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美しく呪われた人たち
作品社から今春に出た新刊、F・スコット・フィッツジェラルド著「美しく呪われた人たち」を読み終えた。翻訳は上岡伸雄さん。言葉にできないほど美しかった。刹那的に生き、破滅へ向かっていく二人。その転落ぶりさえも美しい。こんなに美しい小説をかつて読んだことがあっただろうか。と振り返ったらあった。悲しくて、儚くて、美しくて、その先にある破滅。かつて、この人となら心中できる。喜んでする。と強く恋い焦がれていた
もっとみるABBEY ROAD 8 AUGUST 1969
本を開いて、読み終えて、映画を観終えて、それから本を開いて、読み終えて、また本を開いて、読み終えて、映画を観終えて、を繰り返していた一週間だった。そのあいだに、七十二候モビール展へ出かけたり、ウイグル料理を食べてみたり、旧友に会ったり、国産紅茶専門店「紅と香」の出張喫茶もあったりして、メリハリが意外にもあったのだけれど、その他は日がな一日本を読んだりして過ぎていった。今週読んだ本は阿久津隆著「読書
もっとみる【耳をすます3】無駄であることのうつくしさ
心地いい生活には「持続可能」であることが必要条件になっていることは先述の通り。その上で十分条件「粋」もしくは「無駄」であることについて。言い換えれば「嗜好」や「感性」なんてところだろうか。価値観の琴線に触れた、共感し難いもの。この辺りのことは以前の記事「くろうとの金、しろうとの金」を参考にしてもらえると、すんなりわかってもらえるような気がする。最近では、本来ビジネスにおいてのみ使われるべき、'生産
もっとみる【耳をすます2】持続可能性とグローカルな生きかた
最近の読みものの中に「ストーリー消費時代」とあった。たしかに、消費は「コスト」と「ストーリー」の二極化しているように思う。未来があるのはどちらなのか。先の【耳をすます1】では価値を再考することについて問うた。その続き。わたしの指標は「心地いい生活」の追求にある。その「心地いい生活」は、「粋」もしくは「無駄」と「持続可能性」の二段階に区分することができる。ピラミッドの頂は「心地いい生活」。その次に「
もっとみる【耳をすます1】価値を再考する前に
今までかなり守備的なスタンスを取ってきたと思う。それはわたしの小さな課題でもあった「ファン(共感者であり支援者)を増やす」という行為。わたしの価値観に基づいてつくった「ハトムギソウ」という空間に対するファンを増やす。そのためにこれまで「(異なる)色がつく」からと、さまざまな誘いを断ってきたし、基本的に断る姿勢を貫いてきた。だけど、ハトムギソウを守り「ファン(共感者であり支援者)を増やす」行為はある
もっとみる消費されない生活のために
移住事業に携わる端っことして、ときどき煮詰まったり、ぎゃふんと思ったりしながら見えてきたものがある。「生活」は目的なのか、手段なのか。ひと昔前なら、「仕事」がその議論に値していたように思う。社会は確実に次のステップへ進み始めている。場所に縛られない暮らし、いわゆる多拠点生活や移動生活のような多様化したライフスタイルが、少しずつ浸透しつつある。そこで再度、その土地で暮らす意味を考えたい。気に入った土
もっとみるピクニックライブをやるよ
今年は、季節に沿った行事にすこしだけ力を入れていきたい。とひそかに思っていて、一月は「春の七草とおんじゃおんじゃ(鬼火焚き)」をやった。来月は「にがつみっかは節分だよ」と称して、豆まきをやったり、恵方巻きを作ったりする予定。三月はなにをしようか。と考えるずっと前のとある朝、目覚めたら、窓から差し込む陽光が柔らかくて「裏の畑でピクニックライブをやりたい」と思った。それで、三月はそうしようと思った。二
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