マガジンのカバー画像

詩・作詞

31
詩や歌詞を書いてます。
運営しているクリエイター

記事一覧

【作詞】夜よ

【作詞】夜よ

翳りゆく部屋 ひとりなんて
慣れてしまった もう今では
窓の隙間から 吹いてくる
頬を冷やす 涙の轍

星よ 自由になりたい
この身 こころ すべてを
星よ ひとつになりたい
今は どんなに 離れていても

タオルにくるまった 夜の闇に
とけて消えれば 楽なのかしら
伏せてから季節は 移り変わり
写真のあなた 口を塞いだ

月よ 声をきかせて
耳に 胸に 届けて
月よ 影を伸ばして
生まれ かわれ

もっとみる
【詩】ぶっ

【詩】ぶっ

ぶっ叩く
ぶっ潰す
ぶっ放す
ぶっコロす
ぶっ刺す
ぶっかける
ぶっとばす
ぶっちぎる

ぶっ
それだけなら
間抜けなのに
頭にくると
物騒な
ぶっ

【作詞】春のせい

【作詞】春のせい

ふわふわ浮つく
かすみのあかり
ふわふわ揺らつく
ぬるい世界
首に吹く風
ふと冷たい
見開く目にうつる
淡い色と声たち
足並みそろわない
春のせい

ふわふわ浮き立つ
めくった袖に
ふわふわ漂う
甘い世界
無駄に青い空
雲ひとつない
逆さの心にうつる
固い蕾重たい
足並みそろわない
春のせい

ふわふわどこまで
つづくのだろう
ふわふわどこから
現実だろう
軽やかであれば
幸せであれば
浮き彫りに

もっとみる
【作詞】白春

【作詞】白春

金色の鱗をちりばめて
空っぽの青春がうねり去る
痛む棘 生垣にぽつり
すっかり珍しがられる 今では

そっと咲きます
からたちの白

蒸気機関車 煙巻き上げ
つかの間の朝が眠りから覚める
心に寄り添い 尾を揺らす
どこにでもいるような身なりでも

健気に鳴きます
頬白の白

空は今日も無数の翼を降らせ
地上は絶えず風が吹く

積もることなく時を見送る
もう人間はいないのかもしれない

浮かず 沈ま

もっとみる
【短い詩】10代ノート

【短い詩】10代ノート

紙のノートを整理していたら10代で書いていたあれやこれやが出てきました。
その内のひとつがこちらです。
なんかのおみやげ?だったかのポストカードが引き出しにあったと記憶しているのだが、それを貼って言葉をつけてみようと当時の僕が書いてたようです。
あ、やっぱり昔っから書くのが好きだったんだ。

ポストカードに著作権?的なものがあって指摘されたら削除しますが何事もなければこのままにしておこうかなと。

もっとみる
【詩集家路より朗読動画未収録詩】風に揺れるミモザ

【詩集家路より朗読動画未収録詩】風に揺れるミモザ

プラチナの琴線
なめらかにしなやかに
細い指をすべらせる

五線譜がせせらいで
窓の外の小川になった

懐かしい温もり
サイフォンで淹れた珈琲
集う軽やかな音符たち
あなたの織りなすめぐりあわせ
だからここはいつでも微笑みで満ちている

絆に愛を
永く咲きますように
あなたの笑顔は
風に揺れるミモザ

五線譜が会いたがって
目には見えないメロディー

郷愁を誘う温もり
微笑みを織り機で紡いで
糸と

もっとみる
【詩】ぽっちとぼっち

【詩】ぽっちとぼっち

ひとりぽっちはさびしいな

ひとりぼっちもさびしいな

これっぽっちのひとりぽっち

おいてけぼりのひとりぼっち

ひとりぽっちでくちぶえふいて

ひとりぼっちのいえじのとちゅう

ぽっちはそらをみあげてないている

ぼっちもつまさきみつめてないている

ぽっちとぼっち

どうかかおをあげて

よぞらにくもがなかったら

おつきとおほしがかがやいて

まどからひかりがさすでしょう

きみのそばから

もっとみる
【詩】昼休み

【詩】昼休み

いっせいに仕事の手を止め

連れ立って歩く大人たち

チャイムが鳴って机を合わせるこどもたち

いただきますと一緒に食べる昼休み

あまった時間をどう使おう

限られてるから貴重だった昼休み

そんな昼休みが

今のわたしにはない

わたしの遅れた昼休み

列にも並ぶこともない

座りたい席を選べる

今日もいつもの席に座る

おくれて厨房から

女将さんのいらっしゃいませ

白い前掛けで手を拭き

もっとみる
【作詞コンテスト応募作品】存在

【作詞コンテスト応募作品】存在

−はじめに−

2023年の秋。ひとつの大きなプロジェクトが動き出した。
「エターナルソング•コンテスト」と銘打たれた作詞作曲の公募であった。

審査委員長は偉大な作詞家、湯川れい子先生。

ツイッターでこのコンテストの話を知った私はそれまで数年間欠かさず投稿し続けてきた月に4箇所の詩の公募を『月刊詩誌ココア共和国』のひとつに絞り、そしてこの作詞コンクールに2023年の残り全てを捧げようと決心した

もっとみる
【詩】最後の微熱

【詩】最後の微熱

声変わりの赤道を越える夜

骨は濁音を鳴らして伸びる

第二次性徴期の微熱

脳が茹で上がったせい

あの夜鍵をかけたのは

包丁握った大人が

寝てる私を

刺しにくると

怯えていたから

第二次性徴期の微熱

少年の心が壊死をした

【詩】伝言

【詩】伝言

プロパンガスのネズミ色

油で黒光った大きな鉄板

一日限りの出店の焼きそば

こんな住宅街の裏道で

文化祭なんてあるわけないのに

夕暮れの

外の空気はただよう

ぎこちない秋のリクルートメイク

あなたのこういうとこが好き

わたしは伝えたいことを恥ずかしげもなく口にする

それがわたしにはあたりまえのことだった

よくはずかしくないね

いえいえ、あなたが言葉少ななだけ

歩けば歩くほど

もっとみる
【詩】皮

【詩】皮

服を脱いでしまえばみんなおなじヒトなのに

偉そうにふんぞり返って
尖った革靴を光らせて
脚を組み直して
大声で電話をしているスーツの男
カフェの店員を手招きして
エスプレッソを指差す
ラックからレオンを取り出して
あるページをスマホで撮影して
退店する時雑誌も戻さず
小銭を投げて支払っていった
迎えにきた左ハンドルの
真っ赤な車の運転席から降りてきた
女のボディーラインの強調した
タイトワンピの

もっとみる
【詩】心臓

【詩】心臓

わたしの左の胸が
あなたの右の胸に
鼓動する

あなたの左の胸が
わたしの右の胸に
鼓動する

わたしの心臓とあなたの心臓
ふたつの心臓がひとつの体に
鼓動する

抱き合う意味を考える

わたしの中にわたしのじゃない命がうつる
お互いの左右の心臓は休まず動いてる

あなたの右の胸でふてぶてしく燃えている
それがわたしの心臓です

わたしの右の胸で兎がぷるぷる震えている
これがあなたの心臓ですか

もっとみる
【詩】けっかん

【詩】けっかん

うるさいやつは寝ても覚めてもうるさいのです

寝顔だけは天使なのにね
なんてすりこみです

無知なら許してもやれるものを
無神経は終いです

馬鹿は死ぬまで治らない病気なのです

かわいくない子どももいます

決してこどもが嫌いなわけではありません

かわいくない子どもが嫌いなのです

そのくせ犬や猫はみんなかわいいのです

わたしはきっと致命的に欠けているのです

それを認めず気づきもしない人間

もっとみる