エッセイスト めぐみ

東北と九州を駆けまわるエッセイスト✒️旅にまつわること、日々感じたことなどを綴っています。

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最近の記事

動くリゾート

坂の街を散歩していると その大きな建物は突然目の前に現れた。 煙もモクモクと上がっている。 ん? 向こうは海の方角。 こんな素敵な街にコンビナートでもあるのだろうか… もしそうだとしたら少し残念、 という気持ちを抱えながら 煙を上げている建物の方へ向かう。 周りの建物と建物の間で 妙な距離感のその建物が、近づくごとに姿が露わになってくる。 あっ! 一瞬 息が止まりそうになる。 そして、鼓動が激しくなり自分が興奮してきているのを感じた。 その大きな建物だと思ってい

    • イルカに会いに行く

      東北生まれ 東北育ちの私は この国で野生のイルカやクジラ、ウミガメに会える場所があるなんて 知らなかった。 というより 考えにも及ばなかった。 そもそも海というものが身近になかったからなのかもしれない。 イルカの波動は人を癒す そんな話を聞いたのはずいぶん前のこと。 あの時からイルカに憧れていた。 “優しい波動に癒されたい” そう感じたのだろう。 いつか会いたい。 そう思って、気づけば数十年経っていた。 そして今、野生のイルカに会えるチャンスがやってきた。

      • 花火と家族

        記憶の限り、一番昔に見た花火は地元で開催された花火大会。 我が家から見ることが出来るので、子供の頃はみんなで屋根に上って花火見物をした。 それから少し大きくなって 街にほか弁のお店が出来た時、そこでカレーを買ってほっかほかのカレーを食べながら、会場で見た。 大人になり都会へ出た私は 職場の近くで開催される花火大会の日は決まって早番にしてもらい、 仕事の後、ビールとおつまみを買ってその人の波に飲まれて、見た。 夏。仕事の後。 仲間と共にビール片手に見る尺玉。 あぁ、ニ

        • パンを焼く

          久しぶりにパンを焼く。 こう見えて(見えてはいないでしょうが…) 私、昔は毎日のようにパンを焼いていた。 小さなパン屋の店主だったからだ。 もうヘロヘロになるくらいやり切って それから数年、パンを焼くということから離れていたけれど ひょんなことから 良い小麦粉を頂いたので、久しぶりに焼いてみた。 農薬不使用で育てられた小麦の粉。 元気な土から採れた小麦で作ったパンは優しい味がした。 あぁ 人間と一緒だな、と思う。 元気でエネルギーに溢れている人は、優しい。 栄

          夢の中で

          立ち上がる虹が 疲れた体に少しだけ元気をくれた。 疲れて伏せていた視線をふと上げた瞬間だった。 あそこは雨が降っているのか…。 人の心も行動も 一寸先はわからない。 そして、たとえ雨だとしても 他から見れば虹を立てる要素になることもある。 物事の判断は一方からだけではつけられないのだ。 目の前に虹が見えると 幸せな気持ちになるのはなぜか? 七色の作り出す世界がまるで 天国みたいだからだろうか。 掴めそうで掴めない プリズムの光。 その儚さがいいのかもしれない

          合格祈願

          あれは中学3年生の夏休み。 友だちと毛越寺へ合格祈願に行こうと 自転車で出かけたことがある。 田舎の中学生だ。 自転車に乗るには学校指定のヘルメットが必須だった。 かっこいいとは言えないヘルメットを被った女子中学生が自転車に乗って走る。 どこをどう通ったのか、まるで覚えていないけれど国道4号線の上り坂を汗を流しながら立ちこぎした記憶だけはある。 その坂は冬になると大型車輌が立ち往生するような坂。 当然、今の私の体では自転車で上ることなどできるはずはない。 若いって

          ご褒美

          人生に一区切りを打つ時 自分へのご褒美を購入する。 頑張った自分を労うのだ。 お疲れさま、わたし。 と。 頑張った自分のことは他の誰も見ていなくても 自分とおてんとさまが見てくれている。 それだけで充分だ。 自分を労うことが出来ていれば、他に評価を求めなくとも幸せに生きていけるものだ。 数年前、またひとつ大きな区切りを迎えた。 買ったのは南部鉄で出来たホットサンドクッカー。 欲しいな…と憧れながらも 毎日使うものではないし、贅沢かな… なんて、遠慮していたのだ

          クローバー

          道を歩いていると つい、下を見てしまう癖がある。 何を見るかというと、四つ葉のクローバー。 見つけたら幸せになれるという四つ葉のクローバーをつい、探してしまう。 そして、わりとよく見つかる。 だから、それを試すようにまた探してしまう。 もう充分に幸せなのだけれど、癖というのは不思議なものだ。 さて この四つ葉のクローバー。 なぜ、幸せの象徴なのか? 考えたこともなかったけれど、実は花言葉のようにあてがわれた意味があるらしい。 日本では 希望・幸福・愛情・健康 とい

          今夜はカレー

          雨が降ったり止んだり 天気予報も思わせぶりに揺れ動く夏。 蒸し暑い日はパリッとした気分が欲しくなる。 そうだ、今夜はカレーにしよう。 自衛隊のイベントに行った時 海軍カレーのレシピを配っていた。 もらってきて作ったことがある。 普段は使わない食材で作るカレーもとてもおいしかった。 他にもたくさんあるというのでサイトを覗いてみると、海軍カレーが実に62種類も紹介されていた! 海の上では曜日感覚がなくなるので 毎週金曜日はカレーの日と決まっているという。 私は子供の

          図書館

          母は子供の頃、学校の図書館にある本を 端から端まで全部読んだという。 あの語彙力を慮る限り、それが本当のことかどうかはいささか疑問ではあるが 少なくとも、図書館へ通うというところはどうやら遺伝しているらしい。 私には映像や写真を記憶に留めておくことが出来ないという、ある種の記憶障害がある。 そのせいか、物事を捉えるには明文化されたものが必要な質だ。 マニュアル大好き人間なのだ。笑 文字で表現されていることのありがたさよ! だから、図書館は大好きだ。 いろんな本がある

          泳ぐペンギン

          暑さで動物園の動物たちも 日陰で休んだり 飼育員さんのホースシャワーを浴びたり ホッキョクグマは水から上がってこなかったり… 暑かった日の夕方、そんなニュースが流れていた。 動物たちも暑いんだな… 動物たちも暑さや寒さは肌で感じるのだろうか? 毛むくじゃらのコたちはやっぱり暑さも余計に感じるのだろうか? 人間界ではよく 脂肪があるから寒くないとか暑い と表現することがある。 それを聞くたび、“ん?”と思う。 脂肪が多かろうが少なかろうが 感じているのは皮膚なんじゃ

          大阿闍梨

          東北の山奥に千日回峰行を成した僧侶がいると知ったのはいつだったか…。 約千日、ただひたすらに悟りに近づくために命がけで修行をするという。 それはまさに生きるか死ぬかの修行。 成し得た僧侶は大阿闍梨と呼ばれる。 その大阿闍梨が月に2回、説法をするというので行ったことがある。 あれは夏ー。 狭くはなくとも、たくさんの参拝希望者のために先着順で入場が規制される。 お堂は気温と熱気で暑い中 まずは護摩焚きが行われた。 燃え上がる炎と読経の音。 それはまさに声というより

          集まる

          ギャザリングというイベントをさせてもらったことがある。 少し前にお洒落な雑誌で取り上げられていた、いわゆる“ポットラックパーティー”のようなもの。 テーマは南部鉄器。 窯元自ら、場所の提供やフライパンや鍋を用意してくれ、みんなで調理。みんなで食べる。 そんなイベント。 真ん中には南部鉄器を囲んでー。 鉄の黒さはお料理をおいしく見せてくれる。 温かいお料理は温かいままで。 冷たいお料理は冷たいままで。 ワインクーラーも、南部鉄の鍋だった。 企画を持ち込まれた時はギャ

          デジタルデトックス

          ある夏の日 携帯もまともに繋がらない山奥の温泉に滞在したことがある。 デジタルデトックスという言葉が流行っていた頃。 あれこれ通信機器に囲まれて、ちょっと疲れていた時だった。 本や雑誌をたくさん持ち込んで 素泊まりの部屋に泊まる。 気ままな温泉タイム。 テレビは早々にコンセントを抜いた。 本を読み 朝も昼も夜も、温泉につかる。 他のお客はさほど多くはなく いつも静かにつかっていられた。 最高の時間。 インターネットが繋がらないというのは こんなにもたっぷりの

          デジタルデトックス

          七夕まつり

          今日は七夕なので願い事を考えてみる。 む。 むむむ。 特にこれといってない、ということに気付く。 ゲスい思考は 「宝くじが当たりますように」 とか 「痩せれますように」 とか出してくるけれど そもそも、宝くじは買っていないし 痩せるもなにも、これを書きながらチョコを食べていたりする。 そんな、人の願いはおもしろい。 それぞれの人生の中で欲しいものや願っているものがこんなにも違うのかと思う。 みんな、一生懸命に生きているんだな。 そして 世界は人の数だけある。

          それぞれの世界

          美容室へ行く。 今どきの美容室はWi-Fi完備。 ネットで雑誌も漫画も読めるからと、雑誌も出てこない。 みんな、スマホを見ている。 私も普段はスマホを見て過ごしているが、今日はなんとなく本を読もうと本屋さんへ立ち寄り、本を買ってから向かった。 読んでいると、アシスタントの若い女性が 「何を読んでるんですか?」 と声をかけてきた。 ロングの金髪をサイドだけ刈り上げた、美容師らしいスタイルの彼女。 読んでいる本を聞くとは、大胆。 しかも、声も人一倍大きいのだ。 小