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茶空間コーディネーター ch-bliss です 中国茶をたのしむ空間を日々考えています…

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茶空間コーディネーター ch-bliss です 中国茶をたのしむ空間を日々考えています ここでは、茶席に思うこと、美術と茶席のことや、大学で研究した日本の美意識を踏まえて考える中国茶席のことを思惟し、記してゆきます

記事一覧

燕子花図屏風の橋をあるく

尾形光琳《燕子花図屏風》 有名な国宝の屏風で、年に一回、所蔵する根津美術館の庭の杜若が咲く頃に公開されます そんな屏風を今年もみにいきました はじめに燕子花図屏…

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12日前
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桜にみる無常観

桜の花が咲くと、ニュースにもなるし、お花見で桜の下は賑わうし、最近ではこの時期にインバウンドの観光客がどっと押し寄せたり、古来より日本人にとって、桜は特別な花の…

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1か月前
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花唐草文螺鈿経箱 

トーハクで開催中の「本阿弥光悦の大宇宙」展へ行きました 琳派の祖とされる光悦ですが、そこに焦点をあてた展示も研究も、他の琳派に比べると少ない。知らない部分が多い…

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2か月前
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日本の美意識 11

こんにち「日本の文化」とされているものの多くが、もとは外国からの渡来品であり、それをリノベーションしたものである。 唐絵からやまと絵、漢字から平仮名、点茶から茶…

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3か月前
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トーハク初詣で松をみる

長谷川等伯《松林図屏風》 毎年、年始に公開される長谷川等伯の《松林図屏風》や、今年の干支の龍をモチーフにした美術品を見に出かけました。 《松林図屏風》は、その紙…

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4か月前
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いつかのメリークリスマスの「愛すること」を考える

星の数ほどあるクリスマスソング その中のひとつ いつかのメリークリスマス B'z を思惟します ※あくまで、私個人の考察なので、違う意見があると思いますが、そこはつっ…

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4か月前
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キリストのミサ クリスマス

近年、クリスマスのお菓子として、すっかりメジャーになったシュトーレン 毎年、何処のシュトーレンを食べるか、色々まわるのも楽しみです。 シュトーレン とは、ドイツ…

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4か月前
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日本の美意識 10

こんにち「日本の文化」と認識されているものの多くが、もとは外国からの渡来品であり、それをリノベーションしたものである。唐絵からやまと絵、漢字から平仮名、点茶から…

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5か月前
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日本の美意識9 さび

「自然をもとにした日本の美意識」9 さび 「さび」は、寂しさや枯れたものに風情や趣を見出し、そこに「美」を感じる繊細な感性で、世の中のものは全て劣化し、朽ち果てて…

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5か月前
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日本の美意識8 わび

わび 「わび」は、欠けたるもの、粗相なものを愛で、余計なものを削ぎ落とし最小を目指した極限の美意識である。 村田珠光(1422頃~1502)による茶の湯にはじまり、千利休…

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5か月前
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日本の美意識7 幽玄

「自然をもとにした日本の美意識」幽玄 「幽玄」の語は、古くは中国後漢時代の『宝蔵論』や、『後漢書(240年ごろ)』などに用例がみられるが、主には仏教や老荘思想の用…

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5か月前
7

やまと絵展 

盛り沢山で、全部を観るのはかなり労力を要するやまと絵展 しかも、1から4期まで、展示替えがあるので、1回行っただけでは見れないものもあるし、内容の濃さにアタフタして…

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5か月前
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飲中八仙図屏風 与謝蕪村

「飲中八仙」とは、杜甫が八仙に因んで戯れに同時代の名だたる酒客八人を選び、『飲中八仙歌』を作ったことに由来する。 その八仙は、中唐初めの八人の酒豪(賀知章・汝陽…

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6か月前
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九品往生

「九品往生」とは、阿弥陀のいる極楽浄土に生まれ変わる際のお迎えに、ランク分けされた9パターンがあるという考え これは『観無量寿経』に書かれており、阿弥陀の浄土を描…

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6か月前
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日本の美意識6 無常観

 「自然をもにした日本の美意識」6 無常観  平安末期には末法思想が広まり、「無常」を意識するようになる。末法思想は、仏滅後2000年にあたる末法が永承7年(1051年…

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6か月前
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日本の美意識5 あはれ

「自然をもとにした日本の美意識」5 あはれ  平安初期は中国大陸から新たに持ち込まれた密教に国家の安泰を願い、調度品や食事の形態、陰陽五行思想を基にした都造営まで…

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6か月前
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燕子花図屏風の橋をあるく

燕子花図屏風の橋をあるく

尾形光琳《燕子花図屏風》
有名な国宝の屏風で、年に一回、所蔵する根津美術館の庭の杜若が咲く頃に公開されます

そんな屏風を今年もみにいきました

はじめに燕子花図屏風について
紙本金地着色 六曲一双
(各)縦151.2cm 横358.8cm
尾形光琳(1658?〜1716)
京都の呉服店雁金屋に生まれ、弟も陶芸などで有名な尾形乾山
光琳は雁金屋の財力で放蕩三昧でしたが、雁金屋はまもなく傾き、光琳は

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桜にみる無常観

桜にみる無常観

桜の花が咲くと、ニュースにもなるし、お花見で桜の下は賑わうし、最近ではこの時期にインバウンドの観光客がどっと押し寄せたり、古来より日本人にとって、桜は特別な花のようです
桜の、何がそれほど日本人の心を惹きつけるのか
そのひとつ、今回は、桜にみる無常観について、少しnotoしたいと思います
無常観についての以前のnote↓

「常に変わりゆく自然の姿に、儚い世のあり様や滅びゆく己を投影した。そこでは

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花唐草文螺鈿経箱 

花唐草文螺鈿経箱 

トーハクで開催中の「本阿弥光悦の大宇宙」展へ行きました
琳派の祖とされる光悦ですが、そこに焦点をあてた展示も研究も、他の琳派に比べると少ない。知らない部分が多い人なので、これは行かねば!と、早々に行きました
展示内容は、本阿弥光悦って、こんな人で、刀剣鑑定の家の人で、法華宗信仰が厚い人で、書も陶芸も凄いんだよ〜ということがよく分かります。が、琳派の祖と言われている、ぶっ飛んだ芸術総合プロデューサー

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日本の美意識 11

日本の美意識 11

こんにち「日本の文化」とされているものの多くが、もとは外国からの渡来品であり、それをリノベーションしたものである。
唐絵からやまと絵、漢字から平仮名、点茶から茶の湯、五節句にみられる催事など、日本の文化は、実に多くの渡来したものを自分たちに合うように変えて受け入れてきた。そして、そのリノベーションの際に材料として注入された感性こそが、日本文化の根本であり、「日本の美意識」であると考える。そして、そ

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トーハク初詣で松をみる

トーハク初詣で松をみる

長谷川等伯《松林図屏風》

毎年、年始に公開される長谷川等伯の《松林図屏風》や、今年の干支の龍をモチーフにした美術品を見に出かけました。

《松林図屏風》は、その紙質や使い方などから、別のものの下絵ではないか。とか、屏風に仕立てるために切られてしまっているとか、色々謎多き作品ですが、我々は、今の姿を見て感じることが大切なのだと思います

その湿潤な空気感
湿度120%ぐらいの湿気を感じる松林に、た

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いつかのメリークリスマスの「愛すること」を考える

いつかのメリークリスマスの「愛すること」を考える

星の数ほどあるクリスマスソング
その中のひとつ
いつかのメリークリスマス B'z
を思惟します
※あくまで、私個人の考察なので、違う意見があると思いますが、そこはつっこまずにお願いします
稲葉さんが著書『シアン』で、いつメについて述べてらっしゃいますが、その見解とは違う部分が多々あります。
あくまで、私個人の考察なので、ご了承ください

この歌は1992年発売の、ミニアルバム『friends』に収

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キリストのミサ クリスマス

キリストのミサ クリスマス

近年、クリスマスのお菓子として、すっかりメジャーになったシュトーレン
毎年、何処のシュトーレンを食べるか、色々まわるのも楽しみです。

シュトーレン とは、ドイツ語の坑道の意味です。その形が坑道ぽいからとか
その他に白い砂糖がまぶされた姿が、降誕したキリストがおくるみに包まっているようで、この時期に食べられます
シュトーレンは、もともと、保存がききます。保存しておいたドライフルーツやナッツをハチミ

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日本の美意識 10

日本の美意識 10

こんにち「日本の文化」と認識されているものの多くが、もとは外国からの渡来品であり、それをリノベーションしたものである。唐絵からやまと絵、漢字から平仮名、点茶から茶の湯、五節句にみられる催事など、日本の文化は、実に多くの渡来したものを自分たちに合うように変えて受け入れてきた。そして、そのリノベーションの際に材料として注入された感性こそが、日本文化の根本であり、「日本の美意識」なのである。

 

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日本の美意識9 さび

日本の美意識9 さび

「自然をもとにした日本の美意識」9 さび

「さび」は、寂しさや枯れたものに風情や趣を見出し、そこに「美」を感じる繊細な感性で、世の中のものは全て劣化し、朽ち果ててゆく運命にあるが、そんな時の経過と共に移りゆく姿や、いつかは消え去ってしまうであろう劣化が進んだものを、美しいとか風情があると感じる心とされる。「寂しい」、「錆びる」が転じた語である。

「さび」の語は『万葉集』において「さぶし」あるい

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日本の美意識8 わび

日本の美意識8 わび

わび

「わび」は、欠けたるもの、粗相なものを愛で、余計なものを削ぎ落とし最小を目指した極限の美意識である。
村田珠光(1422頃~1502)による茶の湯にはじまり、千利休(1522~1591)が完成させたとする侘茶において、わびの精神が確立したとされる。

※ 侘茶という名称は後世の者がつけたもので、この三名は侘茶とは言っていない。また、侘茶があってわびを説いたのでもない。わびの精神を取り入れた

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日本の美意識7 幽玄

日本の美意識7 幽玄

「自然をもとにした日本の美意識」幽玄

「幽玄」の語は、古くは中国後漢時代の『宝蔵論』や、『後漢書(240年ごろ)』などに用例がみられるが、主には仏教や老荘思想の用語で、その意味は「哲理や仏教のさとりの境地が深遠、微妙であること」(鈴木貞美・岩井茂樹 編『わび・さび・幽玄 ―「日本的なるもの」への道程』)である。
日本では上記のような仏法の用法で、最澄の『一心金剛解体秘訣』に「諸法幽玄之妙」という

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やまと絵展 

やまと絵展 

盛り沢山で、全部を観るのはかなり労力を要するやまと絵展
しかも、1から4期まで、展示替えがあるので、1回行っただけでは見れないものもあるし、内容の濃さにアタフタして終わってしまう
その楽しみ方は、千差万別 人それぞれですが、私はこんな視点で見た。というのをあげたいと思います。
(これからですと、3期、4期の展示になるので、それに合わせるものをのせます)

やまと絵展は、トーハクの平成館二階の全フロ

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飲中八仙図屏風 与謝蕪村

飲中八仙図屏風 与謝蕪村

「飲中八仙」とは、杜甫が八仙に因んで戯れに同時代の名だたる酒客八人を選び、『飲中八仙歌』を作ったことに由来する。
その八仙は、中唐初めの八人の酒豪(賀知章・汝陽王李璡・李適之・崔宗之・蘇晋・李白・張旭・焦遂)。

海北友松の図は、2隻で描かれたものだが、残念ながら一隻しか残っておらず、4人の仙人しかいない
そして、飲んでいるのは、お酒とみられる。
もう、飲めないんじゃ〜というような会話が聞こえてき

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九品往生

九品往生

「九品往生」とは、阿弥陀のいる極楽浄土に生まれ変わる際のお迎えに、ランク分けされた9パターンがあるという考え
これは『観無量寿経』に書かれており、阿弥陀の浄土を描いたもの(例えば奈良当麻寺《当麻曼荼羅》)にみることができる

 各パターンは、生前の行いによって変わり、大きく上中下の3ランクに分かれるが、それらを上品、中品、下品と呼ぶ
更に3パターンの上生、中生、下生のランクがあり、3✖︎3で9パタ

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日本の美意識6 無常観

日本の美意識6 無常観

 「自然をもにした日本の美意識」6 無常観

 平安末期には末法思想が広まり、「無常」を意識するようになる。末法思想は、仏滅後2000年にあたる末法が永承7年(1051年)になることと、平安時代末期に災害や戦乱が頻発した事から、終末論的に捉えられた。そして、特に死後の極楽浄土への往生を願うといったことが流行り、浄土教が広まった。極楽に導く阿弥陀の信仰は、もちろん外来のものであるが、日本ではその外来

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日本の美意識5 あはれ

日本の美意識5 あはれ

「自然をもとにした日本の美意識」5
あはれ

 平安初期は中国大陸から新たに持ち込まれた密教に国家の安泰を願い、調度品や食事の形態、陰陽五行思想を基にした都造営まで舶来品であふれていた。「国風文化」といわれるが、平安朝の生活の土台となるものは、日本独自で生まれたものではなく、渡来したものをリノベーションしたものが中心であった。当時の都の暮らしから「宮ぶる」「みやび」といった、宮廷風の暮らしをあらわ

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