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才能も華もあってこれから活躍していくのだろう、と思っていた年下の俳優がこの業界から退くらしい。数年前に、いつか大きな舞台で仕事しようと約束した同い年の舞台監督が職場で鬱になり、演劇界から去った時のことがフラッシュバックした。どうして有能な人ほど……やるせなさと悔しさで涙が零れる。
「障害」は「個性」か?
先月、池袋シネリーブルで上映された NTLの『夜中に犬に起こった奇妙な事件』(原作:マーク・ハッドン、脚色:サイモン・ステファンズ、 演出:マリアンヌ・エリオット)を観た。
15歳の少年クリストファーは、母親を心臓発作で亡くし、父親と二人で暮らしている。
ある朝、隣人シアーズ夫人の飼い犬が園芸用のフォークで刺殺されているのを発見し、可哀想に思ったクリストファーは思わず犬を抱き抱える。だが、
ファインダー越しの握手
初めて「写ルンです」を使って写真を撮った日が忘れられない。10年も前のことだ。
祖父にもらったフィルムカメラを持って、私は街に繰り出した。たった27枚で何ができるだろうか、私にしか撮れない風景は何か。考えた末に子供の頃から通い慣れた商店街へ行き、全く面識のない27人の店員たちと握手する様子をカメラに収めることにした。写真を撮るため、と言う理由で知らない人に話かけるのにはえも言われぬスリルがあ