金井美恵子

金井美恵子『噂の娘』『「スタア誕生」』(講談社)

北条裕子『美しい顔』を読むために、昨年の「群像」を借りてきた時に、書評欄を見て気になった、金井美恵子「『スタア誕生』」、それより前に発表されていた『噂の娘』とつながっているというので、まず『噂の娘』を読んでから、「『スタア誕生』」を読むが、金井美恵子を読むには本当に体力がいる。修辞に修辞を重ねた長い文章を、どこが主語でどこが述語か、見落とさないように注意深く読んでいないと自分が何を読んでいるかわか

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「小さいこと」からネチネチと〜『新・目白雑録』

◆金井美恵子著『新・目白雑録』
出版社:平凡社
発売時期:2016年4月

金井美恵子といえば、小説作品にもその趣味嗜好が濃厚に刻まれているシネフィルぶりを想起しますが、時にフローベール的とも評されるエッセイにもその持ち味が存分に発揮されているように思われます。

本書では「その時々の時代の大文字のニュースや出来事の周辺で書かれた様々の小さな言説に対する苛立ち」にアイロニーをまぶして存分に金井節を

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美しい日本語とは?(ウサギノヴィッチ)

どうも、ウサギノヴィッチです。
 
 キレイな言葉を並べて、キレイなものを表現する。
 自分にそんなことが出来ているのか?
 いや、出来ていない。
 このレビューでさえ、誤字や脱字があるし、同じような言葉が等間隔で、毎回登場してきている。
「言葉には限界があるのだろうか?」
「言葉で表現出来ないものなんてあるのだろうか?」
 ふと、僕は考えた。
 言葉の組み合わせは無限にあるが、その中で意味が通る

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『カストロの尻』について

面白そうだから買ったんですけど(買わないと本が読めない性分で)読みにくいのでした。まあとにかく読むか。これが六月の終わり頃。シンプルに言うと、タイトルは裏切らない! 素晴らしく妖しい〈金粉ショー〉をめぐる連作のうちの最後の一章です。

《カストロの尻 miscellany》には一瞬『クレールの膝』(ロメールの映画)が出てきます。これはもう、当たりを引いたような気分ですね。ロメールの『春のソナタ

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「快適生活研究」

夕方のカフェで、読み終えた本を閉じ、冷めてしまったコーヒーに手を伸ばす。

カップに口をつけようとして、自分がにやけた顔をしていることに気づく。

おそらく、この本を読んでいる間中ずっと、ニヤニヤとしていたのだろう。

使い込んでかなりくたびれつつある赤いデニム地のブックカバーを外して、本の表紙を眺める。

「快適生活研究」 金井美恵子

見ているだけでうっすらと嫌な気分になり

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