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唸る!

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唸ったり、ホロリ、ホンワカ、キュン、、、な、皆様の素敵な作品や御記事を集めました✨
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記事一覧

はらつづみ【掌編小説】

はらつづみ【掌編小説】

 秋の終わりの、霧雨がけぶるように降る朝。
 傘をさすべきか迷いながらも結局、一度もささずに、湿っぽい髪のまま駅の改札を抜けた。
 このあと待っているのが仕事なら苛立たしい気分になっただろうけど、パートが休みの日なのでまあいいか、と鷹揚に構え、濡れた線路の匂いを嗅ぎながら、ゆっくりホームを歩いてゆく。既に出勤ラッシュの時間は過ぎて、床に描かれた扉の印のところにひとりふたりと人が立っている程度で混ん

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櫻、花びら、散る前に。咲いている内に…。

櫻、花びら、散る前に。咲いている内に…。

遂に忌々しい外壁工事の足場が取れました!
この週末は恐らくは今年最後の花見になりそうです。
然るに私も遅蒔き乍ら毎年恒例の自分だけの花見をバルコニーから愉しむのでありました。
流石に満開とはいきませんが、これも風流。最後迄愛でるのが正解だと思います。
時折風が吹けば見事な櫻吹雪。この刹那、一瞬一瞬が美しいのです。

この櫻吹雪が目に入ってとても幸せに思えます。

朝は昨夜の残り物のカレーを戴きます

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【俳句】弟の句をよむ 令和六年春 

【俳句】弟の句をよむ 令和六年春 

 我が兄弟航路は、実の兄弟の二人組である。共有のアカウントを舟に見立て、文学の大海原にしがない航跡を描いている。

 だが、昨年の七月に次女を授かった弟は、育休を宣言し、二人の娘の父として日々奮闘している。近々、新しい住まいに引っ越すようで、まだしばらくは、腰を据えて執筆する余裕はなさそうである。

 そんな中でも、筆者の作品を航海する直前は、弟が必ずこの舟に戻ってくる。最初の読者という、唯一無二

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神代植物公園の桜:: みどころ案内

神代植物公園の桜:: みどころ案内

東京には公園が多々あるが、特に桜に名所の一つでもある。桜の名所というのは全国津々浦々あり、東京都もそうなのだが神代植物公園は比較的ノミネートされてない様にも感じる。
ここの桜の特徴はソメイヨシノも見事だが、何といってもしだれ桜と八重桜の種類の多さとそのコラボが圧巻なのである。また、特筆すべきは美しい「神代曙」という種類の原木があるのでも有名。

アクセスは、京王線調布駅から吉祥寺駅行きのバスに乗り

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小説:ひつじの子

小説:ひつじの子

序)かあのこと

社団法人愛徳のひつじ会の運営する児童養護施設『こひつじ園』は1955年、大阪と京都の間の土地にあった屋敷とその周辺、35,000㎡の広大な山林を個人で所有していした園長が数名の賛同者と共に始めた小さな孤児院だった。

設立の5年後には園長の私財と篤志家らの寄付によって、乳児院であるひかり園がこひつじ園の建物の裏手に建設された。更に設立の10年後にはこひつじ園とひかり園の間の土地

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大きな青いチョーク【短編】

大きな青いチョーク【短編】

雨上がり、すっかり乾いたアスファルトの道を
下を見ながら歩いていたら
大きな青いチョークが落ちていた。
クッキーの生地を伸ばす”めん棒”くらいの青い棒。
わたし、なんでチョークって分かったのか分からないけど
「あ、チョークだ。
道路に何か描こう」
って思ったのですぐにしゃがんで拾った。

何を描こう?
そうだ、とりあえず丸を描こう。
わたしは一つ、青い丸を描いた。
まるい形を描いたあと、中をぐりぐ

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言い得て妙

言い得て妙

 冬から春へと移りゆくこの時期、景色を春色に染めるのは河津桜や寒緋桜。市内にあるいつもの植物公園に出かけると、一本の河津桜の樹に数十羽のメジロ大集団が群がり、近くに人がいても逃げることなく、一心不乱に蜜を吸っていた。

花壇には色とりどりのクリスマスローズの他、カンザキアヤメ、スイセン、バイカオウレン、ヒマラヤユキノシタ。少し気温も暖かくなってきたせいか、春本番に向けて植物園もにわかに活気づいてき

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咲くやこの花館と鶴見緑地

咲くやこの花館と鶴見緑地

こんにちは、うりぼうです。

ご無沙汰しています。みなさんお元気ですか?

最近の私は、というと、忙しい日々で少々ぐったり、休日もなんだかやる気が起こらず、今更ながらハリーポッターを読んで過ごしておりました。
(ようやく「死の秘宝」まで読み進めました。)

note、なかなか開けずすみません。

春の野草がちらちらと目に入ってくる季節。

そろそろ記事を、と思ったのですが、その前にフォローさせてい

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大地に安らぐ

大地に安らぐ

 早春の風物詩、梅の花がほぼ満開となった。先日配布された市の広報に、市内の公園にある枝垂れ梅の開花情報が載っていたので、早速雨の日に出かけることにした。

まだまだ冬色に染まる公園に、そこだけ春を先取りするかのような華やかな彩りの一角が遠くからも見て取れる。白、赤、ピンクと小さな花弁を無数に付けた細い枝が四方に広がり、こぼれ落ちるように咲いているその姿は、うっとりするほどの風情と、枝垂れ桜とはまた

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梅とメジロと水仙

梅とメジロと水仙

梅 (5種)

公園の梅がまだ六分咲きほどではありますが、とても綺麗でした。

梅とメジロ

メジロが花の蜜を吸いに来ていました。

水仙

木の根元の水仙は花盛りで、こちらも綺麗でした。

神奈川県横浜市南部にて。

今までに上げた自然
花・鳥もこの中に

自己紹介の代わりに

空と水の境界 :: 冬の四尾連湖 - 水明荘

空と水の境界 :: 冬の四尾連湖 - 水明荘

1泊2日かけて山梨県の四尾連湖の撮影に行ってきた。
春、新緑の頃の四尾連湖には何度も訪れた事がある。しかし真冬の四尾連湖は一度も見たことが無い。

文化のごった煮

そんなわけで中央線で甲府駅に。そして身延線のホームに移動。

身延線のホームから、すぐ横にある甲府城の稲荷櫓が見える。
帰りに撮影によろうかと思い、視線を右に向けると・・

な、なんと、オベリスクがそびえていた。

この風景で撮影意欲

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不器用

不器用

愛がなにかを知らないふたり
理由を探せないまま
いつのまにか
心を寄せ合った

見えない海で手を伸ばして
波をつかまえて
理性と欲望が
打ち寄せては引いてのくり返し

たまらなく求めて
でも何も求めずに
求めるからこそ
差し出して

時に語り
時に黙り

おわらない砂時計
消えない月明かり
永遠を語れなくても
明日を待てる根拠のない自信

時間を差し出し
心を差し出し
見せ合って受け入れて
受け取

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