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精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス


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発売当初から気になっていた本書をようやく購入した。

タイトルにもあるように、恋愛・結婚、と聞くと障害を抱える者にとってはハードルを高く感じるだろうし、実際に簡単でないことも事実だ。

しかし、彼女/彼氏を作る、結婚すること自体難しいことは健常者に置き換えても一緒である。簡単なことではない。

まず、障害者にとって異性との出会いの場が少ない理由の一つは、障害者向けの福祉事業所に通い、「障害者」という閉じた世界で生きることが多いからだろう。
そうすると、行動範囲は病院、福祉事業所などに限定されやすく、出会いが少なくなるのは当然という点は大いに共感する。

また、障害者だけで交流するだけでは、閉じた世界に生きることになってしまうので、障害のない方も交えた人との交流が必要になってくる。(福祉従事者以外が望ましい)

最近は、婚活アプリで相手を見つける健常者も多い。
相手を見つけるときに条件を設定するのだが、そうすると最初にジェンダーの問題が絡んでくる。

障害のある女性に関しては、健康な相手を見つけたという話もよく聞くものの、障害のある男性にとっては、年収などの条件を設定し、フィルターをかけられると、マッチング率は低くなり、対象外になる問題が発生する。

そう、精神障害者にとって経済的理由は切っても切り離せないことであり、一番高いハードルである。

以前、精神障害者の恋愛/婚活/結婚について投稿したことがある。
これは自分の体験談も含め、相談を受けた事例も書いてあるので興味があれば覗いてほしい。

貼った記事と重複するが、相手探しは、まず人柄を知ってもらい、多少なり仲良くなったら病気のことを告げるという流れの方がうまくいくひとつ、個人的に3ヶ月程度頑張って、カミングアウトするのこともまたひとつの手だと思っている。


以下
「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」より引用。

横浜に精神障害当事者と支援者による支援団体・横浜ピアスタッフ協会、略してYPSと、精神障害者の恋愛・結婚支援をする「めんちゃれ」というイベント企画を紹介します。

YPS と めんちゃれ

YPSは精神障害者の支援と就労継続支援事業所の運営などをする横浜市磯子区のNPO法人さざなみ会のもとで横浜をピアスタッフの生まれやすい街にすることをめざし2015年に設立された団体です。

「ピア」は「仲間」という意味です。
一般には当事者間の支えあいに使われる言葉ですが、YPSでは当事者に限らず、健常者の参加も歓迎して既存の考え方にとらわれない支援、居場所や出会いの場づくり、 誰でも参加して楽しめるイベントなどを企画をしています。
現在、会員登録者は約300人、毎月の定例会では30人以上が参加するオープンでユニークな活動をする団体です 。
毎月2〜3回、音楽会や講演会などイベントを開催して当事者同士や健常者との交流の場を作っています。

副会長の野間慎太郎さんは双極性障害の疾患がある当事者です。野間さんにYPS運営の目的を聞きました。

■YPS副会長の野間慎太郎さん

精神障害者に対して、従来の行政や支援団体は多くの場合「生きること」しか支援していないんですよ。
病院を退院して、地域で平穏な暮らしを送れるよう支援はしてますけど、楽しく過ごす支援が圧倒的に足りなくって家から作業所を延々往復するだけで終わっていくとか「休みの日何してるんですか?」「家でボーッとしてます」みたいな、それって楽しくないでしょうっていうパターンが今の支援で、そこを私たちはを変えたいですね。

もっと楽しいことしましょうよ、お金なくても楽しめるから、ここに来て楽しい時間を過ごしたりいろんな人と会うことでその人なりの生きづらさがあっても楽しく過ごせる人生の方が大事だよね、みたいな。

その中で「イソット(ISOTT)」というエンターテイメント集団を作って手品とかダンスとか、いろんな活動をしてますし、そのひとつとして、恋愛・結婚の支援イベントも企画しています。
  
YPSの活動の中でとてもユニークなのが、精神障害者の恋愛・結婚を支援するイベント「めんちゃれ」です。
    
「めんちゃれ」は「メンタル・チャレンジド」の略で、もともとYPSとは別のチームとして2011年に設立され、今年6月に、YPSと合併しました。
「めんちゃれ」を企画をした根本俊史さんは統合失調症の疾患がありますが、自身がこのイベントを通じて現在の奥さんと結婚しています。
    
2011年に「めんちゃれ」を始めた時の最初の狙いですが、障害者はリカバリー(社会復帰・適応)の過程があり、最初に入院があって、退院して、デイケアがあったり、作業所で働いたり、仕事ができるようになると就労移行とか就労とかになりますが、その就労の後の目標を何か作った方がいいよねっていうことで、やっぱり恋愛だったり結婚だったりした方が人生豊かになるんじゃないかってことで、結婚を目指してやろうよと、「めんちゃれ」を作りました。

最初はお見合いパーティみたいなことをしようと始まったんですけど、なかなか人が集まらなかったんです。
これはヤバいってことで、誰でもいいから来た方がいい、と枠を取り払って、それから少しずつ人が集まり始めたって感じです。3年目に花見をした時は40人ぐらい集まりました。
 

「めんちゃれ」の活動内容

「めんちゃれ」ではカラオケや花見、散策、茶話会など出会いの場を作る企画などをこれまで約40回以上開催しています。
またYPSの定例会とのコラボ企画で「今夜は恋愛」と題した恋愛を語る会をしたり、大阪大学大学院准教授で保健士の蔭山正子さんによる当事者のための恋愛講座「愛力(あいりき)」などを開催しています。
これまで「めんちゃれ」を通じて交際したカップルは数多く、その中で根本さん夫婦を含め、3組が結婚しました。

こうした精神障害者のための恋愛・結婚支援の活動はYPSの説明によると、きわめて珍しいそうです。精神疾患のある当事者は失恋や人間関係のストレスなどによって疾患が悪化するケースがあり、恋愛や結婚を医師や支援者、家族まで反対することが多いといわれます。    
 
また、ひとつの例として、作業所で知り合い結婚を希望した当事者カップルがケースワーカーから「結婚するなら生活保護をカットする」と言われ泣く泣く結婚をあきらめた、というケースもあったと聞きました。こうした反対には、偏見によるものや、支援者の体面や意向ばかりが反映され、当事者の意志を尊重しない場合もあるそうです。

ただ、そればかりでなく、収入が少ないなどの経済的事情や、(当事者は賃金の低い作業場で働き、生活保護を受けるケースがあります)「どうせ反対されるから」と当事者自身があきらめてしまうことも恋愛や結婚のひとつのハードルになっているそうです。

■精神障害者のための恋愛・結婚支援の活動を広げる

YPSはこうした問題に対処し、アドバイスを広く知ってもらおうとほかの当事者団体、研究者など共同で、昨年8月に「精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス 当事者・家族・支援者のお悩みQ&A」という本を出版しました。

「精神障害者が語る恋愛と結婚とセックス 当事者・家族・支援者のお悩みQ&A」
この本は野間さん、根本さんや前出の蔭山准教授などが編集・執筆に係わっているほか、多くの当事者から恋愛、結婚、性の悩みをつのり、それに対して当事者・支援者らが実体験から得た考えを示し、そのうえで専門家が問題解決のアドバイスを語っている具体的で、当事者に寄り添った内容になっています。

■執筆と編集に携わった野間慎太郎さん

私は妻が健常者なんです。
当事者と当事者の夫婦が多いこともあって、当事者・健常者で多分違うことが起きるって言うので声をかけてもらって、そもそも「恋愛って何だ?」っていうところからやらないといけないと、手伝わせて頂いて原稿書いていくうちに皆さんの原稿をまとめる役割になったという。 

こういう活動が広がって、結婚できている当事者がいることをまず、知ってもらう、そこじゃないかと。

そもそも精神障害者は結婚できない印象が強くなっているので、そんなことはなく、結婚している当事者もいっぱいいて、就労して夫婦一緒に共働きでやっている人もいれば、生活保護で暮らしている人もいる。そこは健常者とあまり変わらない。
ともかく障害者でも結婚できるって実例を伝えていくことが大切かなと。


■同書に執筆した根本俊史さん

この本に関わった人で、自身が障害者で、結婚相手が支援者というパターンもあったので、参考にしていただければなと思うんですけど。
男性の場合は、恋愛からすぐ結婚って一直線に走っちゃうまず話して仲良くなって…というスキルから上げていかないと、なかなか恋愛まで到らないのが現実です。
女性の場合は「めんちゃれ」に来て、いろんな男性と話してる中でスキルが上がって、ほかのところで恋人を見つけて結婚するってパターンが一番多いですね。
「めんちゃれ」は女性には結構、恋愛の練習になってるみたいです。
 当事者は恋愛や結婚だけでなく、その後の出産や育児についても、経済的な問題や、服用している薬の副作用など課題を抱えています。
 それらついても、この本は言及していてとても有用です。
 また、タイトルからも分かるように、タブー視されがちな性の問題にも目をつむらずに踏み込んで書かれており、当事者の読者の反応も、性について語っているページへの反応が大きかったそうです。
 恋愛・結婚について考えている当事者にはぜひ読んでヒントにしてほしい本です。
 
 また体調、症状の変化が第三者から分かりにくいため「見えない障害」といわれ、偏見の多い精神障害について、基本的な事柄から書かれているので健常者が理解を深めるために読むのもお薦めです。


YPS横浜ピアスタッフ協会ホームページ
https://shalom153.wixsite.com/yokohama-peers

めんちゃれホームページ
https://www4.hp-ez.com/hp/mentyare/

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