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【読書】 『日本が売られる』 堤未果(著) 幻冬舎新書

あらすじ(概要)
水と安全はタダ同然、医療と介護は世界トップ。そんな日本に今、とんでもない魔の手が伸びているのを知っているだろうか? 法律が次々と変えられ、米国や中国、EUなどのハゲタカどもが、我々の資産を買いあさっている。水や米、海や森や農地、国民皆保険に公教育に食の安全に個人情報など、日本が誇る貴重な資産に値札がつけられ、叩き売りされているのだ。マスコミが報道しない衝撃の舞台裏と反撃の戦略を、気鋭の国際ジャーナリストが、緻密な現場取材と膨大な資料をもとに暴き出す!

ISBN:9784344985186 (Cコード:0295)
幻冬舎HPより転載

『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書、ISBN 978-4004311126)の堤未果さんの新書。

本書『日本が売られる』138ページからの『労働者が売られる』が大変興味深い。
『高度プロフェッショナル制度』についての記述だ。
高度プロフェッショナル制度とは、「働き方改革法案」の中で可決された制度で、労働基準法の定める労働時間や休憩、割増賃金、残業代に関する規定の適用を除外する制度のこと。
つまり、企業は労働者に週7日、残業代を支払わず雇用できる制度のことで、「働き方改革法案」ならぬ、「働かせ方改革法案」だという。

そんな企業あるの?と思われる方もいるかもしれないが、中小企業ほど多いと思う。
とある武蔵野市にある中小企業は、縁故採用の従業員は週5日ネットサーフィンとたまに出張という名の旅行に行き、縁故採用以外の従業員は週7日出勤・残業代未払い・賃金は最低時給以下・雇用保険は未払いだ。当然、縁故採用以外の従業員はどんどん辞めていく。(求人募集には労働基準法を満たした求人が掲載されているので、常に入社する社員がいるものの、当然、求人内容とは違う、最低賃金以下の給与と週7日残業づけの日々で続かず辞めていく。しかも、会社が雇用保険未払いで失業保険受給資格すらない)

しかしながら、そんな企業が珍しくないことも事実で、所謂ブラック企業だ。求人票には「ブラック企業です」とは記されていないので、就職先がブラック企業とわかったら1日でも速く辞めることだ。ブラック企業の経営者は、自身の会社がブラック企業だとは思っていないので、「なぜ、雇用保険は支払う必要があるの?うちの会社の規則で雇用保険には加入しない」と至極平然というので、考え方を改めさせるのは困難だ。

繰り返すが、ブラック企業だと思ったら、逃げろ。


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