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エッセイ- わたしの身体で感じて考えたこと

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記事一覧

書と文と絵と不感症

注意、性的な話ではありません。

昨日の夕方ふと書道家の個展をやっているのが目に入り、書を見てきた。

書道家の女性がこぢんまりやっている個展。そこにはわたしひとりとその女性だけ。声をかけられ、話をした。

「書道の魅力はなんですか」とたずねると、「自分を表現できることよ」という答えが返ってきた。表現…最近のわたしの悩みはそれだ。その言葉が出てきたのを聞いてどきどきした。

文章や絵画といっしょで

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かけた時間でひろったものたち

かけた時間でひろったものたち

電車で15分の距離を

3時間かけて歩いた

電車で3分の距離を

1時間かけて歩いた

電車に乗ればすぐの距離

歩いた時間は

視覚、聴覚、嗅覚、触覚をつかって

いろんなものをみつけた時間

あたまのうえ一面を覆う白い雲

ひと足早く咲いてうつむくひまわりみっつ

川の上にはみ出してしげる木の枝葉

こちょろこちょろ誰が聞かなくてもひびくみずのおと

道を譲って車道側を歩くお兄さんの優しさ

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わたしはいろんなものでできている

わたしはいろんなものでできている

自分が惹かれるひとりひとりを見ながら、

わたしはこの人にはなれない。

こういう存在にはなりきれない。

と思っていた。

それは身近なあの子であったり

遠くのあの人だったり

こうだったらいいのにと思うじぶんの姿だったり。

目の前にある存在を見て、そこに至らないじぶんに悲しささえあった。

だけど、ここ数日でちょっと気づいた。

自分が何に惹かれるか、だとか

惹かれるいくつもの在り方を選

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「受け容れてほしい」を包みたい

ひとはみんな、

なんて書き出すと物事をわかったようなはなにつく言い方になるかもしれないけれど

それでも、ひとはみんな

じぶんのことを受け容れてほしいって

思ってるんじゃないかとおもう。

男のひとも、女のひとも

こどもでも、いわゆるおとなでも

成功者とたくさんのひとに褒め称えられるひとも

じぶんは孤独だとうちひしがれるひとも

みんなに笑顔をふり蒔いて咲かせるひとも

ひとりの世界に

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下書きに残された7月7日

地上から見た空はいちめん灰色の雲で

いまにも雨が降りそうだけど、

そのずっとむこうがわで

今夜ふたりは出逢うのだ。

あいにくの目隠し空模様に

落胆する人々のことはつゆ知らず、

毎年くりかえす逢瀬のときを

また今年も迎えられたと、

誰に見られなくとも

ただひとときだけ瞬いて

夜をこえていくのだろう。

あたまのなかをそのまんま

あたまのなかをそのまんま

何か考えてたはずなんだけど、iPhoneのメモに「考えごと」って新規フォルダを作ったとたんに忘れてしまった。

わたしの人生いつもそんな感じ。忘れっぽくて困っちゃう。

思えばいつも頭の中に言葉は浮かんでも、書き留めておくことができなくてさらさら消えていく。

何かあったな、とその影を思うことはできても、実態が何だったのかは不明のまま時間が過ぎてまた次の頭に変わっていく。

こうして文章を書いてる

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深夜のぶどうと、母のこと

深夜のぶどうと、母のこと

深夜にぶどうをたべていると、受験生の頃を思い出す。

あのときわたしは18歳で、学校と家を往復して、起きている時間のほとんどを勉強にあてていた。

勉強のほかは、食べることとトイレくらい。

楽しみはいつも夕食。学校帰りの父の迎えの車のなかで、10分もすれば家に着くのにわざわざ電話をかけて「今から帰るよ、今日の夜ごはんはなに?」と母に聞いていた。

そう、受験生の頃、母はまだ元気で生きていた。

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ともに眠る、起きる

ともに眠る、起きる

「眠くて寝そうなときに起こされるとつらい」

わたしは彼に思いやりを込めながらそう伝えた。ここ数日、彼は遅くまで起きていて、先にまぶたが重くなるわたしがまどろんでいると声をかけて起こしてくる。

聞いてほしい話があるのだろう、と眠気と闘いながら返事をするが、どうにもつらい。眠気に抗うのもつらいし、彼の話を満足に聞けてあげられないのもつらい。しんどくて、今朝はついにそれを伝えた。

もちろん、音楽を

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表現の意味

表現の意味


具体、が苦手だ。「形・姿を備えること」そうしたら本来それらを持たなかった本物が固定されてしまうから‬

‪姿をあらわすってなんて苦しいことだろう、と思ってしまう。それは本物ではないただの一部なのに‬

‪言葉も絵も、表現はすべてそう‬

‪表現は思想にいつまでも追いつけない。それでいいのだけど‬

‪表現はこわい。追いつけていないのに、本物じゃないのに外に出すことだから。他人に

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友愛への疑念と希望的観測

友愛への疑念と希望的観測

最近、愛について研究している。愛の研究を始めた理由は、簡潔に言えば自分と世界を理解するためで、愛を実感したい、愛を与えたいと考えているから。詳細は割愛する。

愛というと、アガペー、エロース、フィリアの3つが有名かもしれない。このうち、フィリアは「友愛」を意味している。

「友愛」と聞くと大それたことに聞こえるが、「友情」は少年漫画の代名詞とも言えるテーマだし、「男女の間に友情はあり得るか?」もよ

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学びたかったことを見つけたかもしれない

学びたかったことを見つけたかもしれない

高校生の頃、わたしが学びたいことは、高校の教科のうち国語のなかにあると感じていた。だから国語に一番近い文学部日本文学科を志望した。だけど、日本文学科の専攻は文学と語学に分かれていて、そのどちらもわたしが学びたいこととはなにか違うと感じていた。どちらかといえば文学だろうと考え、専攻を決めた。

文学のうち新古今和歌集を学ぶゼミと和歌の英訳を学ぶゼミに入った。和歌に見られる表現方法や和歌を英語でどう表

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オラクルカードのこと

オラクルカードのこと

わたしは大学生の頃、お互いに初めての恋人として付き合い始めた彼氏がいた。わたしにとって相手は大親友とも家族ともいえる信頼ある存在で、お互いに自然と「結婚したいくらい好き」と口にするような、そしてそれを確信するような満ちた関係だった。

あるとき大学の友人にオラクルカードをする人がいて、わたしと彼のことを占ってもらうことになった。

特に彼との関係で悩んでいたわけではなく、オラクルカードへの興味から

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「自分と自分の大切な人を幸せにしたい(それ以外の人はどうでもいい)」が世界のあらゆる悲劇を生んでいる

「自分と自分の大切な人を幸せにしたい(それ以外の人はどうでもいい)」が世界のあらゆる悲劇を生んでいる

「幸せになりたい」「大切な人に幸せでいてほしい」とは誰もが願うことだ。

でも、人々の「自分と自分の大切な人を幸せにしたい」の裏側に(それ以外の人は別にどうでもいい、知ったこっちゃない)という考えがあったら、願いは実現しない。

裏返せば、自分は自分以外の大勢にとって別にどうでもいい、知ったこっちゃない存在になるからだ。

自分は自分ひとりしかいないし、自分にとって大切な人は人それぞれだろう。

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薪ストーブに感じるもの

薪ストーブに感じるもの

肌で熱と空気の流れに触れる
目で炎と光の揺らめきを見る
鼻で薪の生きていた香りをかぐ
耳で木が弾けるパチパチという音を聴く

味覚以外の五感を使って感じるのが、薪ストーブのいいところ。

ただでさえ暖かいのが大好きなわたし。ゆらゆら揺れる火を見つめれば心が落ち着き、パチパチと木が燃える音に静けさを感じ、生きていた木の香りが鼻から抜けて脳が鎮まる。

薪ストーブから離れられないのは、それらのこ

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