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本、映画、舞台などの感想を好き勝手に書いています。
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記事一覧

【ストリップ鑑賞記録】ストリップ・トリップ

【ストリップ鑑賞記録】ストリップ・トリップ

※未成年の方の閲覧はご遠慮ください※

城崎の温泉宿には、かつてのストリッパーが現役で、磨き上げた熟練の秘儀を見せてくれるらしい――友人がどこからそんな話を仕入れてきたのか、嘘か真かもわからぬ話を聞かせてくれたのが十年以上前だから、高齢化しただろう彼女たちの消息とその秘儀については確かめられないままになってしまった。しかし、そのときに得た「現代日本にストリッパーという生業がある」という知識は、その

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【舞台感想】「ハリー・ポッターと呪いの子」

【舞台感想】「ハリー・ポッターと呪いの子」

『ハリー・ポッターと賢者の石』を初めて読んだのは、10歳のときだったか。年に1冊邦訳が出ていたころ、ハリーと一緒に年を重ねている感覚があり、ハリー・ポッターに夢中になったことがある子どもがたいていそうであるように、自分のもとにホグワーツ魔法魔術学校の入学許可証が届かなくて落胆したものだった。
物語をすべて見届け、映画も完結した後に出た舞台の脚本『ハリー・ポッターと呪いの子』は刊行直後に読んだきりで

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【読書記録】2022年もっとも印象に残った1冊

【読書記録】2022年もっとも印象に残った1冊

大学の仲間と興した文芸同人誌「しんきろう」が10周年ということで、かつての仲間うちでLINEグループをこしらえ、なにやかやと意見交換をしています。今回のお題は「2022年もっとも印象に残った1冊」ということで。

『月の番人』(トム・ゴールド/亜紀書房)

絵本サイズの海外コミック。谷町六丁目のブックカフェ「書肆喫茶mori」さんでひと目惚れし、その場で購入しました。

過疎化が進む月のコロニーを

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【覚書】第六回文学フリマ京都

【覚書】第六回文学フリマ京都

第六回文学フリマ京都に参加してきました。
次回こういった場に参加するときのために、自分用の個人的な覚書をしたためておきます。

2021年の第五回が中止になってしまったので、京都会場にしか参加していないわたしにとっては2年ぶりの出店でした。
新刊を予定通り携え、感染症対策や非接触のために自分なりの工夫をこらして臨みました。

文学フリマ京都は、今のわたしにとっては年に一度の晴れ舞台なのですが、この

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【読書記録】2021年GW前後

【読書記録】2021年GW前後

・『小さなトロールと大きな洪水』『ムーミン谷の彗星』(トーベ・ヤンソン)
・『こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ』(岡田淳)
・『オリガ・モリソヴナの反語法』(米原万理)

去年から読んでいた『指輪物語』を今年の頭に読了し、『ホビットの冒険』を読んでいたが、『追捕編』を読み切らずに次に手を出してしまった。ホビットはとりあえず措いて上記4冊の読書感想です。

『小さなトロールと大きな洪水』『

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【観劇感想】他人の旅と{わたし}(來來尸來003便「ブレイス」より)

【観劇感想】他人の旅と{わたし}(來來尸來003便「ブレイス」より)

昨日、來來尸來003便「ブレイス」を観てきました。

コンセプトのひとつとして「旅」を組み込んでいるというこの劇団のことは、以前から気にかけていた。今回も興味深いトピックがところどころにちりばめられていて、単純におもしろかったです。洗練された身体表現の緊張感と、ラフな会話劇の緩急のバランスも。それでいて、ふと覗く生々しさにどきりとさせられるのは脚本と演技と演出がきちんと計算されているのだろうなと思

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【読書記録】『鹿の王』

【読書記録】『鹿の王』

去年の読書記録です。未知の疫病と戦う人々の話ということで、今年こそこれを読むべきだ、と思ったことを覚えています。上橋菜穂子は守り人シリーズが好きですが、それ以外はあまり読んで来ませんでした。

2020年8月18日お盆休みから急に現実に戻るのが難しいため、連休の最終日からファンタジーなど読み始めている。現実逃避の終わりに現実逃避を重ねていく。
今やっとヴァンとホッサルが出会ったところ。

かなり綿

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【読書記録】『指輪物語』(王の帰還)

【読書記録】『指輪物語』(王の帰還)

5月17日 ペレンノール野の合戦前まで・映画版が烽火のシーンと死者の軍勢と交渉するシーンを見せ場に選んだのは凄い。原作のガンダルフとピピンは烽火を右目にゴンドール入りするし、死者たちもけっこうすんなりついてくるのだと思った。
・死者の道を恐れないレゴラス。

5月18日 マーク軍到着まで・メリーとセオデンの良好な関係に対してデネソールは取り付く島もない。
・実はガンダルフのことがあまり得意ではない

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【読書記録】『指輪物語』(二つの塔)

【読書記録】『指輪物語』(二つの塔)

1月14日 エミン・ムイル踏破中・アラゴルンとギムリが普通に疲弊していても、レゴラスはレンバスだけでも一人だけ元気。屈託のない物言いが癒し。

1月15日 ファンゴルンでの夜まで・トールキンはレゴラスが妖精的な可愛らしい女性的なイメージを持たれると怒りの批判をしたらしいが、少なくとも邦訳では描写が怪しいときがあるように思う。
・エオメルとの邂逅にて、すぐカッとなるギムリにレゴラスが味方するようにな

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【読書記録】『指輪物語』(旅の仲間)

【読書記録】『指輪物語』(旅の仲間)

去年ちまちま記録していた『指輪物語』(新版/評論社)の読書メモを掘り起こしてまとめます。映画を公開当時に観て、原作は一度挫折していましたが、DVD(SEE)を入手したことをきっかけに読み始めました。

1月5日 馳夫との邂逅まで・塚人に捕まって助かったとき、カルドランの最後の王が乗り移り、アングマールへの恨み言を口走ったメリーこそが、その後ペレンノールの合戦で魔王を刺し(エオウィンがとどめを刺せ)

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