龍之介

自分が観た・聴いた・体験したサブカルチャーをどんどん忘れていってしまうのが悲しくて、備…

龍之介

自分が観た・聴いた・体験したサブカルチャーをどんどん忘れていってしまうのが悲しくて、備忘録をつけてみることにしました。そうしたら、逆にサブカルチャーから自分が語れるのではないかと思い、そんな趣旨も含めて書いてます。

最近の記事

何曜日に生まれたの

 今クールは観るべきドラマが多すぎて、 最近になって、ようやく『何曜日に生まれたの』を3話まで観た。 脚本家の野島伸司が、私が思う野島伸司らしさを逆手にとって、 グイグイと物語をドライブしているという印象。面白いです。  私の思う野島伸司らしさとは、「登場人物のキャラ化」を推進する作家という定義である。これは、1990年代に大ヒットした、『高校教師』やら『未成年』やらの時代から、2018年石原さとみ主演の『高嶺の花』に至るまで、一貫して変わらない構造であるように思う。  キ

    • 『君たちはどう生きるか』 ~我々は生の身体をどう生きるのか~

      今朝、ワンピース(ネットフリックス版)の記事を書いてみて、 改めて思った。 思えば、このアニメが実写を超克していくのではという思いは、2022年の末には、『THE FIRST SLAM DUNK』を観て感じていたことだったと。2023年は、それが本格的に顕在化し始めた年で、私がメジャーどころの作品しか見ていないからというのもあるのだろうけれど、『THE FIRST SLAM DUNK』から、『進撃の巨人』、『呪術回戦』というタイトルで、MAPPAというアニメ制作スタジオの存

      • ONE PIECE (Netflix) ~実写の価値をアニメの価値が超克する~

         ネットフリックスの実写版『ONE PIECE』を視聴した。 とても面白かった。実写の世界に、ワンピースの世界観が見事にマッチしていて、俳優さん、声優さんの演技も、実写のリアリティに近づけながら、漫画的な冒険ファンタジーの荒唐無稽な世界観が見事に体現されていた。シーズン2も製作が決定したのか?そんなニュースがちらほらと流れるが、楽しみに待ちたいと思う…。  しかし、なんだろう。本来、比較する必要もないことなのだろうが、 「これだったら、アニメが良いな」 という思いがぬぐえな

        • ブラック・ミラー(NETFLIX)

          遅ればせながら、イギリスのオムニバスドラマ『Black Mirror』を観ている。 wikipediaによると、「2011年から開始されている、新しいテクノロジーがもたらす予期せぬ社会変化を描く、ダークで風刺的なSFアンソロジー」とのこと。確かにそうだ。 まだ、見始めたばかりで、『ホワイト・クリスマス』『1500万メリット』 『シロクマ』『サン・ジュニペロ』しか観れていない。それだけで、何かを書いてみるというのは、とんだ見当違いなのかもしれない。だが、書きたくなったので書く。

        何曜日に生まれたの

          四千頭身 都築拓紀のサクラバシ919

          ちょうどコロナ禍で家から出ることが憚られていた時期。 ラジオというメディアが私の生活の中に入ってきた。 この年になって、はじめてラジオというメディアの魅力に魅了された。 そんなラジオの中で、今、私が最も聞き逃せないと思っている番組が、 ラジオ大阪で四千頭身の都築拓紀がやっている『サクラバシ919』だ。 特に今年に入ってからの、爆発的な面白さは毎週聞き逃せないという心持にさせてくれるし、木曜日が待ち遠しい。とある曜日が待ち遠しいという感覚は、実に久しぶりだ。 ラジオというのは

          四千頭身 都築拓紀のサクラバシ919

          バッキンガム(水曜日のカンパネラ)

          水曜日のカンパネラ、『ネオン』(2022)に収められている楽曲。 どうやら、First takeでも歌われているようだ。 ボーカルのコムアイが抜けて、どうなるのかと思っていたら、 二代目ボーカルの詩羽の声は、コムアイに似ているようでありながら オリジナリティにあふれるものでとても良かった。 そもそも、「水曜日のカンパネラ」というユニットのコンセプトとして、 「音楽を楽しみつくそう」という姿勢が貫かれているように思う。 昔、ラジオで『桃太郎』を聴いた時の衝撃は凄かった。 こ

          バッキンガム(水曜日のカンパネラ)

          シン・仮面ライダー

          『シン・仮面ライダー』(2023)  映画を観終わって、映画館を出る時に、私はなんだかそわそわしていた。 それは、「やばい、どうしよう。面白くなかったんだけど」という思いで映画館を出たからだ。  劇伴の使われ方は秀逸だったし、オープニングからの流れで、仮面ライダーと緑川博士と、緑川ルリ子で話をしている時の光の入れ方とか、とても綺麗だったし、何よりライダーキックをカメラがパーンして撮っていくときの、これ以上ない、ださ格好良さ。格好良い映像というのはいくらでもあるが、ださいけど

          シン・仮面ライダー

          ベイビーブローカー

          『ベイビーブローカー』(2022)  現代の日本においては、「疑似家族モノ」というジャンルがもはやしっかりと屹立しているように思われる。色々な事情で居場所を探し求めていた人々が集まって、家族のような小集団を形成するなかで起こる出来事を綴る物語。  その物語は、核家族化が極まったこの国において、ホームドラマというジャンルを、最も多くの人々に共感を持って伝える手法でもある。 なぜならそれは、 大家族に囲まれている人たちにも可能性のある物語であり、 核家族の中の一人っ子にも可能

          ベイビーブローカー

          バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋

          『バーフバリ 伝説誕生』(2015) 『バーフバリ 王の凱旋』(2017) 『RRR』でS.S.ラージャマウリという監督を知って、 『RRR』の興奮の余勢をかって、熱狂的に観た。  やはりすごい。 RRRでは、舞台は1900年代前半だったが、バーフバリシリーズの舞台は もはや、年代すらわからない伝説の中が舞台。  そこで描かれるのは、バーフバリの名を冠する親子(二人ともプラバースが演じている)の物語。この親子、肉体的にも精神的にも超人的で、完全善の存在である。ほとんどすべ

          バーフバリ 伝説誕生/王の凱旋

          WBC

          思想家であるロジェ・カイヨワは、名著『遊びと人間』の中で、「遊び」をこの社会全ての芸術・法律・統治機構が産まれてくる源泉として定義した。そして、「遊び」とは「本質的に意味のないもの」であるとした。しかし、それは価値がないことを意味しない。ロジェ・カイヨワは、意味のないものこそ最も人間にとって必要不可欠なものであるということを『遊びと人間』の中で明らかにしていく。 その論の過程で、カイヨワは遊びを4類型に分類した。 アゴン(競争):平等なルールを配し、明確な勝ち負けを規定す

          RRR

          『RRR』(2022) 最近、私の周辺で「『RRR』すごいよ」という声をよく聞く。 この喧騒ははるか昔「『マトリックス』すごいよ」という声を聴いた時と同じような興奮を含んでいる。 これはもしや…とそそくさと映画を観に行ってみたら、 案の定、ものすごいインド映画だった。 どうやら、実際のインドの独立指導者たちが主人公で、物語としては完全なフィクションなのだが、主人公の男二人の友情と対立。そして、肩車。 肩車は、インドの神ガネーシャのイメージなのかな。手が4本だし…。 まあ

          仕立て屋の恋

          『仕立て屋の恋』(1989) 私が大学生の頃、 フランス映画ブームというのが確かにあったような気がする。 リュック・ベッソンが1988年に『グラン・ブルー』を公開して、 日本でもヒットした。 そこから、レオス・カラックスの『ポンヌフの恋人』とか ジュネの『アメリ』とか、 ピーター・グリーナウェイの『コックと泥棒、その妻と愛人』とか、 キェシロフスキの『トリコロール』シリーズとか、 私の周りの友人がアイデンティティであるかのように観ていて、 「フランス映画はやっぱりいいよね」と

          仕立て屋の恋

          トップガン・マーベリック

          『トップガン・マーベリック』(2022) 2022年の映画興行収入でも堂々の第3位に入るこの映画。 2022年の末にようやく鑑賞することができた。 前の記事の『レディ・プレイヤー1』でも書いたように、この映画をノスタルジーの観点から語ることもできるのだろうが、 前作の『トップガン』にあったストーリー要素をうまく『マーベリック』に取り入れながら、大きな主題を描いていることの方に目がいった。 その主題とは、「父的なものの喪失と向き合う物語」 と言えるかもしれない。 『マーベ

          トップガン・マーベリック

          レディ・プレイヤー1 

          『レディー・プレイヤー1』(2018) キングコング/バック・トゥ・ザ・フューチャー/シャイニング/エルム街の悪夢/チャイルド・プレイ/バッドマン/スーパーマン/エイリアン/ターミネーター2/サタデー・ナイト・フィーバー/ジュラシック・パーク/スタートレック日本からは、ゴジラ/ストリート・ファイターⅡ/AKIRA/機動戦士ガンダムなどが参戦。 どうやら確認できなかったり、忘れちゃったり、私が知らないだけの様々なキャラクターが次々とオマージュされて登場する『レディ・プレイヤ

          レディ・プレイヤー1 

          M1グランプリ2022

          今年はTVerに残っていたので、ゆっくりと全組観ることができましたー。 何事についても、中途半端にしか熱中しない私は、当然お笑いに対しても そのスタンスなので、分析らしい分析もできず、ただ笑ってました。 しかし私が観たM1の中で、全組が面白かった大会は今年が初かもしれない。 ファイナルだけで言えば、ミルクボーイとぺこぱとかまいたちが争った2019年が私のベストなのですが、決勝戦全体で観た時に、面白くないと思ってしまうコンビが何組かいたのも事実。今回は、全組が面白かった。 私

          M1グランプリ2022

          むらさきのスカートの女(芥川賞を読む④)

          『むらさきのスカートの女』 今村夏子著(2019) 映画『花束みたいな恋をした』でも名前が登場した今村夏子さんの本を初めて読んだ。 私は、人間が生きていくのに欠かせないものというのはたくさんあるが、「まなざし」もそのうちの一つではないかと考えている。 「子どものころに亡くなってしまったおじいちゃんが 天国から自分を見守っている」とか 「何十年と会っていないけれど、中学時代の恩師は 今の自分をみたら、きっとしかるだろう」とか。 「神は私たちをみておられる」とか。 こ

          むらさきのスカートの女(芥川賞を読む④)