kotatsu

不可思議な世界をとても短いストーリーで紡いでゆきます そこには戸惑いがあり、怪異があり…

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不可思議な世界をとても短いストーリーで紡いでゆきます そこには戸惑いがあり、怪異があり、希望があります どうぞご笑覧ください

マガジン

  • kotatsu stories

    超短編集の第1弾になります

  • essay

    小説では書けない思いなどを記していきます

記事一覧

Sの驕り

くだんの店に入ってからも違和感は拭えなかった。 Sの様子はというと、生ビールの注文を済ませるなり、例の”おねいさん”を引き留めて本気で誘惑しているように見える。…

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5年前
18

FLOWER

疲れているのに? わたしの問いには応えず、ふいに訪れたあなたは、わたしを覆いはじめる。 (見えない) ふと、感じる怖れは、どこから来るのだろうか? あなたから? …

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5年前
20

ラブレター

廃屋で紙魚(シミ)に喰われ、 朽ちて行く、 百五十年周期の行幸だったのかもしれない、 手渡された恋文。 上手くいく筈もなく、 生まれなかった、夢で会った息子のため息…

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5年前
20
+11

「夢の世界の中 人は雄弁に語る」展に行って来ました

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5年前
24

席も立てず 言葉も出せず 黒の中
見つめるだけの その男(ひと)を棄てる
#短歌 #現代短歌 #不穏な短歌

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5年前
28

二十歳のときのわたしもそこにいました。いつも一人でした。

二十世紀の街角で|海亀湾館長 @umigamewan|note(ノート)https://note.mu/umigamewan/n/ndfcea3e4eb66

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5年前
15

【犬の夢】
ごろんと横になると、その犬が寄ってきて、ごろんとなる
わたしは、となりの部屋の女のひとが寂しそうに見えたので、犬に命じて、女のひとの側でごろんとさせる
#犬夢

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5年前
22

人とアンドロイドの境界が無くなる日が来ると思う

優しいアンドロイド|海亀湾館長 @umigamewan|note(ノート)https://note.mu/umigamewan/n/n58221072a2d1

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5年前
15

次々と沸き上がる夏雲は 君の憤怒か吾の疑念か

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5年前
16

クリスマス・キャロル

幼い頃、サンタ・クロースの"存在"を知ったわたしは、毎年毎年、プレゼントが届くことを待っていました。でも、わたしにプレゼントが届くことは無かったのです。一度たりと…

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5年前
29

その女(ひと)は 一昨日のことのように
言った 十七年前です 行き違ったのはと

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5年前
23

任解かれ 辺境堕ちし 我ひとり アルファケンタウリ 遥かなり

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5年前
20

ゆるゆると 始まる子らの 運動会 百年見よう 草の葉陰で

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5年前
25

昨夜、仕事中に、娘にLINEで「明日はピアノある?」と聞くと、「音楽フェスティバルの日だけど」との返事。 レッスンが無ければ少し寝坊したかったのですが…… 小学校の…

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5年前
22

Lost at the Bottom of the Sea

涼子さんがベルギー(なぜ!)のレーベルで出している曲のリンクです。 ピアノ、アレンジ、音質最高です。 是非聴いてみてください。 スマホのスピーカーでは良さが生かしき…

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5年前
12

ルーベンス展に二度行った話(下)

ルーベンス展に二度行った話(上)の続きになります。 2018年10月27日(日) 上野駅で朝蕎麦を食べ、国立西洋美術館に着いたのは、開館の9時30分を少し過ぎた時間でした…

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5年前
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Sの驕り

Sの驕り

くだんの店に入ってからも違和感は拭えなかった。

Sの様子はというと、生ビールの注文を済ませるなり、例の”おねいさん”を引き留めて本気で誘惑しているように見える。
評判の映画『スペンサー・オーラムの厄災』に誘っている。

どこか垢抜けない若い女店員も満更でもないような、それでいて抜け目のないような目でSを見ている。
値踏みをしているようだが、もうひと押しかもしれない。

Sの身長が伸びて、生前は、

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FLOWER

FLOWER

疲れているのに?

わたしの問いには応えず、ふいに訪れたあなたは、わたしを覆いはじめる。

(見えない)

ふと、感じる怖れは、どこから来るのだろうか?
あなたから?

それとも、わたしも知らないわたしの中から?

わたしはあなたを見ているのに、わたしはあなたに視られていない。

応えてしまうわたしの欲しいものは、何だろう。

苦しそうなあなたを感じたいのかも知れない。

(わたしのために苦しんで

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ラブレター

ラブレター

廃屋で紙魚(シミ)に喰われ、
朽ちて行く、
百五十年周期の行幸だったのかもしれない、

手渡された恋文。

上手くいく筈もなく、
生まれなかった、夢で会った息子のため息を
思い浮かべ、

(赦しを乞うだけ)

駅舎のベンチで、
背筋を伸ばして座る、

バトミントンラケットを持つ君に。
#現代詩 #ラブレター #恋文

席も立てず 言葉も出せず 黒の中
見つめるだけの その男(ひと)を棄てる
#短歌 #現代短歌 #不穏な短歌

二十歳のときのわたしもそこにいました。いつも一人でした。

二十世紀の街角で|海亀湾館長 @umigamewan|note(ノート)https://note.mu/umigamewan/n/ndfcea3e4eb66

【犬の夢】
ごろんと横になると、その犬が寄ってきて、ごろんとなる
わたしは、となりの部屋の女のひとが寂しそうに見えたので、犬に命じて、女のひとの側でごろんとさせる
#犬夢

人とアンドロイドの境界が無くなる日が来ると思う

優しいアンドロイド|海亀湾館長 @umigamewan|note(ノート)https://note.mu/umigamewan/n/n58221072a2d1

次々と沸き上がる夏雲は 君の憤怒か吾の疑念か

クリスマス・キャロル

クリスマス・キャロル

幼い頃、サンタ・クロースの"存在"を知ったわたしは、毎年毎年、プレゼントが届くことを待っていました。でも、わたしにプレゼントが届くことは無かったのです。一度たりとも届くことはありませんでした。

小学校五年生の時です。

仲の良い友達からクリスマス・パーティーの誘いを受けました。近所の書店の外壁に教会のクリスマス・パーティーのポスターが貼ってあるのを見て、楽しそうだから一緒に行って見ないかという誘

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その女(ひと)は 一昨日のことのように
言った 十七年前です 行き違ったのはと

任解かれ 辺境堕ちし 我ひとり アルファケンタウリ 遥かなり

ゆるゆると 始まる子らの 運動会 百年見よう 草の葉陰で

隙

昨夜、仕事中に、娘にLINEで「明日はピアノある?」と聞くと、「音楽フェスティバルの日だけど」との返事。
レッスンが無ければ少し寝坊したかったのですが……

小学校の合唱部に入っている娘が出演する音楽フェスティバルのことは失念していました。フェスティバルとピアノのレッスンの時間が被るために、ピアノのレッスンの開始時間を、いつもより30分遅くして貰っていたのです。

つまりフェスティバルに行って、終

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Lost at the Bottom of the Sea

Lost at the Bottom of the Sea

涼子さんがベルギー(なぜ!)のレーベルで出している曲のリンクです。
ピアノ、アレンジ、音質最高です。
是非聴いてみてください。
スマホのスピーカーでは良さが生かしきれないので、イヤホーンや外部スピーカーで聴くことをお薦めします。
ページの下の方に
『And on Bandcamp:』と表示されているところのすぐ下の横長の四角い枠のプレイをクリックしてください。ヘッダー画像参照。
これが高音質かつフ

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ルーベンス展に二度行った話(下)

ルーベンス展に二度行った話(下)

ルーベンス展に二度行った話(上)の続きになります。

2018年10月27日(日)

上野駅で朝蕎麦を食べ、国立西洋美術館に着いたのは、開館の9時30分を少し過ぎた時間でした。(GoogleMapの罠にはまり、一度公園口を出て、再度駅に入り、蕎麦を食べて駅を出るときに改札でエラーを出すという不審行動のことは語りません)

チケット売り場は混んでいます。
朝一番の空いている時間を狙って来た人が多数い

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