白鳥泳一 ElegantSwim )

「美しく泳ぎたい」成人スイマー。水泳大好きの人たちが集っておしゃべりするためのスペース…

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「美しく泳ぎたい」成人スイマー。水泳大好きの人たちが集っておしゃべりするためのスペース、プールサイドカフェElegantSwimをオープンしました。  ぜひ一度お立ち寄りください

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記事一覧

ゆっくり泳ぎましょう スピード2倍にすると力は4倍必要ですよ

数式は苦手で出来れば避けたいが、より気持ちよく泳ぐためになら、水泳をうまく叙述し説明してくれるこの数式くらいは覚えておいて損はないようだ。    F=ρACV×V/2 …

人魚の涙 ジュゴンの嘆き

人魚のモデルはジュゴンだとの説が最近多いが、それはあり得ないでしょう。 ジュゴンは私も嫌いじゃないが、人魚になぞらえられるには大いに無理がある。人魚とは顔からし…

垂直跳びの高さでスタート台からの速度がわかります

あなたは垂直跳びで何センチ跳べますか?測ってみてください。スマホでビデオ撮影すれば難しくないでしょう、ジャンプして床から踵ウラまでの距離「x」を測ってください。…

イルカ跳び からドルフィンキックへ

バタフライの本質と言えるドルフィンキックの1サイクルを切り出したのがイルカ跳び動作だ。  イルカ跳びの1サイクルは、潜ってプール底に向かう前半局面と、反転して水面…

ゴーグルなしで泳げますか

ゴーグルでなぜクリアにみえるか、ないとなぜぼやけるか?いろんな説があるようだが、私は「水圧説」すなわち水圧で目のレンズが変型するためと思う。 理由はさておき、水…

ドルフィンキックからバタフライへ

バタフライの中核はドルフィンキックで、これはもちろんイルカの泳ぎそのものだが、このままではヒトは泳げない。 イルカは頭頂部にハナ(噴気孔)があるから水上にこれを出…

クロール入水の秘密 脱力

トップスイマーや周りできれいに速くクロールを泳いでいる人達をじっくり観察して、リカバリーから入水時に、肘から先がぶらんとしているのに気付く、「脱力」だ。ここでは…

「おなかでキック」てどういう意味?

キックも難しい。キックも水泳独特の動きで、地上ではこんな動作は不要だから、慣れてないのは当然だ。クロールで見ていこう。 「股から動かして」とか、「太ももを意識し…

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もう、「バッタ」とは呼ばない、呼ばせない

バタフライはプールサイドで、しばしば「バッタ」と呼ばれる。単に略して言ってるわけではなさそう。多分、自嘲や揶揄が込められているようだ。 確かに、軽やかで美しいバ…

重心移動の本当の方法

重心移動は体重移動とも呼ばれ、水泳インストラクターの多くがその大切さを強調しているのはもっともなことだ。だが、肩甲骨がそれの主役だとは誰も言ってくれない。それど…

広背筋 クロールの筋肉

 広背筋は背部に左右一対あり、各筋は脊柱下部と骨盤上縁後部に始まり上腕骨基部近くに終わる扁平で広大な筋肉。  クロールで、上肢入水後グライドで広背筋は最大限に引…

水中動作が肝心

プールでひとの泳ぎを見ていると、例えば「綺麗なハイエルボーで泳いでいるなあ」と感心させられることがある。だがしかし、いやに遅い、なぜだろうと不思議に思い、水中を…

金魚鉢からドルフィンキックへ

金魚の泳ぎを眺めるのは楽しい。色々な種類がいるが、ここでは標準的な姿のワキンをイメージしよう。 金魚の推進力はもちろん、おびれが水を押す反作用によるが、おびれは…

重力と浮力 重心と浮心

重心と浮心の概念をはっきり理解した方が水泳を考えるのに良さそう。 水中静止時、からだにかかる力は重力と浮力。 重力=体重で下向きだが、重心位置はどこか?ストレッ…

胸郭と骨盤 そしてコア

トルソー(胴体)を構成する三つの部位 胸郭はトルソーの頭側三分の一をしめる骨性の堅牢な部位で、「鳥カゴ」のイメージ。肩甲骨を介して上肢と関節する。 骨盤はトルソー…

「重心移動」は肩甲骨でする

 肩甲骨は水泳のための最重要パーツの一つだ。    背中の上部にある左右一対の骨。複雑な構造物だが、水泳技術のためには以下の理解で十分。 形は、2枚の三角定規セ…

ゆっくり泳ぎましょう スピード2倍にすると力は4倍必要ですよ

ゆっくり泳ぎましょう スピード2倍にすると力は4倍必要ですよ

数式は苦手で出来れば避けたいが、より気持ちよく泳ぐためになら、水泳をうまく叙述し説明してくれるこの数式くらいは覚えておいて損はないようだ。

   F=ρACV×V/2

     F =水の抵抗(=スイマーの推進力)
     ρ 水の密度
     A スイマーの断面積 
     C スイマーの技術を表す
     V スピード

ここではvに注目しよう。vは二乗で出てくる、つまりス

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人魚の涙 ジュゴンの嘆き

人魚の涙 ジュゴンの嘆き

人魚のモデルはジュゴンだとの説が最近多いが、それはあり得ないでしょう。

ジュゴンは私も嫌いじゃないが、人魚になぞらえられるには大いに無理がある。人魚とは顔からして似ても似つかない。

ジュゴンは人魚と同じく大きな尾ひれでドルフィンキックするが、草食性で魚を追いかけたりしないためかズングリムックリの体型で、人魚の流れるようなセクシーなボディーラインは持たない。悠然と海底に沈み、その大きな口で水草を

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垂直跳びの高さでスタート台からの速度がわかります

垂直跳びの高さでスタート台からの速度がわかります

あなたは垂直跳びで何センチ跳べますか?測ってみてください。スマホでビデオ撮影すれば難しくないでしょう、ジャンプして床から踵ウラまでの距離「x」を測ってください。メートル単位で、下の数式の x に代入して下さい

 スタート速度=4.43✖️√x

この結果がスタート台からの水平飛び出しの速度(m/s)です

例えば35cm跳べるとすると
4.43✖️√0.35=2.62 (m/s)
が飛び出し速度

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イルカ跳び からドルフィンキックへ

イルカ跳び からドルフィンキックへ

バタフライの本質と言えるドルフィンキックの1サイクルを切り出したのがイルカ跳び動作だ。
 イルカ跳びの1サイクルは、潜ってプール底に向かう前半局面と、反転して水面に向かう後半局面からなる。

前半はカラダの腹側(オモテ)の筋肉収縮がみぞおちあたりから始まり足まで順に起こる。
【腹直筋・外腹斜筋→腸腰筋→大腿四頭筋→前脛骨筋】
関節で見ると
【骨盤(後傾)→股関節(屈曲)→膝関節(伸展)→足関節】

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ゴーグルなしで泳げますか

ゴーグルなしで泳げますか

ゴーグルでなぜクリアにみえるか、ないとなぜぼやけるか?いろんな説があるようだが、私は「水圧説」すなわち水圧で目のレンズが変型するためと思う。

理由はさておき、水中がクリアに見えるゴーグルはありがたい。今でこそ水泳の必需品で、ゴーグルつけずに泳いでいる人は変人扱いされそうだが、それが一般化したのはそんなに昔ではなく1990年代のようだ。

1992年のバルセロナオリンピック女子200m平泳ぎで優勝

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ドルフィンキックからバタフライへ

ドルフィンキックからバタフライへ

バタフライの中核はドルフィンキックで、これはもちろんイルカの泳ぎそのものだが、このままではヒトは泳げない。

イルカは頭頂部にハナ(噴気孔)があるから水上にこれを出すだけで呼吸できる。しかしヒトは口で吸わないといけない、すなわち頭を出さないといけない。そのためドルフィンキックだけでは呼吸できず泳げない。だからストロークと第二キックをつけたしてバタフライにしたのだ。つまりこれらはオマケにすぎない。

クロール入水の秘密 脱力

クロール入水の秘密 脱力

トップスイマーや周りできれいに速くクロールを泳いでいる人達をじっくり観察して、リカバリーから入水時に、肘から先がぶらんとしているのに気付く、「脱力」だ。ここではクロールで考えるが他の泳法にも通じそうだ。

インストラクターさんは「親指から」、「手のひらから入らないように」、「入水位置は…」などなど入水のやり方を細かく指導してくれるが、いちいち覚えてられない。一番大事なのは脱力のようで、その一事さえ

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「おなかでキック」てどういう意味?

「おなかでキック」てどういう意味?

キックも難しい。キックも水泳独特の動きで、地上ではこんな動作は不要だから、慣れてないのは当然だ。クロールで見ていこう。

「股から動かして」とか、「太ももを意識しましょう」、「おなかでキックしましょう」などとインストラクターさんは言うが、これが難しいし、そもそも意味がよくわからない。

有効なキックのためには、たしかに大腿を動かす必要がありそうだ。サッカーでボールを強く蹴ろうとすると、足先からでは

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もう、「バッタ」とは呼ばない、呼ばせない

バタフライはプールサイドで、しばしば「バッタ」と呼ばれる。単に略して言ってるわけではなさそう。多分、自嘲や揶揄が込められているようだ。

確かに、軽やかで美しいバタフライには、なかなかお目にかかれない。周りで見られるのは、ほとんどが、セカンドキックで水しぶきを盛大に上げたり、水面を叩き割るエントリーが目立つ泳ぎで、優雅な蝶というより蝗を連想させる、もちろん私自身のも含めて。

蝗が蝶に劣っているな

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重心移動の本当の方法

重心移動の本当の方法

重心移動は体重移動とも呼ばれ、水泳インストラクターの多くがその大切さを強調しているのはもっともなことだ。だが、肩甲骨がそれの主役だとは誰も言ってくれない。それどころか怪しげなことを言う人もいる。

重心移動の主役は肩甲骨。肩甲骨は周りに多くの筋肉がついて、さらに上腕骨が関節しているので、肩甲骨が頭側にスライドすると、これら筋肉と上肢も鎖骨も上腕骨に付いている広背筋も一緒に移動するので大きな重心移動

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広背筋 クロールの筋肉

広背筋 クロールの筋肉

 広背筋は背部に左右一対あり、各筋は脊柱下部と骨盤上縁後部に始まり上腕骨基部近くに終わる扁平で広大な筋肉。
 クロールで、上肢入水後グライドで広背筋は最大限に引き伸ばされ、次に、手はキャッチポジションへと移動するが、その際も広背筋は引き伸ばされたままだ。ここから収縮し上腕が後方へ引かれる(即ちプル)。このように広背筋は推進局面プルの主役だ。

水中動作が肝心

水中動作が肝心

プールでひとの泳ぎを見ていると、例えば「綺麗なハイエルボーで泳いでいるなあ」と感心させられることがある。だがしかし、いやに遅い、なぜだろうと不思議に思い、水中を見ると、右手が入水後左に大きくスライドしているなどフォームが大いに乱れている、あるいは脚がプール底に届かんばかりに沈んでいる、なんてことがよくある。

水中動作を見ることはすごくいい勉強になる。レッスン中、コーチの水中動作をみ見る人は多いが

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金魚鉢からドルフィンキックへ

金魚鉢からドルフィンキックへ

金魚の泳ぎを眺めるのは楽しい。色々な種類がいるが、ここでは標準的な姿のワキンをイメージしよう。

金魚の推進力はもちろん、おびれが水を押す反作用によるが、おびれは垂直で左右にヒラヒラと動くので、後方への力だけではなく左右への力も働いてしまうから、からだが左右にうねるのを避けられない。これをフィッシュキックと呼んでおこう。

イルカやヒトのバタフライのドルフィンキックも同じ原理だが、こちらは、それぞ

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重力と浮力 重心と浮心

重力と浮力 重心と浮心

重心と浮心の概念をはっきり理解した方が水泳を考えるのに良さそう。

水中静止時、からだにかかる力は重力と浮力。

重力=体重で下向きだが、重心位置はどこか?ストレッチポールの上に気をつけ姿勢で腹這いに横たわってみる。へその数センチ足側でバランスがとれる、ここが重心だ。胸に軽い肺があるので予想より足側になる。

浮心は浮力の中心だが、こちらの決定はちょっと難しい。浮力は、アルキメデスの原理により身体

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胸郭と骨盤 そしてコア

胸郭と骨盤 そしてコア

トルソー(胴体)を構成する三つの部位

胸郭はトルソーの頭側三分の一をしめる骨性の堅牢な部位で、「鳥カゴ」のイメージ。肩甲骨を介して上肢と関節する。

骨盤はトルソーの尾側三分の一をしめる、同様に堅牢な部位だが、こちらは「ボウル(キッチンにあるやつ)」のイメージ。底に二つのくぼみがあって両下肢と関節する(股関節)。このボウルに水を湛えて、前にこぼすのが骨盤前傾、後ろにこぼすのが骨盤後傾。骨盤後傾位

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「重心移動」は肩甲骨でする

「重心移動」は肩甲骨でする

 肩甲骨は水泳のための最重要パーツの一つだ。   

背中の上部にある左右一対の骨。複雑な構造物だが、水泳技術のためには以下の理解で十分。

形は、2枚の三角定規セットのうち不等辺直角三角形のほうに似ている。直角部が内側上部、60度角部が外側上部、30度角部は尾部にある。縦約15cm横約10cm。

大切なのは次の2点
①頭外側部で上腕骨と関節している
②周囲の筋肉の作用で広い可動域をもつ

さら

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