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サステナビリティって?(気候変動・生物多様性)

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社会課題解決のストーリーテリング~スリランカで世界最高品質の紅茶を作るAmba Estateの物語①ー歴史編

社会課題解決のストーリーテリング~スリランカで世界最高品質の紅茶を作るAmba Estateの物語①ー歴史編

今年の年始、スリランカでオーガニック、手作りの紅茶で世界最優秀賞を取っているAmba Estateという茶農園&茶工場を見学してきた。

社会的企業のベストプラクティスとしても非常に興味深い。こんな起業の仕方があるのか!と大変感銘を受けた。

2006年に150年の歴史を誇る小さな農園を引き継いで、現経営陣達が立ち上げたのがAmba Estate。
「スリランカから持続可能性のあるビジネスモデルで

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気候変動のメカニズムを知る~フランス発のカードゲーム Climate Fresk

気候変動のメカニズムを知る~フランス発のカードゲーム Climate Fresk

今月(2024年4月)に参加した、Climate Freskのワークショップ!
前から気になっていたのだけど、やっと参加出来ました!

いやー期待通りの面白さでしたー!!

フランス発のカードゲームClimate Freskとは?気候変動って何?

気候変動って分かっているようで分かっていない。

昔は「地球温暖化」(Global warming)って呼ばれていたけど、「気候変動」(Climate

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東京の中心で森林浴!?~近場の自然から生物多様性に触れる

東京の中心で森林浴!?~近場の自然から生物多様性に触れる

2023年11月に参加した、大手町の樹木をみる会!
樹木について知りたいけど、「時間かけて地方や郊外に行かないと見れないんでしょ?」って思っているあなた!

全然そんなことない!

東京のど真ん中、大丸有エリア(大手町、丸の内、有楽町)エリアにも多様な樹木生態が作られていて、めちゃくちゃ学びになったので、共有致します。

エコッツェリア協会のイベントこのイベントは大手町の3×3Labを運営するエコ

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システム思考の本流!~フォレスターの多角的視野と超長期視点

システム思考の本流!~フォレスターの多角的視野と超長期視点

2023年9月の郡上の森への視察の記録を残したいと思います。

今回、フォレスター(森林総合監理士)の 小森 胤樹さんのご厚意で、郡上の森を案内頂きました。小森さんはフォレスターズ合同会社を設立されています。

『森林管理に正解はない』
って言葉が印象的でしたー

システム思考フォレスターの仕事はまさに複雑な課題を解くシステム思考のど真ん中の世界でした。
非常に多岐にわたる要素が関連しあい、かつ人

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原生林の毎木調査~日本長期生態学研究ネットワークの会合

原生林の毎木調査~日本長期生態学研究ネットワークの会合

2023年9月に参加した原生林の毎木調査の記録を残したいと思います。

2023年9月に日本長期生態学研究ネットワーク(通常JaLTER)という、生態系を長期で観測・研究するアカデミックなネットワークの会合に参加してきました。

1日目は研究発表、2日目は調査サイトとなる原生林の毎木調査に参加しました。
いやー、大学卒業以来、おそらく初となるアカデミックな集まりに参加!
JaLTERとして、一般の

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社会課題解決のストーリーテリング~スリランカで世界最高品質の紅茶を作るAmba Estateの物語②

社会課題解決のストーリーテリング~スリランカで世界最高品質の紅茶を作るAmba Estateの物語②

前回の記事では、紅茶の歴史を中心に話した。

紅茶がどのように中国から西欧に伝わり、イギリスがどのように覇権を取り、スリランカが世界一の名産地になったのか?スリランカの紅茶産業の黎明期を支えた2人のスコットランド人にも触れた。

前回触れたように、現在でも世界の茶生産は、茶畑からの茶摘みがボトルネックになっている。

労働集約的な紅茶産業前回の最後に、スリランカの茶生産が増えず、全盛期は世界1位だ

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社会課題解決のストーリーテリング~スリランカで世界最高品質の紅茶を作るAmba Estateの物語③-茶葉製造工程

社会課題解決のストーリーテリング~スリランカで世界最高品質の紅茶を作るAmba Estateの物語③-茶葉製造工程

今回がスリランカ紅茶の最終回!

前回までに、①紅茶の歴史と課題、②Ambaの事業とアプローチについて書いた。
今回は茶葉加工(製造)について。

※最初に断っておくが、筆者は農業および紅茶に関しては素人である。茶葉製造も、今回スリランカで見学するまで見たことがなかった。
今回、Amba以外に複数の工場のツアーにも参加したので、そこで聞いたこと、ネット上の調査を補足して述べたい。

Ambaの手作

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アプリで清掃員の負担軽減? - 南インド、バンガロールのゴミ回収の取り組み

アプリで清掃員の負担軽減? - 南インド、バンガロールのゴミ回収の取り組み

今回の記事では、ゴミ分別サポートのアプリを通して、家庭ごみの分別を行うNGOの取り組みを紹介する。
久しぶりにインド(バンガロール)の廃棄物を取り上げたい。

ゴミ分別のアプリを提供しているWaste Samaritanという小さなスタートアップがある。Waste Samaritanの事業を手伝う機会があり、現場を視察した。

バンガロールのゴミ問題2021年10月に初めてバンガロールを訪れて以降

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①農業×気候変動の未来を救う?ー「バイオ炭」の可能性に迫る-前編(社会課題編)

①農業×気候変動の未来を救う?ー「バイオ炭」の可能性に迫る-前編(社会課題編)

突然だが「バイオ炭(Biochar)」という言葉を聞いたことはあるだろうか

(※2023/5/23:記事が長すぎると指摘を頂き3つに分割しました~)

前回の記事から1か月以上あいてしまった。4月頭にインドを出発してから、ケニア、ウガンダ、インドと巡り、少し前に日本に戻ってきた。
ここ最近、東アフリカやインドなどでバイオ炭を活用したプロジェクトの立ち上げを探索している。

ここから数回に分けて、

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①農業×気候変動の未来を救う?ー「バイオ炭」の可能性に迫るー中編(農業と大気汚染)

①農業×気候変動の未来を救う?ー「バイオ炭」の可能性に迫るー中編(農業と大気汚染)

(※2023/5/23:記事が長すぎると指摘を頂き3つに分割しました~)

ここからはバイオ炭のメリット、注目される理由について紹介したい。全部で3つだ。

土壌改良

大気汚染の抑制

気候変動対策

バイオ炭注目の理由①~農地の土壌改良まずは農地に直結する部分から始めよう。
土壌改良剤としての炭の利用は、古来から行われてきた。

日本最古の農書「農業全書」(1697年)にも、炭や灰を用いた記述

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①農業×気候変動の未来を救う?ー「バイオ炭」の可能性に迫るー後編(気候変動編)

①農業×気候変動の未来を救う?ー「バイオ炭」の可能性に迫るー後編(気候変動編)

(※2023/5/23:記事が長すぎると指摘を頂き3つに分割しました~)

前回までに、農業土壌の観点、大気汚染の観点を述べた。
最後は、気候変動だ。

バイオ炭注目の理由③~地球温暖化防止(気候変動対策)最後に、近年最も注目されている理由は、「気候変動対策」だ。

農業残渣を炭化して活用する例は以前から存在している。代表例は、調理用の木炭の代用となっているブリケットだろう。

調理用の炭(ブリケ

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②バイオ炭の未来を握るカーボンクレジット-(1)クレジット市場の概要

②バイオ炭の未来を握るカーボンクレジット-(1)クレジット市場の概要

前回はバイオ炭について3つの記事に分けて紹介した。カーボンクレジットによる収入がなければ商業的に成立が難しいバイオ炭。ここからは、カーボンクレジットについて学んでいこう。

カーボンクレジットの記事、一本目は「そもそもクレジットって何?」から入っていこう。

そもそも「カーボンクレジット取引」とは?カーボンクレジットとは、「温室効果ガスの削減量を売買する仕組み」のことだ。
温室効果ガス排出量の「削

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②バイオ炭の未来を握るカーボンクレジット-(2)VCMの方法論を探る

②バイオ炭の未来を握るカーボンクレジット-(2)VCMの方法論を探る

では前回の続き!
自然由来、技術由来や、排出削減、炭素除去など、温室効果ガスを減らすための方法は色々ある。
しかし、それぞれの方法は一律ではなく、同じ削減量(CO2-ton)でもクレジットの価値は大きく異なる。

カーボンクレジット市場というと、どのプロジェクトでも取引されるクレジットの単価は同じように思うが、実際はプロジェクトにより10-100倍以上の違いがある。
なぜ、この違いが生まれるか?は

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②バイオ炭の未来を握るカーボンクレジット-(3)VCM主要プレイヤーを知ろう

②バイオ炭の未来を握るカーボンクレジット-(3)VCM主要プレイヤーを知ろう

カーボンクレジットの第三弾!

まずは前回の続きから。なぜ、同じ排出量にも関らず、方法によりカーボンクレジットの値段にこんなに差が開くのか?から見ていきたい。

カーボンクレジットの価格差以下は再掲。Abatableが2022年9月に出した記事のプロジェクト別の1CO2トンあたりの価格。

この表を見ると、1トンCO2あたりのカーボンクレジット取引単価が、

REDD+(森林保全)だと、5-20ド

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