青島ろば
「姉さんはいったい何で出来ている?」「姉さんはね、恥と恐れと怠惰からできているの」という姉弟の、タイトルのパパとその恋人はいったいどうしたんだ!っと言いたくなるような姉と弟のこころ模様、あるいはあり方の物語。
あの世とこの世の境目で、選択肢があったとして誰にあいたいでしょか?結果的に私は意外な方法でその人に会い、再び意外な人とあうのです。そんな物語です、よかったらぜひ読んでくださいね。🍎
どこか一人で生きてますって感じの女の子との冬の出会い。サンタさんのソリと追いかけっこするようにクリスマスイブに向かってゆきます。
文章ずき~ということで詩のような小説、小説のような詩を「小説詩集」としてまとめていきます。時をこえて出会う淡い夢を風船に込めるように飛ばしつづけます。
星屑がね、落ちてくるっていう予報をきいて、昨日さがしにいったの。 「なによそれ、」 星屑だよ、彗星が降らす宇宙の希望みたいなかけら。 私は息を切らしながら彼女に…
「エイプリルフールなのか、」 とか思って日付を確かめたわよ。 彼にそういったけれど、職場では口にしなかった。 「新しい部署にさ、配属されてたじゃない、わたし、」…
海岸を見下ろすベンチから立ち上がって、砂浜へおりた。 波をずっとみてる人がいたから、となりに並んですわって、どうも、とか言ってみる。 「あなた、どこかでみたよう…
髪を切ったとたん私は駆け出していた。 美容師さんは、オイルを揉み込もうとしていたけれど、私はもう立ち上がっていた。ケープをひらひらさせて、さらに風に飛ばされるの…
「私たちってずっと前は姉妹だった、よね」 でも今はこうして壁に並んで飾られてる。 「どうしてこんなことになったと思う?」 私は「ひまわり」の絵になって青い背景に…
彼の部屋の窓から雪が見えて驚いた。 「何が?」 「あれだよ」 あれは、雪じゃなく春のはなだよ、て言われてさらに驚いた。それで、凝視したら、今度はポップコーンにし…
「授業中にね、」 当てられて、起立して、答えを探してた。 なのに気づいたら教室の床に寝かされてて担任が叫んでた。 みんなの机が丸く避難してて、あれ、私やっちゃっ…
時間がなくって溺れてた。仕事が苦手なのに次から次へと仕事が舞い込んで、巻き込まれて、誰かみたいに靴を履き替えて走ってた。それは副業だったのにそこに閉じ込められて…
ボコボコと至るところに落とし穴があって、はまってた。 良心にしたがったり、同情したり、だれかの決定にあきれたりしてヨロヨロ歩くものだから、どんどんはまってた。 …
何度も振り向いたの。 「何度も?」 うん、今も予感がする。 「予感?」 先回りしてるんだって、分かってる。 「一体なんのことさ、」 計算すると必ず間違いがある。…
僕がこのふゆ一番心配だったのは妹のことだった。 「何をやってもちっとも自分に合わないの、」 って、小鳥みたいにつぶやいて思い詰めてたから。 「でも、どこも塗りつ…
僕が君を見つけたのは、カフェの自動ドアの前だった。 困ったみたいに佇んで、 「センサーがさ、反応してくれないの」 とか言うので、僕は前に進み出て開けてあげたのた…
丸い地球の上をまあるく歩いているよ、君にむかって 記憶のなかに、手に入れられなかった、とか立ち去ってしまったとか、そんなものが住み着いていて、僕は再生デバイスが…
おおきな地図をかいて、旅にでたの。 「旅に、」 どこまでも行ってみたくって、雲のむこうとか。 「雲の、」 飛ぶことがすきだったから、ジャンプばかりしていたんだれ…
新幹線の自由席車両をうろうろして、ここいいですか、みたいに会釈してすわった。 パソコンを開いて、文字打ち爆走させて閉じた。 「研究ですか」 てお隣さんが聞くから…
「地球と太陽が創る現代アート、があるんだ。きてみない?」 とか誘われたけれど、週末の13時48分開始なんだ、ていう中途半端な指定を不思議に思った。 彼とは友人の…
星屑がね、落ちてくるっていう予報をきいて、昨日さがしにいったの。 「なによそれ、」 星屑だよ、彗星が降らす宇宙の希望みたいなかけら。 私は息を切らしながら彼女に伝える。 だって彼女は自転車通学なわけだから、もちろん自転車をこぐ。私は並走してはしるから声が上下する。 「砂浜にね、夕暮れ時に行って待ってたの」 ママの帰りが遅いのはわかってたし、お兄ちゃんは塾だったから、たった1人で浜にでた。 「怖くない?夕暮れどきなんて」 「こわかった、」 だってあたりはすぐに
「エイプリルフールなのか、」 とか思って日付を確かめたわよ。 彼にそういったけれど、職場では口にしなかった。 「新しい部署にさ、配属されてたじゃない、わたし、」 けどさ、フロアーにいたのは私と先輩だけだったってわけ。 フロアの中に先輩と私だけが居て、メールやら電話にかけずり回ってたから、そこはとてつもなく広い空間に思えた。 今日はみんな出社しないのかなあ、とか思っていたら、 「上司たちは海外旅行の飛行機の中よ、」 て、先輩がさっして答えてくれた。 「そうです
海岸を見下ろすベンチから立ち上がって、砂浜へおりた。 波をずっとみてる人がいたから、となりに並んですわって、どうも、とか言ってみる。 「あなた、どこかでみたような、」 ってわざとらしいこと言うと、 「僕は、フランケンシュタインだよ」 とか彼がいうので、驚いた。たしかに、表情はツルルンとしているけれど、光の加減でその継ぎはぎが透けて見えなくもなかった。 「波を見てるの?」 「波と話してた」 彼が率直に言うものだから、私は面食らった。 「あのね、今日はこの陽気だ
髪を切ったとたん私は駆け出していた。 美容師さんは、オイルを揉み込もうとしていたけれど、私はもう立ち上がっていた。ケープをひらひらさせて、さらに風に飛ばされるのも見送って私は走ってた。 電車を降りたらスーパーに駆け込んで、ゴミ袋を大量購入した。 「部屋がちらかっていたんです」 これもいらん、あれもいらんてあえて分類しないでつめこんだ。 「時間の中でうずくまっていたんです」 じっと、もやもやの処理する時間をみおくって塞ぎ込んでいた。 「だけど、気がついたら時間が、
「私たちってずっと前は姉妹だった、よね」 でも今はこうして壁に並んで飾られてる。 「どうしてこんなことになったと思う?」 私は「ひまわり」の絵になって青い背景に横たわる姉に聞いてみた。 「あなたの場合はね、くよくよばかりしてたから、」 くよくよして毎日泣いたり、恨んでばかりいたでしょ、で、泣き疲れたみたいな「風車」の絵になってしまったのよ。 姉はさらっりと言った。 「お姉ちゃんはいいよね、」 そのそっけなさが魅力だもの。私たち、生まれた時は双子みたいに似てたの
彼の部屋の窓から雪が見えて驚いた。 「何が?」 「あれだよ」 あれは、雪じゃなく春のはなだよ、て言われてさらに驚いた。それで、凝視したら、今度はポップコーンにしか見えなかった。 「もう卒業するからさ、」 って話を切り替えたのは、さよなら、の後につづく言葉がいつだって途切れて飲み込まれてしまうから。 「さよなら、って言って次は?」 「ありがとう、かな」 「何に?」 いろいろひっくるめてさ、て言う彼の答えが私を悲しませた。 「あの時の笑顔が私を支えてくれたから
「授業中にね、」 当てられて、起立して、答えを探してた。 なのに気づいたら教室の床に寝かされてて担任が叫んでた。 みんなの机が丸く避難してて、あれ、私やっちゃったんだ、て思ったの。 「つまり?」 「つまり、」 気を失って倒れてた。 「知ってるよ、救急車がやってきてあんたが倒れたんだって、高速噂が広まったから」 「でしょ、」 だからバスがきても、今朝は乗りたくないのよ。 「貧血でしょう、」 て、救急病棟では結論付けたのよ。 「でも、答え分からんから倒れた
時間がなくって溺れてた。仕事が苦手なのに次から次へと仕事が舞い込んで、巻き込まれて、誰かみたいに靴を履き替えて走ってた。それは副業だったのにそこに閉じ込められて、心だけが、音楽を望んでた。いつも楽譜に起こすことを願いながら、その日は終わってた。 「だから、」 「だから?」 「時間の波が寄せてくるのを望んでた、」 時間がね、あふれてるのよ。 「いいね」 「いいでしょ」 「でも、それってどうゆうこと?」 砂時計だよ。私の生活は砂時計なんだよ。だから、押し寄せる色々
ボコボコと至るところに落とし穴があって、はまってた。 良心にしたがったり、同情したり、だれかの決定にあきれたりしてヨロヨロ歩くものだから、どんどんはまってた。 で、よし、穴から這いでるぞ、みたいにもがいていると、だれかれ寄ってきて、いろんな話をし始めるから私はコロコロ穴の中で転がされて、気づいたら丸くて美味しいタコ焼きになってた。 「お疲れ様、」 口々に言って、そそくさと帰る引き潮に、あ、んな時間かって宇宙に飛びちる鉱石みたいに私も飛び出した。 ポンポンポンって数字
何度も振り向いたの。 「何度も?」 うん、今も予感がする。 「予感?」 先回りしてるんだって、分かってる。 「一体なんのことさ、」 計算すると必ず間違いがある。報告したらミスも見つかる。出かけたら忘れ物をして、休日にはダラダラするの。 「つまり、」 まちぶせ。 持ってるものは必ずどこかに消えて探しても見つからないの、なんら壊れるし。 「つまり、それは、」 まちぶせ。 「考えすぎじゃないか?必ずなんてありえないよ」 じゃあ、このカフェを出て角を曲がって
僕がこのふゆ一番心配だったのは妹のことだった。 「何をやってもちっとも自分に合わないの、」 って、小鳥みたいにつぶやいて思い詰めてたから。 「でも、どこも塗りつぶしてないじゃないか、」 みたいに妹に言って、その手放そうとする白地図みたいな夢の束を僕は眺めた。 「ぼくはさ、」 僕は確かに、のぞんだ道をすすんできたけれど、それだって努力は必要なんだよ、とか言いかけて言葉を飲み込んだ。何をしたって実らんものは実らんかも、てき疑惑が僕を襲ったから。 だから、妹が、 「
僕が君を見つけたのは、カフェの自動ドアの前だった。 困ったみたいに佇んで、 「センサーがさ、反応してくれないの」 とか言うので、僕は前に進み出て開けてあげたのたのだった。 「あ、あいた」 って君はよろこんで、僕のあとにつづいた。 これで、塾に遅刻するのは決定的になった。 ラテを注文して、振り返ったら君が席で手をふった。 「やっと飲み物にありつける」 とか君はよろこんだけれど、次の瞬間には、電池切れみたいに塞ぎ込んだ。 「中学のころのね、担任のところへ訪ねて
丸い地球の上をまあるく歩いているよ、君にむかって 記憶のなかに、手に入れられなかった、とか立ち去ってしまったとか、そんなものが住み着いていて、僕は再生デバイスが映し出すのを休日の午後に観てる。 その思い出の一つ一つを手にとって、ドミノ作りに熱中してる。 「ほんとは後ろ歩きしてるんだな、」 選択のその先に、いやなデジャブがまちぶせてるしね。 編みはじめてるよ、マフラー 冬の恋はありがたくって、得意のマフラーを編み進めてるの。 だけど今朝、公園の池の周りをぐるぐる走ってたら
おおきな地図をかいて、旅にでたの。 「旅に、」 どこまでも行ってみたくって、雲のむこうとか。 「雲の、」 飛ぶことがすきだったから、ジャンプばかりしていたんだれど、ママにもほめられて雲をめざしたの。 「それでどこまで?」 どこまでも行ったよ、地図をなぞってね、ここかしらあそこかしら、てキョロキョロして。 「迷わなかった?」 まよったよ、気がついたらママがいなくって、ママの励ます声だけこだましてた。目的地がわからなかったの。描いてもなかったから。そもそもジャンプ
新幹線の自由席車両をうろうろして、ここいいですか、みたいに会釈してすわった。 パソコンを開いて、文字打ち爆走させて閉じた。 「研究ですか」 てお隣さんが聞くから、わかりますか、みたいに微笑んだ。 「どんな?」 「ロボットと非ロボットに対する人間の反応深度の違い、みたいなことです、」 つまり会話のしやすさの違いみたいなこと。とか言いながら、惨憺たる実験だったことを思い出す。 「じつは準備段階からつまずいてしまって」 「というと、」 「人間の聞き役は弟に依頼した
「地球と太陽が創る現代アート、があるんだ。きてみない?」 とか誘われたけれど、週末の13時48分開始なんだ、ていう中途半端な指定を不思議に思った。 彼とは友人の個展会場であったのだけれど、ガラスの破片がちらばってる、みたいな作品を楽しそうに見ていたのが印象的だった。小さなテーブルに出されたお茶を飲みながら、彼は私にいくつもの質問をした。 「あの作品についてどう思う?」 「その色については?」 「その意図についてはどう?」 みたいに。それで私は彼の仕事はインタビュア