記事一覧
春雷の轟き喧しい夜に
深夜一時過ぎ。春雷の轟きがかまびすしい。
「数日前に古書店の店頭ワゴンでとんでもなく怖い写真集を見つけたんだよ」
長い沈黙の後に彼が唐突にそんな話を持ち出してきた。
「写真集? 珍しいね、活字中毒の君が」
「そうだね。自分でも信じられない行動を」
「行動?」
「うん。気がついたら手に取ってたんだよ」
「……………」
「モノクロの、老人の顔のクローズアップ写真。毛穴まで見えちゃってんじゃないかぐ
喧嘩はディナーの後で
時間に間に合わないから、ここは一旦謝っとこうと思ったわけですよ。で、ひと謝りしたわけです。さすがに心は籠ってなかったけれど。
「謝るのが早い!」
速攻返ってきた言葉が、これ。
「早い、遅いの問題?」
矛を収めかかっていたのに、ぶり返しちゃって、
「じゃあ、何時だったらいいの?」
と、つい嫌味なことを。
「今じゃないことは、確か!」
「………………」
息が詰まりそうな雰囲気に負けてFM