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EP 04 満腹の間奏曲(インテルメッツォ)02
「えーっと……とりあえず座って待っていましょうか」
そう言って、ソフィがモナへと着席を促す。
家主ではない者がそのような言葉をかけるのは変だと思いつつも、今立ち尽くす彼女に声をかけられるのはこの場ではソフィしかいなかった。
「そうしましょうか、失礼しますね」
そう言って、モナも苦笑いを浮かべる。
彼女自身もここに連れてきた本人がいなくなってしまってどうして良いかわからなかったので、
EP 03 激動の小曲(メヌエット)10
「まっ、腹が減っては戦はできねぇっていうしな!」
「ツヴァイ。あんたにしては珍しくまともなこと言うじゃない!」
「ガハハ!! そうだろ!! そうだろ!!」
「いや……あたし、そういうつもりでーー」
今の状況に悲観していないドライとツヴァイのやり取りを見て、ソフィも思わず笑みをこぼす。
そんなソフィの前へとアインが歩み寄ってくる。
「なにかあったらすぐ相談しなさい。こんな姿になってしまっても
155 ささやかなる興味
ウェルジアは食堂へと今日も足を運ぶ。
心なしかその足取りが軽い。
彼にとって食堂という場所はいつの間にか非常に魅力的な場所の一つとなっていた。
この学園に来るまでの彼の生活を考えればそうなってしまうのも当然のことだ。
食べ盛りの年頃であれば尚更、この食堂が魅力的な場所と感じる生徒は数多くいる。
学園の食堂では一流のシェフに混じって一部の生徒が料理を出すエリアが設けられており、
EP 03 激動の小曲(メヌエット)09
「ソフィ! 無事ーーッ誰!?」
ヤチヨは、ソフィのそばにいる見知らぬ人物を見つけると思わず身構えた。
「あっ、ヤチヨさん。ヒナタさん。無事だったんですね!!」
「ソフィ……その子は……?」
ヒナタも同じく警戒の眼差しを向けている。
いつものヒナタであればそんな態度をとることはないはずだが先ほどまでのこと、あの謎の緑の存在によって少しばかり気が立っているのだろうことは容易に想像できた。
EP 03 激動の小曲(メヌエット)08
「くっ……」
ヤチヨが、腰に携えていた爆発を起こすらしい物へと咄嗟に手を伸ばすが、一瞬躊躇してしまう。
脅し程度。目眩し程度にしかならない殺傷力などないもので、ないよりはマシくらいの代物だ。人間相手であれば、確実に時間稼ぎぐらいにはなるだろうが本当に効果があるのかも不明。
目の前にいるのは人のようにも見えるが人ではない何か。
その上、今は室内だ。炸裂するような物を使うという事は自分
153 才能というもの
「ティルス会長」
ドアを開く音と共に小柄な人影が室内へと入ってくる。
「リヴォニア、おかえりなさい」
生徒会室ではティルスがテーブルで調査の報告書をまとめていた。
ペンが走る音が小さく耳に届くように室内に響いていたが手を止める。
「他の皆はどうしましたか?」
キョロキョロと室内を見回して首を傾げる。この時間は大体他の皆も生徒会室にいたりする時間。
「今日はこれ以上は特にやれるこ
EP 03 激動の小曲(メヌエット)07
「ねぇ……ソフィ……今、戦えるような武器って持ってる?」
「えっ……!?」
ヤチヨの表情はいつもの彼女からは考えられないほどに、真剣にそして険しい表情を浮かべていた。
ソフィ自身、なんなのかまるで分からない。
彼女はどうやら目の前の存在に対して過剰に警戒をしているようだった。
ヤチヨは返事を待つようにじっとソフィの顔から目を逸らしはしない。
ソフィも、ゆっくりと心を落ち着けるように口
152 突拍子もない話とこれから
話を進める中、ドラゴがこれまでのことを全く話を理解していないかのように首を傾げる。
「で、その話と今日呼び出された事と何が関係あんだ?」
話の流れが作られてはいたものの確かに良く考えてみればヒボンの話には不明な点が多い。
こうした話をして一体ヒボンが何をするつもりなのかが誰にも分からなかった。
「そうだね。端的に言うとこうして起きている一連の異常な事態は国の重要なポストにいる誰かが意
EP 03 激動の小曲(メヌエット)05
「そうだ! ソフィ、今日は自警団の仕事はお休みなのよね?」
「えっ!? あっ、はい」
考え事をしていたソフィの思考を引き戻すように、ヒナタの声が割り込む。
「どうしたの? ヒナタ?」
いつもよりテンションの高めのヒナタにヤチヨも少しだけ不思議そうな表情を浮かべる。
「実はね、お母さんに美味しそうなサンドイッチを貰ったのよ。お家で食べてもいいんだけど、天気も良いし。外で食べない?」
「そ