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【フレームワーク】PEST分析


はじめに(再掲)

※本題ではないので、飛ばして頂いても結構です
ビジネスの現場では、フレームワークがよく活用される。
あくまでスキルの一種でしかないので、フレームワークが万能であるとは思わない。
ただ、何かしらの目的を達成しようと思った際に以下の対応が必要である。
・効率的に思考する
・思考、論点を整理する
・認識のずれをなくす
・思考を可視化する
・思考を伝達する

上記を明確なスキルとして体系化したものがフレームワークだと考えている。
コンサルティングの現場ではよく使われるこのフレームワークだが、
このフレームワークを使うことが目的でないということは理解しておきたい。
…フレームワーク症候群のように、なんでもかんでも既存の枠に収めようとすると、
新しい発想や創造を遠ざける可能性がある。
新しいものは既存の枠を超えて産まれるのである。
ただ、このフレームというものも新たに生まれるということは理解しておきたい。
フレームワーク症候群はあくまで既存のフレームに当てはめようと思った場合の話である。

複数回に分けて、既存のフレームや自身で考えたフレームを記事に整理していこうと思う。
今回は外部環境を俯瞰的に捉えるために用いられる
PEST分析
に関して…

PEST分析とは


PEST分析は、経営戦略の策定や環境分析において一般的に使用されるフレームワークである
PESTは、
Politics:政治
Economy:経済
Society:社会
Technology:技術
の頭文字を取ったものであり、これらの要素が企業や産業に与える影響を評価するために使用される。

各要素は、それぞれ以下のような内容を指す。

  1. Politics:政治
    ✓政府や政策、法律、規制などを指す
    ✓政治の変化や政府の施策は、企業の方針や業界の環境に大きな影響を及ぼす可能性がある
    例:税制改革、労働法の変更、規制の厳格化等

  2. Economy:経済
    ✓マクロ経済指標、消費者の購買力などを指す
    ✓景気の好悪やインフレ率、失業率、為替レートなど
    ✓経済の健全性や変動は、企業の収益性や需要に大きな影響を与える可能性がある

  3. Society:社会
    ✓人々の価値観、生活様式、人口動態、消費トレンドなどを指す
    ✓社会の変化は、消費者の受容や行動パターンに影響を与え、企業が提供する商品やサービスに対するニーズの変化をもたらす可能性がある

  4. Technology:技術
    ✓科学的な進歩や技術の革新、デジタル化、情報技術などを指す
    ✓技術の進歩は、業界や企業の競争力や効率性に影響を与える
    例:オンライン注文システム、デリバリーサービス、顧客データの分析などの技術的な変化

とまあ、簡潔にいくとこんなところだ。
これを意思決定につなげていくには、
自社の業界にかんするPEST分析が必要なのである。


分析項目例(飲食業界)


PEST分析のようなマクロ環境の分析を行う際に最も注意しなければいけないのは、それが自社・自事業・自業界に影響を与える要素なのかどうかを把握することである。
関係のない要素を拾ってしまっては、かえって意思決定の妨げになる可能性がある。
なので、PESTの各要素をどの基準(自社・自事業・自業界)に基づいて分析するかを先に定める必要がある。
ここでは、飲食事業を行っている事業者としてPEST分析を行う際の検討すべき項目例を提示しよう。

  1. Politics:政治
    ✓政府の規制や法律の変更
    例:労働法改革による労働条件の変更・食品安全基準の強化など
    ✓政府の経済政策や支援策
    例:観光振興策や地方創生の取り組みなど

  2. Economy:経済
    ✓日本の経済成長率や消費者の所得水準を確認し、飲食業の需要に影響を与える可能性を把握する
    ✓食材や原材料の価格変動、労働力の賃金水準変化も、コストや収益に影響を与える要素である

  3. Society:社会
    ✓健康志向の高まりや食生活の変化が消費者の選択に影響を与える可能性がある
    例:ヘルシーメニューの需要増加や、外食需要の多様化
    ✓人口の高齢化や少子化も、需要や労働力に関わる要素として留意すべき点

  4. Technology:技術
    ✓デジタル化やモバイルテクノロジーの普及による、オンライン注文やデリバリーサービスの需要増加
    ✓テクノロジーの活用やインターネットマーケティングの普及
    ✓AI技術や自動化が進展することによる、業務プロセスや効率性の向上

このように、事業に応じてPESTの各項目で見るべき内容が変わってくる。
そのため、まずPEST分析を行う際に基準となる指標を決める必要があることを忘れぬように留意が必要だ。
これらを整理することで、以下のような考察や、対応の土台となる検討ができるようになる。

対応方針例(飲食業界)

  1. Politics:政治
    ✓労働法改革による労働条件の変更に伴い、労働者が求める環境が変化する可能性がある
    ⇒就労環境や給与形態の見直しを検討し、従業員を継続的に確保できる体制を構築する

  2. Economy:経済
    ✓日本の経済成長が低迷し、消費者の所得水準が低下していることから、外食での支出が減少する可能性がある
    ⇒(守)仕入れ先の見直し、製造工程によるロスを改善することで原価率を改善させる
    ⇒(攻)外食時に選ばれる店舗となるように、他店と比較してメニューや店舗レイアウト、コンセプトで明確な差を打ち出す

  3. Society:社会
    ✓健康志向の高まりにより、消費者が飲食店に対して求める基準が変化する可能性がある
    ⇒健康志向の消費者に適したメニューを追加することで、需要の取り込み・顧客離れを防ぐ
    ⇒健康志向よりも、ボリューム、楽しさ、美味しさ、見栄えを気にする消費者をメインターゲットとして絞り込み、独自の立ち位置を確保する

  4. Technology:技術
    ✓デジタル化やモバイルテクノロジーの普及による、オンライン注文やデリバリーサービスの需要増加
    ⇒自社ブランドを活用したゴーストレストランの設置、店舗スペースの改変による来店からデリバリー中心への移行、オーダーシステムのDX化による顧客体験の変革を実施

分析というのは最終的な方針等の決定につながってこそのものである。
整理して終わりではなく、それをどう活かすか…という部分が肝になってくるので、注意が必要だ。
またこのPEST分析も業界や事業、特定の領域に絞った例を記事にしてみようと思う。
一旦、今回は全体感を掴む概要ということでの整理にとどめます。

今後もビジネス、コンサルティングの現場で活用されるフレームワークについて整理していきたいと思います。
活用の仕方や、経営に関するご相談も受け付けておりますので、フォロー・メッセージお願いします。


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