した。
このあおりを強く受けているのがファッション誌である。

大口の販売チャネルである書店が閉店していることに加え、人と会う機会が減ったことでおしゃれへの関心も低下。
販売どころか次号に向けた撮影もままならず、苦肉の策として6・7月を合併号にする雑誌も出てきた。
ファッションブランドも軒並みダメージを受けているため、今後広告もガクッと減る

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