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写真というメディアを考える

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イメージ・コンテンツを制作する事は、視覚を通過して、人の心に問いかけることが一番のポイントだ。 人の心に問いかける事は、感性の同一性を得るということで、国境、時間という領域を超え… もっと読む
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#アートエッセイ

(今日の一枚)ジョン・バルデッサリの「Fox」

(今日の一枚)ジョン・バルデッサリの「Fox」

ジョン・バルデッサリの「Fox」
ジョン・バルデッサリ(John Anthony Baldessari, 1931- 2020/US)は、アメリカのコンセプチュアルアーティストだ。そして、これは、ジョン・バルデッサリの「Elbow Series」の1作だ。

Fox: The Elbow Series (B1)-John Baldessari / 1999
Colour coupler print

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(今日の一枚)バカリ夫人の傷のある肖像画、それは・・

(今日の一枚)バカリ夫人の傷のある肖像画、それは・・

バカリ夫人の傷のある肖像画-1957年-Hashem El Madani
「この写真の傷は、深い愛情だったのだろうか。」
撮影は、写真家ハシェム・エル・マダニ(Hashem El Madani,1928 – 2017レバノンの写真家/写真館経営)
バカリ夫人は、夫が不在だった時に、写真家マダニの写真館のスタジオに行った。
そして、彼女は、2枚のポートレートを撮ってもらった。
1枚は非常にファンタジ

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アンドレ・ブルトンの「ナジャ」を考える

アンドレ・ブルトンの「ナジャ」を考える

「ナジャ」-アンドレ・ブルトン(André Breton, 1896-1966/フランスの詩人・文学者・シュルレアリスムの展開)
アンドレ・ブルトンの「溶ける魚」(1924年)は、オートマティスム(自動記述-自動書記)をシュルレアリスムの重要な要素としていた。
また、「ナジャ」(NADJA-1928年):現実の女性、ナジャとの、その現実のすぐ背後にある超現実の存在を実感する散文だ。

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Zdneck Kosek:世界の所有者の天気図(アウトサイダーアート)

Zdneck Kosek:世界の所有者の天気図(アウトサイダーアート)

Zdneck Kosek:世界の所有者の天気図(アウトサイダーアート/アールブリュット)
ズドネック・コセック(Zdneck Kosek/Zdeněk Košek,1949- /チェコ):アウトサイダーアート/アールブリュットの作家。
ズドネック・コセック(Zdneck Kosek)は、当初は、タイポグラファー(typographer/書体デザイナー)と漫画家として働き、チェコの雑誌や新聞に似顔絵

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秘密の飛行愛好家チャールズ・デルシャウ(アウトサイダーアート)

秘密の飛行愛好家チャールズ・デルシャウ(アウトサイダーアート)

秘密の飛行愛好家チャールズ・デルシャウ(アウトサイダーアート/アール・ブリュット、そして、ビジョナリーアート)

チャールズ・デルシャウ(Charles Dellschau,1830–1923/US)
チャールズ・デルシャウは、アメリカの初期のビジョナリーアート(Visionary art/テーマが精神性・神秘性・幻視芸術)のアーティストだ。
図面、コラージュや水彩画等で、飛行機や飛行船を描いてい

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(#2)アウトサイダー・アート(アール・ブリュット)の定義の周辺(アウトサイダーアートとインサイダーアート)

(#2)アウトサイダー・アート(アール・ブリュット)の定義の周辺(アウトサイダーアートとインサイダーアート)

(#2)アウトサイダー・アート(アール・ブリュット)に定義の周辺。

それは、社会的には、「アウトサイダー」であっても、芸術と創造に於いては「インサイダー」かも知れないのだ。
そして、重要なことは、作家の個人的な人生と「作品」を混同してはならないと言うことだ。

そして、ルイ・ステー(ルイ・ステール/Louis Soutter, 1871 - 1941/スイス-アーティスト・ヴァイオリニスト)のよ

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ハンス・ベルメールの異様な球体関節人形(シュルレアリスム)

ハンス・ベルメールの異様な球体関節人形(シュルレアリスム)

ハンス・ベルメール(Hans Bellmer, 1902-1975/ドイツ-画家、写真家、人形作家)
1930年代中頃に、等身大の創作人形を制作・発表した。超現実主義者(シュルレアリスト)に分類されている。
ナチズムへの反対を表明しており、その流れからの等身大の関節人形の制作だった。
その関節人形の制作にあたっては、人体を変形させた形態と型破りなフォルムだ。
当時ドイツでの「健全で優生なるアーリア

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アンドレ・ブルトンとシュルレアリスムとアール・ブリュット(アウトサイダーアート)

アンドレ・ブルトンとシュルレアリスムとアール・ブリュット(アウトサイダーアート)

アンドレ・ブルトン(André Breton, 1896-1966/フランスの詩人・文学者・シュルレアリスムの展開)

創成期のアール・ブリュット、いわゆるアール・ブリュット以前の表象は、スピリチュアリズム(Spiritualism/心霊主義)の枠から、アンドレ・ブルトン(シュルレアリスムの展開へ)の評価により、この後のジャン・デュビュッフェによる、アール・ブリュットの発生につながるのだ。

アン

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(その2)「イメージと文化」その「物質と記憶」を考える。

(その2)「イメージと文化」その「物質と記憶」を考える。

7)アンリ・ベルクソン「物質と記憶」を簡潔に考える
アンリ・ベルクソン(Henri-Louis Bergson,1859-1941/仏-哲学者)1929年、ノーベル文学賞。
従来型の認識論の限界を超えた、実証主義の手法を取り入れた。
そこが、ベルクソンは生の哲学と言われる由縁かも知れない。それは、持続の相(外見)のもとで、直感により、生きた現実が把握される事になる。
先に、ポイントを述べると、物質

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(その1)「イメージと文化」その「物質と記憶」を考える。

(その1)「イメージと文化」その「物質と記憶」を考える。

1)現在、誰しも、社会生活を行っている者は、スマートフォンと言う「イメージの記録装置」を懐に忍ばせている。
「イメージと文化」にとっては、いわば理想環境だろう。(それは、アラブの春のような事象にも至る-外務省Vol.87 「アラブの春」と中東・北アフリカ情勢)

2)イメージの分類
目から、入る情報は、五感の中でも80%以上と言われる。
そして、そのイメージを鑑みると以下のような分類もできるだろう

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