當間健一郎

漫画やアニメなどから影響を受けたSF的世界観の物語を得意とし、特に庵野秀明監督『新世紀…

當間健一郎

漫画やアニメなどから影響を受けたSF的世界観の物語を得意とし、特に庵野秀明監督『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズや富野由悠季『機動戦士ガンダム』シリーズは思想的側面や主題などを通じて多大なインスピレーションを受けている。

マガジン

  • ライフプラン

    波玲はマッチングアプリのメールオペレーターとして生計を立てながら喪失した恋慕に縋りつこうとする中年男性。かつて勤めていた広告代理店でのいざこざから産まれた葛藤を打ち消すために絵描きを志す。けれど、いつの間にか壊れ始めた彼の日常に些細な悪意が侵入し始めた頃からいつの間にか心に産まれた暗闇が破綻を産み始める。日常系SFラブストーリーは波玲の巻き込まれていく非日常感覚の暴走によって意外な結末へと直走る。

  • リアルウェアストーリーズ

    J大学を卒業した佐々木和人はネクストエレクトロニス社のインターン生として研究者の道を歩むことを決意。学生時代からの夢であったルナ☆ハイムコーポレーションは親友の白河稔との盟約により、お互いの理想型を実現した時に叶えようと誓いを交わす。防衛省へと勤務した白河稔は社会に依然として残る獣人差別との闘いながら大学時代に田上李淵が残した予言によってもたらせる戦争装置の必要性を訴え続ける平和主義社という概念を探求する決意する。だが、かつての恋人梅里桃枝の惨殺事件に端を発する佐々木和人の残酷な過去は彼の記憶にトラウマとなって永遠の呪縛を与える。脳科学をベースにSFミステリーシリーズ堂々の完結編。舞台は京都電子頭脳研究所。悪が蔓延り決して拭えない傷と闘い続ける佐々木和人と白河稔はルナ☆ハイムコーポレーションがもたらす夢の在処を外在化させていく。

  • ギャグボール

    とある深夜、黒猫とサメ型のリュックを背負う女は父親の元を逃げ出してきた左眼に黒い眼帯をつけた十歳の女の子神原沙樹と出会う。彼女を見守る聖霊と三人は彼女が家族の元から逃げ出さなければいけなかった理由を探す旅に出ることにする。渋谷の街を覆う暗闇に翻弄されながらも若者たちですら取り込む疑念の象徴白い羽根大聖堂を目指し、奇々怪界な出来事に遭遇しながらも人間存在が指し示す原罪が歪んでまま暴走していく姿を垣間見て神原沙樹は大人への階段を登っていく。一方、私立七星学園魔術科に通う黒灯真司と那森弥美は彼女の左腕に刻まれた無数の傷跡が魔術によるものである事を突き止めて呪いからの解放を求めて謎を解き明かそうとする。学園全体に蔓延る強者たちのエゴは学園最強の証であるザファーストチルドレ☆ンに選ばれし勇者達が弱きものの魂そのものを吸収することで支配者の愉悦を蔓延させていく。

  • 徒然なるままに。

    あんなことおもったりもうそうしたりあれしたりこれしたりたべたりのんだりはたらいたり。

  • リニアレール

    短距離空間転移装置リニアレールを巡って翻弄される二人の男女の本格SFラブストーリー。メジャーシーンで活躍する女とアンダーグラウンドで活動を続ける男はふとしたきっかけで同棲生活を始めることになる。 彼らが生活や会話を通じて、お互いの違いについて知り理解し合うことのできなかった部分を少しずつ共有することで自分たちの世界そのものも変化させていく。 お互いの考え方や言葉の使い方、思想や行動の些細な違いを知っていくことで二人は辿るべき道筋を明確にして新しい世界の扉を開こうとする。けれど、まるで彼ら自身の変化と呼応するように大きな変革を迎えようとする世界は、魔術回路と呼ばれる肺胞に一定の確率で発症する劣性遺伝を抱える人々に対して規制を強める法案が施行されてしまうと、同棲生活をを続けていた二人の世界もまた分断されて別々の生活を送ることと余儀なくされてしまう。

最近の記事

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「あぁ。はい。大丈夫です。なんだかお酒を飲みすぎてしまったのかもしれなくて」  青醒めた表情の奏水を木山が心配して背中をさすり介抱しようとしている。波玲が「イマコイ」のメンバーに別れを告げて立ち去って駅の方に消えていく。奏水は彼に何かを伝えたかったけれど、うまく言葉に出来ないもどかしさと吐き気と胸焼けで息が詰まるようで苦しいけれど、奏水には原因がどうしても分からなかった。横川のじゃれあいには付き合う気にもなれなくて彼が心配を装って話し掛けてくることがもう受け入れることが出来ず

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    • You`re entirely bonkers. But I’ll tell you a secret. All the best people are.

      「私は出雲へは初めてになると思います。壱ノ城家の巫女のことは話には聞いているけれど、私には関係がない話だっていうのも。貴方はもしかして神様たちにおねだりをする気でいてくれるんですか? 私を助けてくださいって言い出すみたいにして」  芹沢美沙は東名高速道路を走る『イオリア+』の助手席で膝の上に乗せた妖精アンダーソンに向かって話しかけている。  アンダーソンは芹沢美沙の膝から決して離れることのないように身体を黒い革紐のようなもので縛り付けられていて妙に窮屈そうだけれど、主人の言い

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      • See, Madness, as you know is like gravity. All it takes is a little push.

        「いえーい! こいつがあれば私はリエンから自由になれると思う。正直さ、嫌なんだ。目の前でもう一人の自分が泣き叫びながらズタズタに切り裂かれて命を奪われていく。なのに、私はどうにもならないほどに快楽を貪ってブレーキだってかけられない。ねえ、助けてくれるんだろ、私をさ! 連れて行ってよ、もう誰にも縛られない自由がある場所に!」 「まぁ待て。お前の言っているリエンがどんなやつかは分からないけど、まだ身体を持ったっていう実感が湧かないんだろ。例えるならアイソレーションタンクに閉じ込め

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        • Revenge is never a straight line. It's a forest, And like a forest it's easy to lose your way... To get lost... To forget where you came in.

          芹沢美沙は初めて蒼井真司に身体を許した夜の記憶が眠りの中で再生され始めたのをきっかけにしてゆっくりと現実を掴み取るようにして目を醒ます。 ヴァギナが濡れないはずの潤滑ゼリーを利用した性体験を必要としたのは木場真理亜の提示した条件を満たす為であったとしても、彼女が蒼井真司を必要としていたのは事実だったし、芹沢美沙に与えられたのはやはり快楽だったはずだと彼女は雨上がりの朝の太陽が照らす光がカーテンから差し込んでくるホテルルームのベッドの上で受け入れようとする。 「起きたようじゃの

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        マガジン

        • ライフプラン
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          12本
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        • ギャグボール
          77本
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        • 徒然なるままに。
          109本
        • リニアレール
          31本
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        • フレンズ
          20本
          ¥1,800

        記事

          Either way whichever way, no harm no foul. Cos either way, it’ll be one hell of a ride. I’m ready.

          「さっきの人が真織さんなんですね。何だか不思議な雰囲気を持っていたけれど、彼自身は自分のことが何の変哲もない人間だと思い込んでいる。狭間で生きることがどんなに大変なことか分からないままいようとしている」  芹沢美沙は立ち寄ったホテルの一室で窓際の席に腰掛けて外の景色を眺めながらまるで独り言のように谷村真織の印象について話している。 「彼は昔からそうなんだ。わざとかと思っていた時期もあるけれど、そうじゃない。彼の運命がそうさせる。歯車として生きることになんの恥じらいも感じていな

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          Either way whichever way, no harm no foul. Cos either …

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          腹が膨れたことで唐突な悲劇に干渉している心が消えてしまうかとも思ったが、結局ぼくはいまだにたった一人で下高井戸駅にいる違和感に耐えられなくなり、スマートフォンを取り出して時刻を確認する。にんにくの匂いが口から漏れていることをぼくは恥じることも出来ない。破綻した日常を彷徨い歩く方法を探さなければいけないと抽象的な言い訳で自分自身を武装して、悠亜が残したお釣りと財布にあった一万二千円を合計すると一万七千円があることを把握した後にインターネットで風俗サイトを検索して近所のホテヘルへ

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          「今朝未明、渋谷区の路上で女性の遺体が発見されました。殴打された後や体内に犯人のものと思われる体液が発見されたことから警察当局はこの事件を強盗殺人事件として捜査するものと見られています。被害者は内和奏水二十五歳。都内の法学部に通う大学生で──」  自宅に帰っても何かをする気にはなれなかった。あいにく個室が四畳半ほどしかないシェハウスの自室にはテレビは置いていないので、スマートフォンのアプリを使い、ニュースなどで手に入るだけの情報を掴んでおこうと思った。自分だけが世界から取り残

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          「ねぇ、昨日のニュース見た? 女子大生の強姦殺人。まだ、将来有望な法学部の生徒って話じゃない。いやねぇ。なんていうか──」 「あ、見ましたよ、奥さん。そのニュース。警察がまだ捕まえてないって、そいつ。体内から出たんですって犯人の」  翌朝、仕事前に近所のカフェで食事をしていると、二人組の主婦が噂話をしている。日曜日ということもあり、お昼前でも店内は満席に近く、隣のテーブルの主婦は周りに遠慮もすることもなく今朝方ニュースで流れていた悲惨な事件の顛末を話し合っている。ぼくは注文し

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          「さぁ、お疲れ。みんなが仕事頑張ってくれればこうやって会社の経費で飲み放題食い放題だ。これからも遠慮なんてしないで遊び回るためにガンガン頑張ってくれ。俺たちはさ、人に褒められるような仕事じゃないのかもしれない。何処かでユーザーを利用している。けど、だからだな。後ろめたく思っちゃいけないのは。思いきり金を稼ごう。これからもよろしく。よこかわぁ。そうやって酒に呑まれてると女にモテないぞ。とにかく気をつけて帰れよ。木山、明日の早番よろしく頼むな。俺は休みだ」 「あ、鷺沼さんずるい。

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          昨日の夜は悠亜と別れた後に家に帰り、油絵のキャンパスの前に座ってみたが、幾重にも塗り重ねて現れたモチーフが思った通りの像を結んでくれずに投げ出したくなりそうなところを我慢して映画を見ることにした。残酷だけれど理由があり、悪事を咎められて破壊される存在と尊厳を保たれたまま自然への戒めとして送り届けられるものが純粋な欲望と真摯な信仰によって集団の犠牲になった挙句に昇華されるという物語でとても美しかった。ぼくは言葉を失い、しばらく放心状態のままベッドの上でぼーっとしているうちにいつ

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          「ねぇ、私のことちゃんと覚えてた? 顔忘れちゃったとか言わないよね? あのさ、とりあえず部屋に上がってもいい? 忘れ物わざと。だって君さ、人に興味なさそうじゃん。だめだよ、そういうの。手帳はさ、女にとっては結構大切なものなんだよ」  翌日の夜、アルバイト先から帰ってシャワーを浴びて着替えを済ませたタイミングでスマートフォンの着信音が鳴る。新宿で待ち合わせをした方が都合が良いのではと提案したけれど、仕事が何時に終わるか分からないので最寄駅で待ち合わせをしようと返された。彼女の強

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          京王線を明大前で乗り換える時にちょっとだけ脚がふらついて自分でも思ったより酔っていることに戸惑ってしまう。アルコールに弱くなったのだろうか。高鷺とはいずれデザイナーの仕事には戻るかもしれないが、今すぐには考えていないとだけ伝えた。面倒見の良さは彼の長所だけれど、多分蒼良の話していた抜け目のなさが気になって受け入れられないのかもしれない。清原誠吾。Webディレクターとしてとても優秀な人だ。たくさんの案件をこなして経験を積み、誤解のない言い方をするのなら完璧を好んでいる。決して人

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          夕方の17時まで仕事をして木山から今日の仕事の内容をあらかたをチェックしてもらってからタイムカードを押して渋谷にあるデジカムのオフィスを退社してぼくは駅へと向かう。宮益坂を登り切って小さな映画館を右に曲がり左に折れて、三件目の雑居ビルは時間的に同じような勤務時間のサラリーマンの顔がちらほらと見える。ぼくは少しだけ居た堪れない気持ちになり、羽織ってきたジッパー式のパーカーのフードを被ってまるで何か悪いことでもしでかしたような気持ちで青山通りへ向かう。なんとなく嫌な予感が消えてく

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          抗えない恋のようなものは存在していただろうか。そんな風に問われるとそこには確かに痛みがある。切った痕があり、刺した傷が残り、吐いた血の味がまだ舌先に憤りがコビリついている。けれど、ぼくにはまだどうしても信じられない。貴方のことを想い、愛しさに溢れながらも手に入れられない歯痒さに身悶えていた時間が存在していたんだと誰かに打ち明けてもいいものだろうかと迷いの中に溺れている。 「ねぇ、どうしたの? さっきからぼーっとしてる。あのさ、もう少しちゃんと手を動かしてくれないと困るかなー。

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          「ねぇ、昨日のニュース見た? 女子大生の強姦殺人。まだ、将来有望な法学部の生徒って話じゃない。いやねぇ。なんていうか──」 「あ、見ましたよ、奥さん。そのニュース。警察がまだ捕まえてないって、そいつ。体内から出たんですって犯人の」  翌朝、仕事前に近所のカフェで食事をしていると、二人組の主婦が噂話をしている。日曜日ということもあり、お昼前でも店内は満席に近く、隣のテーブルの主婦は周りに遠慮もすることもなく今朝方ニュースで流れていた悲惨な事件の顛末を話し合っている。ぼくは注文し

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          「さぁ、お疲れ。みんなが仕事頑張ってくれればこうやって会社の経費で飲み放題食い放題だ。これからも遠慮なんてしないで遊び回るためにガンガン頑張ってくれ。俺たちはさ、人に褒められるような仕事じゃないのかもしれない。何処かでユーザーを利用している。けど、だからだな。後ろめたく思っちゃいけないのは。思いきり金を稼ごう。これからもよろしく。よこかわぁ。そうやって酒に呑まれてると女にモテないぞ。とにかく気をつけて帰れよ。木山、明日の早番よろしく頼むな。俺は休みだ」 「あ、鷺沼さんずるい。

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